2024年1月、顧客にも従業員にもやさしい、カフェのような新店舗として「エコリング たまプラーザ店」をプロデュースした株式会社エコリング(以下 エコリング)のD&I推進チーム。
これまでにも同社ではD&Iに関する取り組みが数多く行われてきているといい、2023年には、兵庫県による「ひょうご・こうべ女性活躍推進企業(ミモザ企業)」にも認定されている。
エコリング社内では、どのようなD&Iの取り組みが行われているのか。
D&I推進チーム所属であるサステナビリティ推進部 部長代理 村上洋子さん、宅配買取部 部長代理 田渕晃子さん、買取部 関西エリア 東加古川店 店長 光澤綾さん、買取部 関東第二エリア 西浦美咲さん、EC管理部 北野麗莉さんの5名に、話を聞いた。
ボトムアップで制度を生み出し、風通しをさらに向上
D&I推進チームは、2021年にひとりの女性社員の提案から発足したチームだそうですね。これまでの取り組みについて聞かせてください。
田渕
これまで導入した主な取り組みは3つあります。
1つ目は男性の育休取得の促進です。代表の桑田からも「取得率を100%に」という宣言があり、休みを取得しやすくする工夫も行なっています。
例えば、育休の手続きにおいて部門の上長ではなく人事を窓口として申請する仕組みに変更するなど、男性社員が少しでも育休を申請しやすい体制を構築しました。
2つ目は他部署の役職者に相談ができるライフワーク面談の導入です。他には口外しないという約束の上で直属の上長ではなく他部署の役職者へ相談できます。
3つ目は、女性専用の相談ホットラインの増設です。女性専用であることから、言いにくいことでも相談しやすい仕組みとなっています。
ライフワーク面談やホットラインの利用率はいずれも開示をしていませんが、実際に多くの方が利用しています。
そのほかには社外のカウンセリングサービスの導入や、社内資料における性別表記を無くすなど、細かな取り組みも導入してきました。これらすべてが社員からのボトムアップで生まれた制度です。
D&I推進チームができたことで、社内にどのような変化がありましたか?
田渕
D&I推進チームによる社内アンケートの機会が増え、自由記入欄のコメントも多く寄せられるようになりました。
パートやアルバイトなど、働き方を問わず声を上げやすい環境になり、働きやすい環境づくりに向けた前向きな意見が出されるようになったと実感しています。
これまでには、どのようなアイデアが出たのでしょうか。
村上
男性育休の取得推進にあたり、女性社員からの声により「パパの育児通信簿」というものを作りました。
育児への関わりについての評価を奥様に記入していただいたものを休暇明けに提出していただくというような仕組みです。
育児にどのように携われるのか、携わったのかを可視化することで、休業中の男性の育児への関わりを促進すると同時に、男性にとってのモチベーション向上にも繋がる制度です。
男性社員の奥様からのコメントは「よくやってくれています」という評価が多いですね。
評価項目も現場視点。育児中でもキャリアを継続しやすい環境づくりを
人事評価やキャリアアップについては、どのような環境づくりが行われているのでしょうか。
村上
エコリングでは、社員にとって、より納得感がある評価制度にしていくために「キャリアアップ委員会」という組織を設けており、その委員会が主体となって評価項目を少しずつブラッシュアップしていっています。
役員や上司が決めるのではなく、働く社員にとってどんなところを評価してほしいかという現場視点を基盤とし、事業と時代の変化に合わせてブラッシュアップを続けています。
田渕
実は現在、管理職をしている私自身も、もともとはパート入社でした。6年のパート勤務を経て正社員になり現在9年目、そして管理職としては3年目になります。
上を目指したい人は目指せる環境が整っています。加えて、エコリングには性別や国籍を問わずチャレンジできる環境があります。
評価のタイミングは年に2回あり、評価項目についても、一人ひとりの活躍に対して適切な評価ができるよう常に改善が行われています。
育児と両立している社員にも時短勤務の制度があるなど、キャリアを継続しやすい環境づくりが行われていますね。
村上
働き方については「社員満足度向上委員会」という組織があります。育児中の時短勤務の対象年齢については、元は小学校に上がる6歳までだったところを、この委員会主導で12歳まで拡大しました。
その他にも、保育園の料金の一部を助成する制度や、男性が提示すれば育児のための早退や休暇を有無を言わさずに取得できる「イクメンカード」というものがあります。
北野
この時短勤務の対象年齢の引き上げは社内からの良い評価をよく聞きます。
小学生だと学校へ行く用事も多いですし、早く帰宅できれば子どもたちの宿題を見ることもでき、私自身もこの制度があることでライフワークバランスをとりやすく、とても助かりました。
西浦
エコリングは産休や育休が取りやすい環境ではありますが、子どもの発熱などの急なお休みへの対応となると、勤務先が本社か買取店舗なのかによって異なる印象があります。
店舗ですと人員の問題などもあることから、休みの調整がしにくい場面が出てくることもあり、これは課題でもあるように思います。
ただ、その場合は買い取り部署から本社など他の部署へ異動するというように、急な休みにも対応できるよう臨機応変な異動を行う柔軟性がありますね。
北野
私も、エコリングは休暇が取りやすい会社だと感じています。
これまでにも日本の他の会社で働いたこともありますが、休みが取りにくくて苦労したことがありました。私は中国人なので、実家への帰省の際の休暇も長めに休暇を取得できてとても助かっています。
私が所属するEC部署には中国人が他に2名いるのですが、そのうちの1人は帰省先でリモートでも仕事をすることで、家族と過ごす時間をさらに長く作れたと言っていました。
周りからの休暇への理解も得られやすい環境ですね。
外国籍の方が働く中で、エコリングはどのような企業だと感じますか?
