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麹を活かしたものづくり 固体培養が生み出す発酵のイノベーション 開催レポート

イベント
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麹を活かしたものづくり固体培養が生み出す発酵のイノベーション
寄付講座「微生物インダストリー講座」開設記念シンポジウム

「固体培養」という言葉を耳にしたことはありますか?

私たちの生活は、目に見えない微生物の力に支えられています。その微生物を生育するプロセスが、培養です。

そして、清酒、味噌、醤油、焼酎などの伝統的な醸造食品に不可欠な「麹」造りに用いられているのが、“国菌”麹菌の「固体培養」なのです。

日本の風土と先人の知恵の賜物とも言うべき固体培養。これを循環型社会に役立てようという機運が今、岡山県で高まっています。

2022年4月、岡山大学にフジワラテクノアートからの寄付により、寄付講座「微生物インダストリー講座」が開設されました。

11月1日、講座開設を記念して開催されたシンポジウム「麹を活かしたものづくり 固体培養が生み出す発酵のイノベーション」には、固体培養の可能性に期待をかける産官学の垣根を越えた約470人(オンライン含む)の専門家、研究者、企業担当者らが集いました。

イノベーションの芽吹きを感じさせるシンポジウムの模様を、レポートします。

開催概要

・開催日:令和4年11月1日(火)
・会場:KURUN HALL(岡山市北区下石井2-10-12 OHKオフィス9F)
・開催形態:対面およびオンラインのハイブリッド開催
・主催:岡山大学微生物インダストリー講座
・共催:株式会社フジワラテクノアート

プログラム

1、開会あいさつ
2、講演
  (1) 「固体培養の摩訶不思議」 秦洋二 月桂冠株式会社 専務取締役 製造本部長
  (2) 「日本のバイオテクノロジー『麴(固体)培養』による酵素製造」 水戸光司 天野エンザイム株式会社 生産本部 生産技術部長
  (3) 「麴菌の酵素生産の謎に迫る」 五味勝也 東北大学 大学院農学研究科 教授
  (4) 「麴菌による地域植物資源の高機能化」 神崎浩 岡山大学 微生物インダストリー講座 教授
3、総合討論「麴菌固体培養による『ものづくり』の未来」
4、閉会あいさつ

岡山大学 寄付講座『微生物インダストリー講座』

日本に集積している微生物発酵技術・知識を、産学官連携による人材育成・地方創生・新たな技術開発の視点からさらに深化させ、微生物の力を産業利用する可能性を科学的に追求することを目的として活動している。
新規素材(未利用資源や副産物)の有効利用を目指し、麹菌などの微生物を用いて、産業化を想定した機械製麹装置を使用した固体培養試験を行っている。
・開設先:岡山大学大学院環境生命科学研究科
・設置期間:2022年4月1日~2024年3月31日
・内容:日本の強みである微生物発酵技術を食品・醸造産業分野、食糧生産分野、バイオ素材生産分野へさらに応用して深化させる教育・研究
・担当:神崎 浩 教授(岡山大学大学院環境生命科学研究科)
    深野 夏暉 特任助教(フジワラテクノアートより出向)
・HP:https://ou-m-industry.jp/

株式会社フジワラテクノアート

1933年の創業以来、90年近くにわたり醤油、味噌、清酒、焼酎などの醸造機械・プラントを主力製品に発展してきた。製麹(せいきく・麹づくり)の全自動無人化を実現したパイオニア企業として、国内の機械製麹能力シェア80%を占める。取引先は国内1500社、海外27カ国。醸造分野で蓄積してきたオーダーメイドのものづくりと、微生物のバイオプロセスを応用する知見を礎に、食糧、飼料、エネルギー、バイオ素材などの産業分野での課題解決を試みている。2050年開発ビジョンに「世界で〔微生物インダストリー〕を共創」を掲げ、心豊かな循環型社会への貢献を目指す。
・本社所在地:〒701-1133 岡山市北区富吉2827-3
・TEL:086-294-1200
・FAX:086-294-1220
・代表者:代表取締役社長 藤原恵子
・創業:1933年(昭和8年)6月15日
・事業内容:醸造機械・食品機械・バイオ関連機器の開発、設計、製造、据付、販売およびプラントエンジニアリング
・HP:https://www.fujiwara-jp.com/

