
着物のシルクをアップサイクルし、美しい髪へと再生する固形シャンプー「KINUITO(キヌイト)」が注目を集めている。
開発したのはレクストホールディングス傘下のレクストシェアードサービス株式会社に所属する徳永有華氏だ。
同社はリユース事業を展開する株式会社REGATE(リゲート)を中核とし、出張買取サービス「福ちゃん」で知られる。
グループ全体では2025年4月現在、従業員数約691名、パートアルバイト84名(2025年4月現在)を擁する。
着物再生から生まれた固形シャンプー「KINUITO」
KINUITOは、買取現場で顧客から寄せられた「大切な着物を次に生かしてほしい」という声が着想の原点だった。
徳永氏は「着物には長く受け継がれてきた思いが込められている。これを新しい形で活かしたいと考えた」と語る。
着物シルク抽出に50社を当たり実現

着物からシルク成分を抽出するプロセスは平坦ではなかった。安全性確保のために染料を含まない白い長襦袢などの着物に限定し、抽出可能な協力会社を国内外で50社以上探し回った。
2023年冬には試作品が完成し、1着の着物から約600個のシャンプーバーが生産可能という高い持続可能性も実現した。
2023年5月には社内の新規事業支援制度「CVC制度」でプロジェクトが採択され、同年7月より本格始動に至った。
アマゾンで購入可能 高評価レビューも多数
KINUITOは2024年12月からAmazonで販売を開始。
商品名は「シャンプーバー KINUITO」で検索すればすぐに見つかる。着物再生という独自性に加え、使用感への評価も高く、レビューでは次のような声が寄せられている。
「初めてのシャンプーバーで不安でしたが、泡立ちが良く頭皮までスッキリ洗える。髪の艶も出てきた。」
「スタイリング剤もすっきり落ち、カラー持ちも良い。リピート確定。」
「香りがとても上品で癒される。ヘッドマッサージがしやすい濃密な泡で驚きました。」
筆者の使用体験 泡立ちと香りの良さに驚き

実際に筆者もKINUITOを試用した。
まず驚いたのは泡立ちの良さだ。固形シャンプーというと泡立ちが悪い印象を持つ人も多いかもしれないが、KINUITOは濃密で弾力のある泡が簡単に立ち、髪全体をしっかり包み込んでくれる。
泡が流れにくいため、ヘッドマッサージがしやすいという利用者の声にも納得した。
香りも特筆すべきポイントだ。KINUITOには「ホワイトティー」の香りが使用されている。爽やかでほんのり甘さを感じさせる上品な香りで、バスルーム全体が癒しの空間に変わる。
使用後の髪からもほのかに香りが残り、リラックス効果も感じられた。
さらに、KINUITOはトリートメントイン処方で、これ一つで洗髪が完結する。1個で液体シャンプー約300mlの2本分に相当し、鎖骨から胸元までの長さの髪なら2ヶ月から2ヶ月半は持つ。
価格だけを見ると高価に感じるかもしれないが、実際のコストパフォーマンスは高い。
環境配慮と伝統文化を次世代へ
KINUITOは環境への配慮も徹底している。プラスチックフリー包装、水分量削減による輸送時のCO2削減、水資源節約など、SDGsに適合した製品設計となっている。
さらに、アメリカでのクラウドファンディングでは目標額の870%を達成し、約430万円の資金調達に成功。海外でも高い支持を得ている。
徳永氏は「まずは国内での黒字化を目指し、その後海外展開にも力を入れたい。着物の想いを未来につなぐ新しい価値を提供していきたい」と語る。
日本文化と環境への配慮が融合したシャンプー「KINUITO」。その挑戦は、モノを大切にする心と、美しさを求める人々を結ぶ、新しい時代のライフスタイルを提案している。