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株式会社中部シイアイシイ研究所

https://www.ccic.co.jp/index.php

〒441-0301 愛知県豊川市御津町上佐脇大郡23番地

0533-77-2150

半導体事業の創成期からwin-winで結ばれた深い縁

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能面打ちが10数年来の趣味の青木さん
能面打ち(能面制作)が10数年来の趣味の青木さん。能面教室「面乃会」の作品展にて、自作の作品「喝食:カッシキ」(左端)とともに(画像提供:青木様)

「高い技術と誠実な仕事ぶり」と、株式会社中部シイアイシイ研究所を高く評価するのは、同社にとって初めての顧客となった株式会社デンソーのOB・青木賢之さん。

両社の出会いは、デンソーにおける半導体創成期まで遡る。

青木さんがデンソー半導体製造事業を担うIC部の製造部長に就任した年と、現社長の先代・山口幹夫氏が中部シイアイシイ研究所を設立した年が、同じ1984年だったという不思議な偶然に導かれて、縁が結ばれた。

「何かあれば、いつでも相談にのりたい」と親しみを込めて語る青木さんに、両社のこれまでのつながり、中部シイアイシイ研究所や先代および現社長に対する想い、将来に向けて期待することなどを、伺った。

青木さんと中部シイアイシイとの出会いが両社のターニングポイント

はじめに、青木様と株式会社中部シイアイシイ研究所(以下、中部シイアイシイ)とのつながりの経緯をお聞かせください。

青木

私はもともと、1961年に株式会社東芝(以下、東芝)の半導体事業部に入社して、1984年まで勤務しておりました。

1980年代半ばはちょうど、車のエレクトロニクスが進化してきた時期で、株式会社デンソー(旧・日本電装株式会社)が車載用の半導体を手がけ始めた頃。

同社も1984年にはいよいよ研究室から製造事業部になろうというタイミングで、同社に半導体を納めていた東芝から、私が製造部長として赴くことになったのです。

ちょうと私が株式会社デンソー(以下、デンソー)に入った1984年が、中部シイアイシイの先代社長・山口幹夫さんが同社を設立された年でした。

山口さんが日本シーアイシー技研株式会社とフランチャイズ契約を締結して、白衣のクリーニングを提供できるようになったタイミングです。

まだ実際に仕事はなく、サービスを提供する先を探しているという段階でした。

一方私のほうも、4月にデンソーの半導体製造部に加わったものの、当時のデンソーの半導体事業は未成熟で、やるべきことが山積していました。

白衣も自社でクリーニングしているような状態で、しかもほとんど一般家庭の洗濯と変わらないようなレベル。

半導体製造に必要なクリンリネスレベルには達していないと感じていて、白衣のクリーニングが懸案のひとつでした。

そんなとき、偶然、東芝時代に知り合った白衣製造会社の社長とお会いする機会があり、その方から「中部シイアイシイの山口さんが白衣のクリーニングを始めたよ」という情報をいただきました。

そこで早速、5月か6月には山口さんにお会いして、依頼することに。その秋からは、山口さんも中部シイアイシイとして本格始動されたという流れです。以来、ずっとお付き合いが続いております。

青木さんがデンソーに移って半導体製造事業部の部長になられた年と、白衣クリーニングを手がける中部シイアイシイが誕生した年が、たまたま重なったのですね。

そんな中部シイアイシイの現・代表取締役の山口弘修さんから、青木さんへのメッセージをいただいております。代読いたしますね。

38年の付き合いに感謝|山口弘修さんから青木賢之さんへ

  • 山口弘修さん
  • 青木賢之さん

デンソーさんは当社の初めてのお客様で、38年のお付き合いとなります。

当社は昭和53年に日本
シーアイシー技研株式会社との間にシーアイシーのフランチャイズ契約を締結後、東海エリアが半導体産業があまり盛んではなかったこともあり、お客様となる企業を開拓できず、6年間鳴かず飛ばずの時代が続いていました。