「微生物インダストリー」で未来を創る。社会実装を意識した研究を推進

槇野博史さん

シンポジウムは、槇野博史 岡山大学学長の開会あいさつで幕を開けました。

「株式会社フジワラテクノアートは、伝統的麹づくりの自動化を実現したトップメーカーであり、心豊かな循環型社会を目指しておられます。

SDGs推進研究大学を目指してきた岡山大学も、麹づくりに利用される固体培養の物質生産能力の高さに注目してきました。

そして、岡山県工業技術センターや種麹メーカーにも参画いただきコンソーシアムを設立、産学官で共同研究をすることとなりました。

さらに、麹菌の固体培養で新たな素材開発を目指す企業にも加わっていただき、コンソーシアムを発展させる目的で、講座を開設しました。

本日は、オンラインを含め400人以上の申し込みがありました。中でも企業からの申し込みが60%を超えており、新たな素材開発への注目度が高まっていると受け止めております。

参画いただいた皆様と新たなイノベーションを巻き起こし、麹を活かした固体培養を用いた実りの秋を迎えたいと思います」。

続いて、藤原加奈 株式会社フジワラテクノアート代表取締役副社長があいさつしました。

藤原加奈さん

「想像以上の皆様に集まっていただき、感激しております。

数年前、『2050年はどうなっているだろう』と、会社の皆で考えました。人口問題、環境問題、食糧問題が深刻化する未来に対して、弊社の技術を循環型社会の実現に役立てられないだろうか。

それを、半年ほどかけて考えました。
弊社は、90年にわたる歴史の中で、数多くの案件に取り組んできました。

その中で挑戦させていただいたものづくりの技術とバイオプロセスの知見を活かして、微生物の力を産業化することこそが、微生物インダストリーです。

醸造業界に新たな価値を届け、醸造業界以外にも広く社会問題の解決につながる価値を届けていこうと、開発ビジョンを掲げ、『微生物インダストリー講座』を開設しました。

研究で終わらせずに、社会実装を意識した研究を推進したいと考えています。

本日は、麹・固体培養によるイノベーションや未来に向けた活用法を、それぞれの視点から討論いただき、充実した時間を持ちたいと思います」。

月桂冠製造本部長が語る「固体培養の摩訶不思議」

開会あいさつに続いて、企業や研究機関の専門家4人が、各30分の講演を行いました。

トップバッターは、380年を超える清酒醸造の歴史を誇る月桂冠から、秦洋二専務取締役 製造本部長が登壇。講演テーマは、「固体培養の摩訶不思議」です。

講演テーマは、「固体培養の摩訶不思議」

固体培養の基礎的な知識から、固体培養のメリット・デメリットまでを詳しく解説し、固体培養が持つ可能性と、産学官連携で実現し得るイノベーションにも言及しました。

秦氏によると、固体培養は「単なる固体状の基質に微生物を培養する手法」ではありません。「清酒醸造など伝統的醸造産業で長年培われてきた、固体原料に直接微生物を培養する方法」。

つまり、先人たちが長年培ってきた培養ノウハウと選抜された微生物の二つが揃って可能となった「麹造り」を指します。

新たな固体培養の開発には、既存の麹造りの解析が不可欠なのです。

固体培養のハードルは、培養制御と生産物である酵素の分離の難しさにあります。このため固体培養は、機械化や大規模生産に不向きとされてきました。

固体培養のデメリット

・菌体と産物と培地の分離が困難
・培養制御が難しく、不均一
・解析が困難

しかしながら、固体培養と液体培養の酵素の生産性を比較すると、固体培養の酵素生産性が秀でています。さらに、液体培養に要する大量の水分やエネルギーを、固体培養で節約できます。

これが、固体培養が新たな可能性を秘めているとされる所以です。

秦氏は、酒造現場でかつて主流だった「寒造りと杜氏システム」から「四季醸造と社員の酒造り」へ移行した際に、酒造現場にもたらされたイノベーション「酒造りの機械化・自動化」に言及します。

さらに、このイノベーションをもたらしたのは、「人間の作業を機械にさせる」という発想ではなく、「縦のものを横にする」、「四角いものを丸くする」といったパラダイムシフト(発想の転換)だと強調します。

固体培養

酒造りの機械化におけるパラダイムシフト

・縦型の蒸し器で米を蒸していた → スチールベルト式横型連続蒸米機にシフト
・四角い台の上で麹を造っていた → 回転円盤式製麹機にシフト

このようなパラダイムシフトが、固体培養のブレイクスルーにも求められているのです。

また、パラダイムシフトに加えてイノベーションに不可欠な要素は、「価値創造と価値獲得のコンビネーション」。すなわち、「価値創造」を担う「学」と、「価値獲得」を担う「産」の連携です。

