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申真衣氏がGENDA社長を電撃退任 株売却で57億円確定、「EXIT完了」でおシンマイか?

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GENDA HP
GENDAのコーポレートサイトより。メディアで注目されてきた申真衣さん(右)の社長退任で普通の企業になっちゃったという声が……

株式会社GENDAは5月13日、海外市場を対象とした公募増資と既存株主による売出しを通じて、総額約281億円の資金を調達すると発表した。海外展開とM&A戦略の一環として、調達資金の一部を北米のエンターテインメント企業Pixel Intermediate Holding Corporationの買収資金に充当する。

 

公募・売出しの概要

今回の増資では、発行済株式の12.3%に相当する2,000万株を新たに発行。発行価格は1株あたり969円で、約201億円の資金を調達する見込みとなっている。加えて、主要株主の合同会社シンマイが5,149,200株を売却し、こちらも同価格で約57億円を調達。全体で約281億円の資金が動く形となった。

新株発行および売出しの払込期日は5月28日、受渡期日は5月29日を予定している。

資金の使途と戦略

調達資金のうち30億円は、Pixel Intermediate Holding Corporationの買収費用として充当される。Pixel社は北米に104店舗のゲームセンターと約2,000か所のミニロケーションを展開しており、GENDA傘下のKiddletonとともに、北米市場でのプレゼンス強化を狙う。Pixel社の買収クロージングは2025年7月1日を予定している。

残る資金は152億円をM&A準備金として活用し、エンターテインメント事業の拡大を目指す。具体的には、国内外のアミューズメント施設のロールアップや、カラオケ・ツーリズムなど既存事業との相乗効果が期待できる領域において戦略的買収を進める方針だ。

 

シンマイの売出しと経営体制の移行

同時に行われた合同会社シンマイによる売出しでは、保有株の約84.4%に相当する株式が市場に放出される形となった。シンマイは創業時からの関係株主であり、今回の売出しにより資本関係がほぼ解消されることになる。

また、申真衣氏は4月25日付で代表取締役社長を退任し、取締役に就任。今後は、片岡尚氏が代表取締役社長 CEOとして陣頭指揮を執る体制へと移行している。申真衣前社長の退任と、今回の売出しによる持株全処分が重なったことで、投資家心理に強い動揺が走った。SNSや掲示板では「シンマイショック」「夢を語ってカネを集めておきながら、社長を辞めたとたん利益確定して去った」「完全にEXIT案件だ」といった批判的な論調が目立つ。

ある投稿者は「ゴールドマンサックス的には賢いが、信じてついてきた投資家やステークホルダーはどう思うのだろう。ある種の裏切りに近い」と申氏の経営姿勢に疑問を呈していた。

 

M&Aドリブンな成長モデル

GENDAはこれまでに、セガエンタテインメント(現GENDA GiGO Entertainment)、プレビ、ハローズ、シン・コーポレーションといったエンタメ関連企業を買収してきた。M&Aによるスケール拡大とPMI(統合プロセス)を組み合わせ、グループ全体での収益性と効率性の向上を図ってきた。

新社長の片岡氏は「世の中をあっと言わせたい」とコメントしており、今後も積極的な資本提携とグローバル展開による持続的成長を推進する方針だ。

実際にGENDAにとって、今回の一連の動きは企業成長のための“前向きな希薄化”と説明されている。しかし、申真衣氏の退任と連動した株式売却は、企業統治や投資家への説明責任という観点で強い印象を残した。特に女性リーダーとして世間から高い注目を浴びてきた申氏の“出口戦略”には、市場全体に少なからぬ余波を与えたことは否定できない。

それでも、今後のM&A成否や分割後の個人投資家の呼び込み次第では、再び株価が浮上する可能性もある。市場の期待と失望が交錯するなかで、GENDAが再び信頼を取り戻せるか。そのカギは、新たな“あっと驚く”買収と統合プロセスの成果に託されているのだろう。

ただ、多くの投資家たちは、今回の売却劇の手痛い仕打ちに、こう締めくくった――

これで、おシンマイ。

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寒天 かんたろう

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ライター歴25年。月刊誌記者を経て独立。伝統的な日本型企業の経営や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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