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特定非営利活動法人 キーパーソン21

http://www.keyperson21.org/

〒211-0004 神奈川県川崎市中原区新丸子東2-907-25 ハイツ武蔵小杉704

子どもたちが大人たちから引き出す“わくわく”が、互いを高め合う原点回帰の場を作る

サステナブルな取り組み イベント
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「わくわくエンジン®」がかかり、笑顔が溢れる子供達

キーパーソン21は教育NPO(特定非営利活動法人)として2000年に創設以降、様々なオリジナルの教育プログラムを6万人を越える子どもたちに提供してきました。なかでも最も大切にしているのが「わくわくエンジン®」。

人には誰も「自ら動き出さずにはいられない原動力」のようなものがあると考え、それを「わくわくエンジン®」と名づけました。

人は何かに熱中し、自らの「わくわくエンジン®」に気づくと、自信を持って主体的に歩んでいけます。

そこにも段階があって、サッカーが好き、ゲームにハマっているといった、まず自分の興味関心を中心とした「名詞的わくわく」があります。

そして、人それぞれで変わる熱中の度合いを表す「形容詞的・副詞的わくわく」が次に来ます。

さらには、「開発すること」「冒険すること」「調べること」「分析すること」など、人がわくわくして一歩を踏み出す行動につながる、「動詞的わくわく」があります。

これこそが最も重要で、「わくわくエンジン®」そのものです。

しかし、どんな時にこの「わくわくエンジン®」が作動するか、わかったつもりでいる大人でも、失敗を恐れたり、様々な重圧から、足踏みしたり止まったりしてしまいがちです。

そんな時、素直に楽しかったり、夢中になったり、大切にしたいと感じるものを思い返すと、次のステップに進めることが多々あります。子どもならなおさらそうです。

必要なのは「将来どんな職業に就きたいか」といった明確なゴール設定ではありません。それよりも、一歩踏み出す勇気や自信を持って進める、自分の原動力に気づくことではないでしょうか。

キーパーソン21の役割は、この「わくわくエンジン®」を子どもたち(時に大人たち)から引き出すこと。そんな格好な場が春休みの最中に設けられました。

経済産業省と富士通株式会社の賛助を得て、3月27日と28日に渡って繰り広げられた、【春休み ジュニアわくわくナビゲータープロジェクト】です。

今回はその後半(28日)の模様をお届けしたいと思います。

イベント概要
本プロジェクトは下記の流れで実施されました。

① 3月27日(月)10:00~12:15 
講演型プログラム「おもしろい仕事人に会いに行こう!」
3名の経済産業省の職員が、自分の過去・現在・未来をひもとき、自らの生き様・仕事を語る
【会場:経済産業省 未来対話ルーム】

② 3月27日(月)午後
ジュニアわくわくナビゲーター育成トレーニング「すきなものビンゴ」
プログラムを実際に体験し、そのねらいや相手とのかかわり方等について学ぶ
【会場:かわさき市民活動センター 会議室】

③3月28日(火)14:00~17:00 
体験型プログラム「すきなものビンゴ」
すきなものやその理由を言い合うことから、人生のパーパスともいえるわくわくエンジンをジュニアわくわくナビゲーターとなった中高生が大人たちから引き出す。
【会場:富士通株式会社 本店・川崎工場 会議室】

「わくわくナビゲーター」プロジェクトで「わくわくエンジン®」に火をつけろ!

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最年長の高3のはやと君は滋賀県から来て、今回の進行役も務めた。冒頭、生徒たちはこのようにそれそれが自分の「わくわくエンジン®」を紙に書いて掲げる

【ナビゲータープロジェクト】が「わくわくエンジン®」メソッドに基づく、通常の「夢!自分!発見!プログラム」と異なるのは、参加する中学・高校生自身がファシリテーター役を務め、人生のパーパスともいえる「わくわくして動き出したくなる原動力」を大人たちから引き出すこと。

つまり、「わくわくナビゲーター」になる訓練を受け、大人と交わって、彼らの「わくわくエンジン®」に火をつけるのです。

その鍵を握るのが「すきなものビンゴ」。言葉のビンゴゲームを楽しみながら、自己と他者と社会との関係をつかんでいく、キーパーソン21独自のプログラムです。

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自分の好きなモノやコトをビンゴゲーム風に書き出し、コミュニケーションのきっかけにする