連携の起点としての役割を担う本講座に、期待がかかります。

「日本のバイオテクノロジー『麹(固体)培養』による酵素製造」

水戸光司さん

続いて、日本の酵素業界トップメーカーの天野エンザイムから、水戸光司 生産本部生産技術部長が登壇しました。

同社では、日本で古くから営まれてきた固体培養のことを、尊敬の念を込めて「麹培養」と呼ぶそうです。

同社は、「日本のバイオテクノロジーで世界を変える」をモットーに、70年以上にわたり一貫して酵素の研究と製造に携わってきました。

今では世界中に拠点を置き、各市場のニーズに応じた価値を提供しています。酵素の利用分野は、食品、医療・ヘルスケア、診断薬、工業と多岐にわたります。

酵素の利用分野

・食品(調味料、甘味料、チーズ、パンなど)
・医療・ヘルスケア(消化改善、炎症を鎮める、虫歯予防、健康食品など)
・診断薬(血中コレステロール測定、尿酸測定など)
・工業(繊維洗浄、飼料の品質改善、排水処理など)

日本では、清酒、味噌、醤油といった発酵食品に不可欠な酵素を作る麹菌が、2006年に「国菌」に指定されました。この麹菌の潜在能力を最も引き出す培養手法が、固体培養です。

「固体培養の応用例には、身近にある有用なものが数多く含まれています。私たちが固体培養にどれほどお世話になっているかが分かります」と、水戸氏。

同社では、小麦ふすまを主原料に微生物を増殖させる固体培養と、種々の栄養源を主原料として微生物を繁殖させる液体培養の両方を活用して、様々な発酵生産物を製造しています。

水戸氏は、麹培養由来の酵素の活用例として次のような実例を紹介しました。
・プラントベースフードに畜肉風味を増強させるタンパク質加工用酵素を応用できる。
・麹菌由来の消化酵素「Koji Blend」の開発で、高齢者の消化能力を補助できる。

最後に、株式会社フジワラテクノアートの回転式自動製麹装置を使った飼料分野への貢献事例に触れ、固体培養のさらなる可能性を示唆しました。

その上で、「麹培養を発展させるための“共創の場”を持ちたい」とのメッセージで、講演を締めくくりました。

麹菌の酵素生産は謎だらけ?!

麹菌の酵素生産は謎は解けたか?!

講演の後半は、五味勝也 東北大学大学院農学研究科教授の「麹菌の酵素生産の謎に迫る」でスタートしました。

麴菌などの遺伝子発現制御と、麴菌を宿主とした有用物質の高生産システム開発を専門に研究してきた五味教授。

研究者の立場から、これまでの研究の成果と進捗、そして残された「麹菌の酵素生産の謎」について語りました。

麹菌が生産する酵素「アミラーゼ」や「プロテアーゼ」は、酒や醤油、味噌などを製造するのに欠かせない酵素です。

五味教授は、麹菌のアミラーゼ生産制御機構を解説する中で、国税庁醸造試験場で転写因子「amyR」を発見したことに触れました。amyRは、清酒を作るのに必須の転写因子です。

また、これとよく似た転写因子「prtR」は、醤油や味噌を作るのに欠かせません。「清酒や味噌を作るのに不可欠な転写因子が12000以上ある遺伝子の内、近くにあるのは不思議なこと」と言います。

東北大では、固体培養で生産される重要な醸造用酵素である、麹菌のMalクラスターを発見しました。さらに現在は、黒麹菌のamyR、creA破壊株における生育とアミラーゼ生産の研究などを進めています。

「麹菌の酵素生産の謎は解けたか?」との問いに、「まだまだ謎が残る」と五味教授。「微生物の面白さは、多様性にあります。引き続き解析を続けていきたい」と結びました。

地域の植物を麹菌で高機能資源に!

未利用植物資源麹の創生

最後に、岡山大学微生物インダストリー講座を担当する神崎浩教授が、「麹菌による地域植物資源の高機能化」をテーマに講演しました。

神崎教授は、あたかも「原石」を「磨く」ように、「天然化合物」を「微生物酵素で生理活性物質」へと変換しようと試みています。

すでに、岡山県瀬戸内市牛窓のオリーブの葉や北海道余市のワイナリーから出たワインパミスで、「オリーブ葉麹」「ワインパミス麹」の製麹に成功。

抗酸化活性や総ポリフェノール量の増加といった機能性の高まりを確認しています。

また、オリーブ葉の酵母による微生物変換を活用した製品として、「生物還元オリーブポリフェノール」(愛称「Bオリボール」)を含む化粧品も、上市しています。

こうした取り組みは、「バイオマス分解酵素の大量生産を可能とする固体培養技術の実用化開発」(2017戦略的基盤技術高度化支援事業・中小企業庁)に始まり、「麹菌固体培養の特性を活かした地域植物資源の高機能化研究」を協同して推し進めるためのコンソーシアムへと発展しました。

