
電気自動車(EV)向け充電サービス「Terra Charge(テラチャージ)」を展開するTerra Charge株式会社(東京都港区)は、機械式駐車装置メーカーのIHI扶桑エンジニアリング(東京都江東区)と連携し、新築集合住宅へのEV充電設備導入を加速させる取り組みを開始した。
機械式駐車場へのEV充電導入の課題と解決策
機械式駐車場は、限られたスペースを有効活用できる利点があるものの、車両を乗せたパレットが昇降する構造上、EV充電器の設置が難しいとされてきた。充電ケーブルがはみ出すことでパレットの昇降が妨げられるリスクや、車両充電口の寸法制約などが課題となっていた。
今回の連携では、IHI扶桑エンジニアリングが提供する幅1950mm以上の広いパレットを活用し、充電ケーブルのはみ出しリスクを最小限に抑える。地上一段部分へのEV充電器設置を標準化することで、多様な車種への対応を実現し、機械式駐車場でも安全かつ利便性の高いEV充電環境を提供する。
EV充電インフラ拡充の重要性
EVの普及には充電インフラの整備が不可欠であり、経済産業省は2030年までにEV充電設備を30万口、集合住宅向けには10~15万口の設置を目標としている。日産自動車の調査によると、EV購入検討者の約82%が集合住宅にEV充電設備がないと回答しており、充電インフラ不足がEV普及の大きな障害となっている。
IHI扶桑エンジニアリング 代表取締役社長 安藤雅範氏
「EV充電サービスと機械式駐車場の組み合わせは、都市部の限られたスペースを有効活用しつつ、EV利用者に利便性を提供する革新的なソリューションです。当社では自動車メーカーをはじめ、関連企業様と幅広く取り組みをしており、この度のTerra Chargeとの協業によりさらなるEV充電の普及の加速を期待しております。
IHI扶桑エンジニアリングは、社会環境の変化に対応し、お客さまのニーズに応えることができる創造的・革新的かつ確かな品質の製品を提供し続けます。二多段式パーキングのリーディングカンパニーとして、ステークホルダーの皆さまの期待に応え、信頼される会社となるよう努力を続けてまいります。」
Terra Charge株式会社 代表取締役社長 徳重徹氏
「当社は、”すべての人とEVにエネルギーを”をミッションに、EV向けの充電サービス『テラチャージ』を日本全国で提供しています。合意形成が難しく導入が進んでこなかった集合住宅へのEV充電導入から事業をスタートし、現在では商業施設、公共施設、宿泊施設など幅広い施設形態でご採用いただいています。
今回の取り組みは、当社の出発点である集合住宅へのEV充電の普及を加速させる大きな一歩です。IHI扶桑エンジニアリングとの連携により、多くの集合住宅で採用されている機械式駐車場でのEV充電を可能にすることで、導入のハードルを下げ、より多くの方にEVを選んでいただけるきっかけになればと考えています。高い技術力が求められるこの分野において、EVをお持ちの方にも、これから購入を検討される方にも、よりよい環境をご提供できるよう、引き続き全力で取り組んでまいります。」
今後の展開
本連携により、IHI扶桑エンジニアリングの機械式駐車場を導入する新築集合住宅において、EV充電器の同時設置が可能となる。これにより、EV利用者の利便性向上だけでなく、不動産デベロッパーにとってもEV充電設備を標準仕様として取り入れやすくなる。将来的には既存の機械式駐車場へのEV充電設備導入も視野に入れ、さらなる普及促進を目指す。
EV充電インフラの整備が進むことで、日本におけるEVの普及が加速し、持続可能な社会の実現に向けた大きな一歩となることが期待される。