これにも3ステップあって、まず自分が好きなことや大切にしたいことを書き出し、その確認をします。

次いで同席メンバーの自分とは違う考えや発想を聞くことで、様々な意見を互いに認め合う経験をします。

そして、それらを照らし合わせ、各人の好きやわくわくが、世の中や職業とつながっているのを意識します。

参加者はこれまでにもキーパーソン21と縁のあった中高生。滋賀県、新潟県、東京都から計11名が集まりました。11人は原則2人ずつ6卓に分かれ、大人2名が対応します。

迎え受けるのは会場となった富士通株式会社本店の社員や関係者、参加生徒の保護者などです。

生徒や大人たち、それぞれの自己紹介を聞くと、めいめいに取材したくなるような、魅力的なメンバーが多くいました。

すでに何人かの大人の「わくわくエンジン®」は温まっていそうですが、さて、子どもたちはそれをさらにホットにできるでしょうか・・。

年齢性別関係なし!誰もが持つ「わくわく」を駆り立てろ!

大人にとってはこれが自身の半生の振り返りになります。
実は筆者も参加も「百聞は一見に如かず」ということでプロジェクトに参加させていただきました。

筆者は自分が好きなモノ・コトとして「締切」を筆頭に挙げたのです。理由は「職業病。それがないと生きられない」。

自分の発表の順番が来て、そう語るや否や、「そんなこと言う人、見たことない」「ウケ狙いですか?」などと、他の3人からは失笑が漏れました。いえ、自分に正直になっただけなんです。

毎日のように訪れる締切を迎え撃つのが筆者の「わくわくエンジン®」。

手がける記事の大半は取材交渉から入るので、しっかり予習をしてプランニングし、目論見通りのキャスティングとインタビューができれば、半ば記事は書けたようなものです。

そんな「プロセスも楽しい」と、筆者は慌てて弁解しました。

すると、3人は「なるほど」とうなずいてくれ、少し嬉しくもなったのです。見ず知らずの人たちなのに、ちょっとのやり取りで自分をだいぶ理解してくれた。

子どもも大人も関係なく、こんな機会はそうはなく、だからわくわくしてくるのかと合点が行きました。それも承認欲求が満たされるというより、自己肯定感が高まる感じでした。

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自身の興味関心を公開し、対話を重ねるうち、グループ各員の考えにも変化が生じる

筆者が振り当てられたテーブルの、他の3名=生徒1名・大人2名をご紹介しましょう。
生徒は滋賀県草津市から来た、今年度から中3のりえさん。

自身の「わくわくエンジン®」を「小さいことから無限に想像してまとめること」と、かなり哲学的な表現で、自己紹介のボードに書いていたのが印象的でした。

りえさんはアニメ『名探偵コナン』の大ファンで、(その時点では)公開が控える新作映画を心待ちにしている様子。

それまでの劇場版25作はすべて、テレビシリーズも欠かさず見ているとかで、筆者もコナンの決め台詞「真実はいつもひとつ」で応酬したいところ、咄嗟に出てきたのは『金田一少年の事件簿』の「じっちゃんの名にかけて」でした・・。

このたどたどしいやり取りにスッと入ってくれたのが、富士通でSEをしている内藤さんでした。「子どもと一緒に観に行くと、いつしかコナンにハマっていた」そうです。

大学院修士課程まで宇宙物理学を学んだ「ゴリゴリの理系」で、研究によってそれまでの認識がどんどん改まっていくところに魅力を感じるそうです。

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大人たちともすぐ意気投合。内藤さんと談笑するりえさん

そして、もう一人の大人は娘さん2人を連れ、新潟から参加した清水さんでした。キーパーソン21 正会員で、 2級わくわくナビゲーターと2級オンラインわくわくナビゲーターの資格も持っています。

娘さんたちの学校のPTA役員でもあり、子どもたちに体験して欲しいと感じたコトを、大人に見守られながら安心して経験を積んでいけるよう、日頃から先生に提案しているそうです。 