固体培養麹研究コンソーシアム

麹菌の固体培養の専門家集団と、微生物変換の専門家が研究コンソーシアムを構築し、そこに素材企業が加わって産学官連携研究を実施できれば、高機能性素材開発が可能ではないかと考えました」と、神崎教授。

協同の一環である「2020 JKA補助事業(機械振興補助事業の研究補助の開発研究)」で、産業化を想定した機械製麹装置の開発も行われました。

未利用素材の製麹を、大型機と同様の条件で小規模に検討できる装置「小型通気式固体培養装置」の開発です。

これが、今回の岡山大学 寄付講座「微生物インダストリー講座」の開設にもつながっています。

本講座を起点に、産学官それぞれが保有する技術とノウハウが集積し、「微生物のチカラ」を活用した産業が生まれつつあります。

神崎教授は、「植物素材をお持ちの地域企業や発酵・醸造に携わる地域企業と協力して、まずは岡山から、そして全国へと展開したい」と、力強く締めくくりました。

固体培養の可能性を引き出すカギは協同とイノベーションにあり

各分野からパネリストが登壇

講演に続き、各分野からパネリストが登壇し、総合討論が繰り広げられました。

パネリスト

東北大学大学院農学研究科教授
 五味勝也
月桂冠株式会社専務取締役製造本部長
 秦洋二
天野エンザイム株式会社生産本部生産技術部長
 水戸光司
株式会社樋口松之助商店取締役研究室長
 山下秀行
岡山県産業振興課工業技術センター専門研究員
 三宅剛史
株式会社フジワラテクノアート専務取締役
 狩山昌弘

コーディネーター

岡山大学 微生物インダストリー講座教授
 神崎浩
(敬称略)

神崎浩さん
神崎

固体培養では、これまで主に米、麦、大豆などを原材料に麹を造ってきましたが、まだ利用されていない素材で固体培養を活用できそうな素材はありますか

かつて、未利用バイオマスからエタノールを製造したことがあります。ただ、固体培養は、エタノールのような大量生産を前提とするケミカルコモディティには不向きです。

コモディティ化しにくい高付加価値の食品などの製造に適していると思います。

ただ、微生物はゲームチェンジする力を秘めています。方向転換するためには、状況に応じて様々な方法を試して、さらに評価してもらうことが肝要です。

五味

これまでも、いろいろな素材を基質として固体培養で新たな物質を生産してきた実績があります。

また、培養方法によって遺伝子の発現が異なることや、固体培養でしか生産できない物質があることも分かってきました。

固体培養でまだまだ新しいものが見つかる可能性があります。地域に埋もれている未利用素材も数多くありますので、あらゆる素材と培養方法の組み合わせを試す必要があります。

そのためには、研究現場における人的資源の充実が求められます。

神崎

固体培養のブレイクスルーは、意外なところから生まれるかもしれません。興味を持って探求してくれる研究者が増えるといいですね。固体培養への注目は高まっていると感じているのですが、いかがでしょうか。

各分野からパネリスト3
水戸

循環型社会に適合するよう、欧米などでは「製品1kgあたりCO2をいくらまで減らしてほしい」といった具体的なリクエストがあります。

弊社としても、液体培養で可能なことを固体培養で実現できればという想いはあります。ただやはり、コンタミ(汚染)のリスクなど課題が残ります。

山下

種麹メーカーである当社では、食品メーカーなどから様々な基質をいただいて麹にしています。問題は、「麹にしたはいいが、それをどう利用する?」という時点で立ち止まってしまうことです。

以前、卵麹を造ったとき、表面がべとべとになってカビが生えてしまいました。

弊社にはカビの生えた卵麹を食べてみようという発想はありませんでしたが、その食品メーカーの若手社員から「食べてもいいですか?」と希望があり、食べてみたら美味しかった。

これを機に、卵麹を使った商品の研究開発が本格化しました。

種麹メーカーでは、麹を造った先の分析・研究までなかなか進めません。麹の利用段階まで単独で担うのは難しいので、産官学が連携して共に推進できれば良いですね。

麹菌の新規用途利用
三宅

酒造業界の技術支援をしていると、麹造りの難しさが見て取れます。麹造りは昔から、多様な素材と微生物が出会い、先人たちが技術をブラッシュアップしながら育んできた営みです。