そんな時、当時製造部長を務めていらした青木さんが、クリーンスーツの洗浄を自社ではなく専門業者に任せる必要性を会社に進言し、当社を利用してくださったのです。

当社にとって大きなターニングポイントとなる出来事であり、青木さんには非常に感謝しております。

その後も、3名のデンソーOBの方々を弊社の顧問として紹介してくださったり、現在の製造部長と繋ぎ合わせてくださったり、様々なご縁をいただいております。

とても周囲から慕われる方で、もちろん私もファンの1人です。

当社の創立35周年記念式典にも来賓でご登壇いただきましたが、今後も末長くお付き合いいただけますと嬉しいです。

とのことです。率直なご感想をお聞かせください。

青木

過分なお言葉をありがとうございます。

先代の山口幹夫さんも真面目な方ですが、現社長の弘修さんも非常に真面目です。先代であるお父さまの仕事を、しっかりと引き継がれているという印象を受けています。


中部シイアイシイの従業員は、女性が多くを占めています。皆さん明るい表情で、朗らかに仕事をされています。私がたまに伺うときも、元気に挨拶してくださいます。

中部シイアイシイで仕事をする喜びが、自然と伝わってきますね。

私は大企業勤めでしたので、中部シイアイシイに伺うときに感じる家庭的な雰囲気を目にすると、「いい会社だな」とつくづく思います。

誠実で丁寧な仕事ぶりが社内でも評判に

中部シイアイシイにクリーニングを依頼することになり、デンソーの半導体製造事業部にどのような変化がありましたか。

青木

当時の半導体製造部では、白衣のクリンリネスレベルを保つことだけでなく、やるべきことが山ほどありました。

ですから、中部
シイアイシイに白衣クリーニングをお願いすることで、半導体製造に必要なレベルのクリンリネスを確保できるようになっただけでなく、安心して他のことに注力できるようになりました。

仕事ぶりも、誠実で丁寧。社内の評判も高かったです。

あのとき中部
シイアイシイとの出会いがなければ、苦労したでしょうね。社内でクリーニングできる環境を整えるか、特殊クリーニングができる業者を探すことになったでしょう。

しかし、大きな組織内で、全く異なる分野のクリーニングをきめ細かに行うのは難しかったと思います。

かといって半導体製造に耐えうるクリーニングを手がける専門業者は、当時中部地区にはほとんどありませんでした。

中部地区で半導体やエレクトロニクスの分野が「これから」という1980年半ばに、特殊クリーニング事業を始められた山口さんは、先見の明があったと感じ入ります。

以来、38年が経った今も、お付き合いが続いているのですね。その後、中部シイアイシイは当初の従業員30人規模から200人規模の企業へと成長し、拠点も3拠点4工場体制へと拡大しました。

両社をとりまく事業環境も変化する中で、長いお付き合いが育まれた鍵はなんだったのでしょうか?

青木

やはり、信頼関係ですね。

特殊クリーニング事業はつまり、クリーンルームで使用する防塵衣、手袋、マスク、靴などを洗浄して、きれいな状態にして顧客に戻す仕事です。

顧客が使うものを手元に預かり、洗浄処置を施して、顧客が満足する状態にして戻すわけです。そこには当然、相手に対する信用がなくては、安心して頼めませんよね。

例えば、同じレストランに何度か食事しに行ったとして、あるときはおいしかったけれど、次に行ったら「この前となんだか味が違う」ということになると、そのお店には続けて行こうとは思いません。

逆に、毎回安定的な味でおいしい料理を食べさせてくれるレストランには、安心して何度も通えます。

企業も同じで、毎回しっかりした仕事を届けてくれると、安心して任せられます。これは、契約書に記載している内容とは別次元で、実際の仕事ぶりという実績を見ないと分かりません。


その点、中部
シイアイシイは、毎回しっかりときれいに処置を施して戻してくださいます。

先代と現社長の真面目なお人柄も、中部シイアイシイの仕事ぶりに反映されているのでしょうか。

青木

それはありますね。従業員の方々の技術レベルも非常に高いです。おそらく山口社長の従業員に対する対応や育成が、しっかりしているのだと推察します。

従業員の約7割が女性で、パートの方が多いのですが、かなり定着率が高い印象です。新しく入られた方にも、しっかりと技術が引き継がれているようです。


技術承継は、組織内の上下関係や横の関係といった人間関係がスムーズでなくては、なかなかうまくいきません。

一朝一夕にできることではありませんから、高い技術と誠実な仕事ぶりの要には、中部シイアイシイのDNAのようなものがあるのかもしれません。

偶然に導かれたwin-winの関係性「何かあればいつでも相談にのりたい」

それでは、青木さんにとって中部シイアイシイは、ずばりどのような存在でしょうか?

青木

かけがえない偶然のご縁で結ばれた、win-winの間柄ですね。

私が先代と出会ったきっかけは、全くの偶然でした。私が東芝からデンソーに移っていなければ知り合えませんでしたし、ちょうど山口幹夫さんが中部シイアイシイを設立したのが同じ年というのも、深いご縁を感じます。

当時の山口さんにとって、デンソーから新事業の仕事の依頼を受けるということは、大きな意味があったと思います。


また、当時デンソーで半導体製造事業部の製造部長をしていた私としても、非常に助かったことを今でも記憶しております。

半導体製造に必要な環境をととのえるためのクリーニングを、中部地区でお願いできるのですから。

本当に、偶然のご縁ですね。そのように取引が始まり、先代や現社長の相談にのるようなお付き合いへと発展していったのですね。

青木

私はどちらかと言うとまあ、いい加減なほうで(笑)。山口さんは父子とも真面目で几帳面なので、気が合ったのかもしれません。何かあれば、いつでも相談にのりたいと思っています。