北野
エコリングで働く人たちは皆さん親切で、困ったことがあればすぐ報告してくれたり改善する環境の良さがあります。性別や国籍を問わず、働きやすい環境だと感じます。
自分のやりたいことを、会社を使って実現してほしい
他社にはあまり見られない、エコリングならではと言える制度や取り組みがありましたら教えてください。
村上
キャリア選択において、毎年1回「ガチ勢」か「エンジョイ勢」かを全社員が選択をする仕組みがあります。
ガチ勢は研修やセミナーをどんどん受けてキャリアアップを目指す一方で、エンジョイ勢は「今はキャリアアップよりも家庭を優先したい」「趣味を優先したい」というように、一人ひとりの家庭環境や状況によって合う選択肢を毎年選べる制度です。
エンジョイ勢を選んだからといって評価が下がることはありませんが、ガチ勢でないと部門長には上がれない、という仕組みになっています。
光澤
新しいことにどんどん取り組んでいくエコリングの社風には、入社してから良い意味でギャップを感じたところでもあります。
他にも、震災時には弊社で買い取りさせていただいた品物を被災地にお届けする活動があったりと、事業の強みを活かして社会に貢献するところもエコリングならではだと感じます。
西浦
エコリングは「進み続ける会社」ですよね。時代に合わせて進み続けていこうと、社員全員が思えるような会社だと思います。
営利企業なので収益を上げていく必要はありますが、自分たちだけでなく社会にも目を向け続けている企業だと思います。
最後に、これから取り組んでいきたいこと、エコリングに期待することについてお聞かせください。
北野
現在D&I推進チームでは、フレックスタイム制の導入を提案しているところです。各々が勤務の時間帯を選べるようになれば、さらに働きやすくなると思うので、ぜひ実現を目指したいですね。
西浦
ライフステージの変化に対応する働き方については、フレックスタイム制のほかリモートワークなどさまざまに存在しますが、同様に店舗で働き続けたいという社員もいると思うんです。
ですが、やはり店舗は本社勤務よりもお休みの調整が難しいという課題があります。私は店舗での鑑定士の仕事が好きなので、好きな仕事を諦めなくて良い体制を作っていけるとよいなと思います。
光澤
エコリングは、バリバリ働きたい女性も多い会社だと思います。
私も、ライフステージの変化に合わせて、本社勤務のみならず、店舗勤務であっても、子育てをしながらでもフルタイムでも働きやすい環境になっていくことを期待しています。
田渕
エコリングには、女性が結婚や出産などのライフステージの変化にも影響されず働き続けられる社風があります。今後は、D&I推進チームとしても、その方針を明文化していきたいと考えています。
一方で、部門ごとに働きやすさが異なる面があるのも事実ですので、どの現場であっても同じように働きやすく満足度を高めていければと思います。
村上
私はエコリングを、自分のやりたいことを会社を使って実現できる組織だと思っています。社内ベンチャー制度やのれん分け制度も活発で、去年も多くの子会社が誕生しました。
私も入社した頃に、当時サステナビリティよりも主流だったCSRの部署を作りたいと発表したことがありました。
9年が経過した今、サステナビリティ推進部という形でつくり上げられたことをうれしく思っています。
今後も、皆がやりたいことを好きに実現していける組織として、働きやすさのさらなる改善に注力していければと思います。
◎会社概要
会社名:株式会社エコリング
URL:https://ecoring.co.jp/
住所:〒672-8057 兵庫県姫路市飾磨区 恵美酒213
代表者:代表取締役 桑田一成
設立:2001年
従業員数:521名(2024年1月時点) ※契約社員・パートタイマー含む
事業内容:買取事業、ブランド品専門店運営販売事業、インターネット販売・業者間取引販売事業、貴金属販売及び古物オークションへの販売事業
◎インタビュイー(部署や役職は取材時点のもの)
宅配買取部 部長代理 田渕晃子さん
サステナビリティ推進部 部長代理 村上洋子さん
買取部 関東第二エリア 西浦美咲さん
EC管理部 北野麗莉さん
買取部 関西エリア 東加古川店 店長 光澤綾さん