科学や企業の利潤も無視できませんが、そもそもチャレンジがなければ何も生まれません。県としても技術面や装置活用の局面で支援していければと思います。

神崎

岡山の工業技術センターには現在、株式会社フジワラテクノアートが開発した「小型通気式固体培養装置」があります。狩山さん、この装置についてご紹介いただけますか。

各分野からパネリスト4
狩山

研究段階で固体培養を行う際、通常はシャーレなどを使います。シャーレで培養するときに原料を堆積させると、微生物の活動により中心部が過度に熱を帯びて中の菌が死んでしまいます。

よって、原料を薄く堆積させて培養します。

しかしながら、薄層で試しても、実用規模で固体培養したときの生産性を確認できず、産業化しようとする上でのネックになっていました。

一方で、いきなり実用化に向けたパイロット機を導入するハードルも高い。

そこで、実用規模の固体培養装置と同様の生産性と品質を再現できる小型の装置を開発しました。同機は、基質通気式品温制御を採用しているため、原料を高堆積させて通気を行う実用規模のテストを実施できます。

小型通気式固体培養装置
水戸

小型通気式固体培養装置があれば、固体培養のスケールアップ・スケールダウンの条件を検討できます。経営判断しやすくなりますね。

開発された機械をメーカーが実際に使っていくことで、機械の性能も向上してきています。メーカーとしても今後協力していきたいです。

五味

講演で秦さんも「価値の創造と価値の獲得」に触れられていましたが、大学と企業の間でも相互に知見を共有し合ってwin-winの関係を築いていけたら良いですね。

企業から「面白い現象が起きた」と大学に情報をお寄せいただいて、大学が原理原則から原因を深掘りし、企業にフィードバックすることで、発展させていきたいです。

神崎

今回のシンポジウムをはじめ、微生物インダストリー講座、コンソーシアムを、人脈づくりにも活用いただければ幸いです。

今後も折に触れて麹菌、固体培養の可能性を発信していきたいと思います。共に発展させていきましょう。

参加者の声:総合討論を聞いた感想

総合討論を聞いた感想

・研究者と産業界の連携が生み出す可能性が意外なほど身近に感じられ、大変有意義な時間でした。
・微生物に精通している方々の麹菌に対する討論を聞くことができ、麹菌の研究や利用について理解が深まりました。
・産学連携について、興味のベクトルの違いやすり合わせの大変さを伺い知ることが出来ました。また、麹菌を国菌に持つ日本の可能性を垣間見ることができました。
・産学連携が実際マネージメントされていく未来図が見えました。
・限られた県ではなく、各県に一つとういくらいの数の発酵技術をとりまく産学連携が立ち上がって活性化されていくことを望みます。

「微生物インダストリー」への期待が確信に変わった

那須保友さん

閉会のあいさつで那須保友 岡山大学理事(研究担当)・副学長は、「本日のシンポジウムで、遺伝子レベルから機械レベルまで、麹の働きについて理解できました。

今夜の晩酌で思い出しながら、美味しくお酒を飲みたい」と、「酒好きの個人の立場」から、ユーモアを交えてシンポジウムを振り返りました。

続いて、「産学共創を推進する役員の立場から」として、次のように語りました。

「『微生物インダストリー』という講座名を耳にしたとき、ワクワクドキドキしたことを覚えています。大きなポテンシャルのある素晴らしい言葉だと感じました。あのときのワクワク感が、本シンポジウムを終えた今、確信に変わりました」。

最後に、「固体培養という独特の技術を世界に向けても発信し、一層領域を広げて活性化していきたい」という那須副学長の宣言で、シンポジウムは幕を閉じました。

参加者の声:微生物インダストリー講座に期待すること

・このコンソーシアムが全国に広がっていくことを期待します。
・今回のように、微生物の産業利用に関する情報をご提供いただければありがたいです。発酵食品メーカーに向けた情報提供により、新たな刺激を与えて活性化していただきたいと感じております。
・全ての動植物は微生物に支えられているわけです。もっと微生物に助けて頂けるようにして、健康問題から労働力不足問題など、今後さまざまな問題を解決していきたいものです。
・企業や大学、県の麹に関する意見を共有することで、多くの視点からの意見を聞くことができ新たな発見があるため、とてもいい機会だと思います。
・産学連携でこれからの未来は大きく変えていける事を今回確信いたしました。各分野においてのご活躍を期待いたします。

ライター:

1985年生まれ。米国の大学で政治哲学を学び、帰国後大学院で法律を学ぶ。裁判所勤務を経て酒類担当記者に転身。酒蔵や醸造機器メーカーの現場取材、トップインタビューの機会に恵まれる。老舗企業の取り組みや地域貢献、製造業における女性活躍の現状について知り、気候危機、ジェンダー、地方の活力創出といった分野への関心を深める。企業の「想い」と人の「語り」の発信が、よりよい社会の推進力になると信じて、執筆を続けている。

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