創業35年記念式典でもお話されていましたが、先代社長は、以前は毛織物事業をされていて、一度それを全て清算してクリーニング事業を立ち上げられました。

そんな苦労話や、新たに大きな投資をされる際のお話なども伺っていて、私も力になれればと常々思っております。

愛知県の御津町に御津プラントを竣工した際は、現社長がすでに就任されていて、「このタイミングで大きな投資をしても大丈夫だろうか」とこぼされる様子も垣間見ました。

システム関連の相談にのったり、仕事の方法やクライアントが内製化を実行する局面で相談を受けたりしたこともありました。

半導体製造事業に携わってきた経験の範囲内での助言なので、どれだけお役に立てたかは分かりませんが。

中部シイアイシイの可能性に期待「ノウハウと女性たちの発想力生かして」

心強く感じておられたのではないでしょうか。それでは、中部シイアイシイとの関係を今後どのように発展させていきたいとお考えですか?課題も含めお聞かせください。

青木

現在は、直接お仕事に関わることはありませんが、現役の製造部長や工場長などにコンタクトを取ることは可能です。情報交換のお役にも立てると思いますので、いつでも相談してください。

社会環境、企業をとりまく環境が変化する中、中部シイアイシイの仕事へのニーズは今後ますます増加すると思います。

例えば、自動車製造にしても、以前は油だらけになって機械加工していたのが、EV化するとよりクリーンな現場環境が求められるようになります。

SDGsの観点からも、中部シイアイシイが貢献できる部分は大きいです。今後ますます、防塵服や手袋、マスクなどの廃棄時期を出来るだけ伸ばしたいので、クリーニングして再利用しようという流れになるでしょうから。

さらにいうと、クリーニングだけでなく、防塵服などの耐久性や機能性の高い製品自体を開発、製造して提供することで、より貢献できる幅が広がるのではないでしょうか。

中部シイアイシイがこれまで特殊クリーニングで蓄積したノウハウと、高い技術をもつ従業員の女性たちの発想力を生かして、他社と差別化できる製品を提案できる可能性があると想像しています。

7割を占める女性従業員の皆さんの中から、デザイン、開発、管理などに携われるような人材に育ってくれば、さらに大きな力になりそうです。

最後に、現社長の山口弘修さんと先代の山口幹夫さんに、一言ずつお願いします。

青木

山口社長を慕ってサポートする方々が、着々と育っていると聞いております。手がける分野も半導体だけでなく、医療関係、薬品関係にも拡大されています。

先代をしっかりと引き継いで経営されていて、非常に頼もしいです。

中部シイアイシイは大きな可能性を秘めた会社ですから、現在の事業規模を倍にするほどの具体的な計画を立てているといいかもしれません。

クリーニング以外の分野の開拓も含め、野心的に事業展開していかれることと、期待しております。

先代の山口幹夫さんとは、コロナ禍ということもあり、創立
35周年記念式典以来なかなかお会いすることが叶わずにおります。

コロナが落ち着いて全国的に動きやすくなりましたら、ぜひ一緒にゴルフでもしましょう!

38年間の親交を今後さらに深められることと確信しております。本日は、ありがとうございました。

◎企業概要
・社名:株式会社デンソー
・設立:1949年12月16日
・本社所在地:愛知県刈谷市昭和町1-1
・HP URL: https://www.denso.com/jp/ja/

◎プロフィール
青木賢之(あおき・まさゆき)
1936年生まれ。九州大学理学部物理学科卒 1961年東京芝浦電気(現東芝)入社 1984年日本デンソー(現デンソー)入社 1994年退社する迄一貫して半導体事業に関わる。1994年(株)移動体通信先端技術研究所 高温超電導フィルタの開発に従事、2000年(株)クライオデバイス 移動体通信基地局用高温超電導フィルタの商品化に従事、2002年事業終了 現在(株)ワールドテック相談役。

ライター:

1985年生まれ。米国の大学で政治哲学を学び、帰国後大学院で法律を学ぶ。裁判所勤務を経て酒類担当記者に転身。酒蔵や醸造機器メーカーの現場取材、トップインタビューの機会に恵まれる。老舗企業の取り組みや地域貢献、製造業における女性活躍の現状について知り、気候危機、ジェンダー、地方の活力創出といった分野への関心を深める。企業の「想い」と人の「語り」の発信が、よりよい社会の推進力になると信じて、執筆を続けている。

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