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エルメス、サステナビリティへの取り組みを加速 レポートから見る、伝統と革新の融合

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エルメス Activity Report
開示されたデータブックActivity Report2023より

エルメスは、サステナブルな取り組みを積極的に展開している。伝統を守りながら未来への挑戦を続けるエルメスの姿勢を見てみよう。

2023年度の活動報告:持続可能性を追求する革新

最高級の素材と職人の技術によって、時代を超えて愛される製品を生み出し続けるエルメス。同社は環境保護と社会貢献にも力を入れている。2024年4月に開示された2023年度の活動報告「Activity Report2023」では、「驚き」をテーマに、様々な分野での革新的な取り組みが報告された。アクセル・デュマスCEOは、最高品質の素材を用いた製品づくりへのこだわり、そして持続可能な未来への貢献を目指す姿勢を強調した。

経営陣として、「エルメスは製品の美しさを追求するだけでなく、社会的責任を果たすブランドとしての地位を強化していく」との意向を示してもいる。また、「美しいものは美しい場所で作られる」という哲学を支えに、ローカル生産とエシカルな調達をさらに推進する考えを述べていることが特徴といえる。

環境負荷軽減への具体的行動

環境負荷軽減への取り組みとして、フランス北部のルヴィエに新設された工房「Maroquinerie de Louviers」は、環境負荷を最小限に抑えるE4C2ラベルを取得した施設とのこと。この認証はフランスにおけるエネルギー(E)と炭素(C)の2つの基準で新しい建物の性能を評価する基準E+C-ラベルの中で、省エネルギーの項目で最高レベルのE4を持つというもの。ちなみに、この新工房はE4C2ラベルを取得したフランス国内初の産業用建物とのことで、地熱エネルギーとソーラー発電によってエネルギーを自給自足している。

エルメスはエネルギー効率と炭素排出削減において業界をリードする存在となっている。2030年までに建築物の炭素排出量を2018年比で50%削減するという目標を掲げ、その実現に向けた具体的な一歩を踏み出している。

さらに、エルメスは生物多様性保全の国際的イニシアチブ「Science Based Targets for Nature(SBTN)」にも参加。原材料調達や生態系保全において、世界的なリーダーシップを発揮している。

SBTs for Natureとは何か

「SBTs for Nature(SBTN)」は、SBTネットワーク(Science Based Targets Network)が策定した、自然資本に関する科学的基準に基づく目標である。企業がバリューチェーン全体で、水、生物多様性、土地、海洋など、相互に関連する自然システムにおいて、地球の限界内で行動できるよう支援することを目的としている。

具体的には、社会の持続可能性目標に沿い、科学的根拠に基づいた測定可能かつ行動可能な期限付き目標を設定することで、企業の行動を地球環境に調和させるというものだ。

SBTイニシアチブ承認取得:気候変動対策へのコミットメント

また、2022年には、エルメスはSBTイニシアチブの承認も取得している。世界の平均気温上昇を1.5℃に抑えるパリ協定の目標に整合した温室効果ガス排出削減目標を設定し、その達成にコミットしている。日本でも多くの企業がSBT認定は取得している。エルメスもまたラグジュアリーブランドとして、気候変動対策に積極的に取り組む姿勢を示すものだと言える。

長く使える製品:修理サービスの拡充

エルメスは「長く使える製品」という哲学のもと、製品寿命の延長と廃棄物削減を目指し、修理サービスの拡充にも注力。2023年には20万件以上の製品修理を実施したとレポートで開示している。この姿勢は、高級ブランドとしての価値だけでなく、持続可能性への実践的な取り組みとして高く評価できるものだ。

地域社会との連携:雇用創出と職人育成

エルメスは、2023年に2,400人の新規雇用を創出し、総従業員数は22,000人を超えた。また、「École Hermès des savoir-faire」を通じて職人技術の育成と地域コミュニティとの連携を強化。「美しいものは美しい場所で作られる」という哲学に基づき、ローカル生産とエシカルな調達を推進している。

マッシュルームレザー「シルヴァニア」:革新的な素材への挑戦

エルメスは、環境負荷の低い代替素材の開発にも積極的に取り組んでいる。スタートアップ企業MycoWorksと提携し、マッシュルームレザー「シルヴァニア」を開発。この新素材は、バッグ「ヴィクトリア」に採用され、サステナブルな素材への可能性を示した。

プティアッシュ:端材を活かす創造性

エルメスは、生産過程で生じる革やシルクの端材を再利用する「プティアッシュ」プロジェクトを展開。職人の技とデザイナーの創造性によって、端材はチャームやアクセサリーなどのユニークな製品に生まれ変わる。これは、資源の有効活用と廃棄物削減への貢献だけでなく、エルメスの職人の技術と創造性を示す象徴的な取り組みとなっている。

エルメスのサステナビリティへの取り組みは、単なる流行ではなく、ブランドの根幹に深く根付いた哲学に基づいている。伝統と革新を融合させながら、持続可能な未来を目指して進化を続けるエルメスの姿勢は、他のラグジュアリーブランドの模範となるだろう。

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ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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