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海が沖縄の観光資源でありつづけるには? 水難事故と観光

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ぱくたそより

19日午前、沖縄県糸満市の沖合でダイビングをしていた7人が行方不明になり、海上保安庁による捜索が行われた。その後、全員が無事に救出されている。

今回の事故は「ドリフトダイビング」といわれる、潮の流れを利用して潜るダイビングだったという。この方法は、珍しい生き物や地形を見ることができる一方で、一定の基準をクリアし、中級レベル以上のダイビング経験があり、かつ体力のある人でないとできないものだ。珍しい潜り方ではないが、一般的なダイビングよりも危険を伴い、どんなにベテランのダイバーであっても少しのミスで命の危機にさらされることがある。

また、強い風が吹いていて潜るのには適していない天候であったこともあり、今回のような事故につながった。7人全員が無事だったことは何よりも幸いだが、一歩間違えれば死者が出ていても何らおかしくはなかっただろう。

後を絶たない水難事故

ダイビングは普段見ることのできない海の環境や生態に触れることができる、世界中で多くの人を虜にしているアクティビティだ。しかし、それと同時に常に命の危険も隣り合わせである。海の生き物には危険なものも存在することはもちろん、海流や酸素切れ、窒素の管理など、さまざまなことに注意して潜る必要がある。

しかし、いくら万全の準備をして海に潜ったとしても、水難事故のリスクが0になることはありえない。沖縄での水難事故は後を絶たず、今月10日には石垣市で長野県からダイビングツアーに参加していた女性が亡くなった。また沖縄県警によると、2022年の水難事故件数は過去10年間で最多となる106件で、コロナによる規制が落ち着いて観光が盛んになるのと同時に海での事故も増えているのである。

海難事故が発生しているのはもちろん沖縄だけではないが、海が住民の生活と密接に関わっており、また大きな観光資源の一つであるため、海に行ったり潜ったりする人の数が圧倒的に多い。それゆえに、海での活動における安全を守ることは沖縄が抱える大きな課題の一つだろう。

安全、安心は持続可能な観光の基盤

観光におけるSDGsの達成の視点の一つに「相互理解・平和構築・安全/安心に貢献する観光の役割」がある。観光客を増やしたり、訪れた人がその土地や文化に親しみを持つことで新たなつながりが生まれたり、一度訪れた人がまた足を運んだりと、持続的な観光を実現するにはその基盤として安心、安全に観光を楽しめることは必要不可欠だ。

沖縄の美しい海を楽しみに足を運ぶ観光客は非常に多い。それは一人であったり、家族や友人、子連れであったり、あるいは結婚式であったりさまざまだ。その人たちの大切な瞬間を傷つけることのないよう、海難事故防止への取り組みは常に必要で、観光がピークを迎える夏に向けてアップデートし続けなければならない。

今回の事故を踏まえて、これから同じスポットで潜ろうとしている人たちへのサポートや、ダイビング時の体制の見直しや改善、参加者の基準の見直しといった対応やアップデートが求められるだろう。

水難事故を絶対に発生させないということは難しいかもしれないが、起こさないための最大限の取り組みをしなければならない。また発生した場合に即座に対応できる連携の仕組みや、地域の協力体制も整える必要がある。海という大きな自然を相手にしている以上、それを楽しむ私たちは、アクティビティの運営側はもちろん、参加する側もそのリスクや緊急時の対応を常に意識しているべきだ。

海での安全や、海洋環境など、沖縄が海に対して抱える課題は多く、それぞれが非常に重たいものでもある。しかし、それに対する取り組みや努力が、この先50年、100年、それよりもっと先の海の未来を大きく左右するだろう。

[参考]
「強い風、潜るのに適していない」地元ダイビングショップ ドリフトダイビングか – 産経ニュース
長野から沖縄旅行中の74歳女性死亡 石垣島でダイビングツアー中に「体調不良で意識不明に」
水難事故が最多ペース 連休中は増える傾向 県警「油断が事故に、危機意識持って」 | 沖縄タイムス+プラス ニュース

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ライター:

フリーライター。昔から感想文や小論文を書くのが好きで、今なお「書くこと」はどれだけしても苦にならない。人と話すのが好きなことから、取材記事の執筆が主軸となっている。新潟県で田んぼに囲まれて育った原体験から、田舎や地方への興味があり、目標は「全国各地で書く仕事をする」こと。

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