それぞれになかなか個性的な大人たちに囲まれ、りえさんも伸び伸びと自分の意見を口にします。そして、めいめいが好きだと挙げるモノ・コトが各人を如実に表しています。

内藤さんはサッカーが大好きで、特にメッシのファン。本場スペインまで観戦に出かけたりもします。そして、好きな色は緑。履いていたスニーカーも真緑でした。

また、大のビール党で、曜日によって飲む銘柄も変えるらしく、冷蔵庫にないと、わざわざ買い出しに行くと言います。

清水さんは東京五輪でも話題となったピクトグラムに惹かれるそうです。日々活用するミシンも好き。

また、海でも川でも水辺が好きなのだとか。また、部屋の模様替えなど生活の端々で考えることが大好きと言います。りえさんは他に映画や音楽をフェイバリットに挙げました。

ビールや映画といった自分の好みを先に挙げられてしまった筆者は、趣味である利き酒(日本酒)や登山、大学で専攻した古文などを列挙しました。

コロナ禍に入って気分が乗らず、ずっと行けていませんが、野球観戦も挙げました。“好き”を並べるぐらい雄弁な自己紹介もないと、今さら気づかされます。

自分自身を知り、学び、「わくわく」できる【ジュニアわくわくナビゲータープロジェクト】

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和気藹々とした雰囲気の参加者たち

ビンゴを通じて、人生を振り返るようなテーマにも取り組みます。その理由にもその人らしさが露わになります。そこで筆者は「大切なこと」として「締切」を挙げたのです。

一方で、「自由」「ぶらり旅」などを挙げました。締切に縛られる暮らしですから、その反動で一人気ままにほっつき歩きがちなのです。

他方、りえさんは「五感」、清水さんは「対話」、内藤さんは「宇宙」とそれぞれに相応しい言葉を挙げてきました。

次第にゲームの骨格が見えてきます。そこからみんなのモットーや今後の目標が浮かび上がってくるのです。

そして、やはり、りえさんの飲み込みと発信に若さを感じます。筆者は教育現場の取材を数多く経験していますが、こうして発散される精気を浴びると、自らの襟元を正したくなることがいくらもありました。

おそらく本日参加した大人たちはみな、同じ感慨に浸っているでしょう。

内藤さんなど、ビンゴを終えてのまとめに、清水さんやりえさんから授けられた言葉を書き入れ、自身の考えの整理をしていました。

ところが、筆者は天邪鬼なので、内藤さんから「ビール」の言葉だけいただいて、締切に対応した後の「お楽しみ」と書き入れます。事実、締切をクリアした後に飲むビールは格別です。

だから、筆者の「わくわくエンジン®」は「締切に立ち向かう」ことなのです。

パッと見、言葉遊びにしか過ぎないだろうと思えたゲームに、自分の真の姿を映し出されたようで、少し狼狽(うろた)えてしまいました。

ただ、自分を客観視しようとしても、なかなかできないものですが、この経験を通じ、確かにそれができると感じました。

飛び込み参加の筆者がそう感じるぐらいですから、りえさんら生徒たちはもっと自分に自信が持てたことでしょう。

大人たちが子どもたちから学べる場、それが【ジュニアわくわくナビゲータープロジェクト】なのです。

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ビンゴで優勝したのははやと君と、同じ滋賀県出身の高1のまなみさん。富士通の社員とすっかり打ち解けていた。
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最後に一同揃って記念写真。大人も子どもも会心の笑顔で、プロジェクトの充実ぶりが伝わる

◎団体概要
名称:認定NPO法人キーパーソン21(特定非営利活動法人 キーパーソン21)
URL:https://www.keyperson21.org/
設立:2000年12月10日
本部:神奈川県川崎市中原区新丸子東2-907-25 ハイツ武蔵小杉704
代表理事:朝山あつこ
会員数:403(理事7名、監事2名、顧問1名、スペシャルサポーター13名)
全国拠点:8(北海道、新潟、北関東、東京、川崎、湘南、静岡、大阪兵庫、沖縄)
パートナー団体:5(NPO法人MSPチャイルドドリーム基金、株式会社感性労働研究所、認定NPO法人くさつ未来プロジェクト、EGAHOUSE&COMPANY、社会福祉法人生活クラブ)

◎プログラム概要
「夢!自分!発見!プログラム」は、2016年に、経済産業省主催「キャリア教育アワード経済産業大臣賞(中小企業部門)」を受賞した、子どもたちのやりたい!を引き出すキャリア教育プログラムです。これまで全国各地で22年間、60,051人(2023年4月日までの延べ人数)の子どもに提供してきました。地域の様々な大人たちとの出会いの中で、子どもたちが将来の仕事や生き方を考え、本当に大切にしたいことに気づき、主体的に人生を選択して動き出す力を育みます。多数の学校で授業に導入されている教育効果の高いキーパーソン21オリジナルのプログラムです。

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ライター:

1966年長野県に生まれ、東京で育つ。法政大学文学部在学中より、出版社で雑誌編集に従事した後、フリーに転ずる。教育やビジネス分野に造詣が深く、著名な起業家との共著も多い。また、食べ歩きを密かなライフワークとする。『名門高校人脈』(光文社新書)、『全国創業者列伝』(双葉新書)、『東京B級グルメ放浪記』(光文社知恵の森文庫)、『リーダーになる勇気』(共著・日本実業出版社)、『コピーライターほぼ全史』(日本経済新聞出版)など著書多数

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