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第10回 NTTグループ サステナビリティカンファレンス表彰式 開催レポート

サステナブルな取り組み イベント
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2023年6月12日、パレスホテル東京にて、「第10回 NTTグループ サステナビリティカンファレンス表彰式」が開催された。NTTグループが取り組むサステナビリティ施策の中から2022年度の最優秀賞が決定した。

NTTグループ サステナビリティカンファレンス

当日は、計113件のエントリー施策の中から厳正な審査を通過した12施策の取り組みが発表された。最優秀賞6件と優秀賞6件に対する表彰と最終的に、プレゼンMVPが決定。また、今回の大会でちょうど10周年にあたるとのことで、NTT の島田明代表取締役社長からの本表彰式の総評があった。

島田社長「サステナビリティを我々のビジネスの軸にしていきたい」

島田社長は、本表彰式の総評として、「今回で10回目の開催となるが、年々CSVの案が増えてきた。
本取り組みを通じて、世の中に対して価値のあるものを提供し、サステナビリティを我々のビジネスにしていきたい」とコメント。また、「10年前の受賞施策は、世の中に浸透している。今日の発表も、10年後に、“ここまで大きな取り組みになったね”と振り返りたい」と、受賞施策への思いも語った。

サステナビリティ課題の解決につながる施策

審査を通過した12施策の取り組みには、社会的課題の解決につながりうるものが数多くあった。実際に、地産地消によるカーボンニュートラル化やドローンによる医療用品サプライチェーンの構築、漁業のDX化、予測的な医薬調達システム、森林や林業のDX化など多岐に及ぶ。

昨今、環境問題が社会に及ぼす影響への認識は広まる一方で、企業各社のESG対応、及び統合報告書の開示状況を見ると、まだまだ取組みは限定的であり(2割前後とも言われる)、プライム市場の一部の会社のものというのがサステナビリティを取り巻く現実であるが、本イベントは、日本企業としてサステナビリティに本気で取り組んでいる企業があることを証だてる好事例になったと言える。NTTグループの社会課題を解決していこうという姿勢が他企業にも広がっていくことを願う。

さて、ここからは最優秀に選ばれた施策を紹介していく。

地産地消によるカーボンニュートラル化を実現

1施策目は、株式会社NTTデータ(沖縄)による「エネルギー自給自足の新たな形~オンサイトPPA6を活用した“ 官民一体 × 地産地消 “のGreen BPOセンタ~」というもの。これは、沖縄IT津梁パークにおいて、地元エネルギー企業と協業し、施設のカーボンニュートラル化を推進している取り組み。

太陽光・風力による発電と、県産資源由来の非化石証書を活用してCO2排出量を実質ゼロとする沖縄電力の電気料金メニューにより、地産地消で施設の電力のカーボンニュートラル化を実現した。今後も、建築・電気・環境等の国家資格を保有する総勢160 名超のユニークなファシリティ専門部隊により、建物の計画・設計・構築・運用まで一気通貫で携わる大胆なエネルギー調達等を進め、環境負荷低減をめざすとのこと。

評価ポイントは、島しょ型として他からの電力融通が難しい地理的制約を乗り越え、官民連携で地産地消のカーボンニュートラルなBPOセンタを構築したこと。沖縄らしい島しょ型エネルギーの形を実現している点、NTTデータのファシリティ専門集団としてのファシリティマネジメント事業部の力を発揮している点など。

ドローンを活用した医療用品サプライチェーンの構築

続いての施策は、NTT DATA Business Solutions(アフリカ東部:マラウイ)による「Take off with sustainability」という内容。

これは、高性能なドローン「Wingcopter」により、マラウイ(アフリカ東部)で医療用品のサプライチェーンを構築し、100種類以上の医療用品を現地で調達することを実現したもの。

従来は道路インフラが未整備なことなどによって、医療品センターから診療所等への医療品輸送に丸1日かかっていたという。それが、本施策でドローンを活用することで、わずか20分で現地調達する仕組みを実現。さらに、現地の若者を「Wingcopter」のドローンパイロットに育成することで雇用機会も創出しており、「命を救う」「命を向上させる」という2つの側面で社会課題の解決に貢献した。
今後、通常の交通手段が難しい場所の食料配達も含めたサービスの展開を構想している。

評価ポイントは、新しいデジタルロジスティックプラットフォームを介することで「Wingcopters」のデジタル機能が拡張されたこと。ドローンにより100種類以上医療用品をわずか20分で現地調達を実現している点、さらに、ドローンパイロット育成を通じ現地の若者の雇用創出にも貢献している点、さらにNTTグループの事業との親和性が高い点など。

漁業DXと鮮度可視化によるサステナブルな漁業支援の実現

3施策目は、株式会社NTT東日本‐南関東(千葉)の施策。「漁業DXと鮮度可視化によるサステナブルな漁業支援の実現~地域密着型漁業DXによるISUMIモデルの展開~」という内容だった。

これは、千葉県いすみ市において、官民連携の地域課題解決の「ISUMIモデル」を構築。その中のひとつの取組みとして、地域密着型の課題解決を図るため現場でヒアリングを行い、課題として挙がった「魚価向上」や「漁業者所得向上」に対し、IoTによる鮮度状況の可視化強化や、入札時間短縮や軽量稼働削減など漁業業務のDXを実施したとのこと。その結果、大原ブランドの価値向上と漁業担い手の確保両面が実現し、持続可能な漁業による地域活性化に貢献。
今後は、「ISUMIモデル」が社会実装・全国展開されることで全国の地域課題社会課題解決へより一層貢献できることをめざすとのこと。

評価ポイントは、マーケットイン型・現場密着型で課題を抽出したうえで、アナログ業務をひとつずつDX化し、ICTソリューションを提案・導入することにより、魚の価値向上・漁業収入のUPを実現する「ISUMIモデル」を構築している点。北海道大学で開発された食用動物の鮮度と食べ頃の可視化装置『MIRASAL(見らさる)』を活用し、鮮度の見える化を実施することで、廃棄ロスを削減し収益性の高い加工・販売が可能し魚の収益率を10倍にすることを実現可能としている点など。

最適在庫予測モデルによる過不足のない医療調達システムの実現

続いての施策は、NTT Nihilent, NTT Innov Lab Isr Predictive(イスラエル)の施策「Predictive Medication Procurement」

これは、使用期限に達した医薬品の廃棄は重大な環境問題を起こすリスクがあり、適切に医薬品を管理・使用していくことが重要であるなか、イスラエルのシュナイダー小児医療センターと共同で、予測的な医薬品調達のためのツールを開発し、データ分析により「一定期間の医薬品使用率」等を算定すること等により、最適在庫予測実施したもの。

医薬品最適在庫予測を可能とし、使用期限に達した医薬品の廃棄による環境汚染および旧在庫損失(年間最大38,354米ドル相当の節約が可能)の削減できるシステムを実現している。さらに、近隣病院と連携し、医薬品在庫の適正化(期限切れ間近の医薬品の共有)を構想。
今後、病院全体、近隣の病院、イスラエル内外の医療システム全体への活用の実現をめざす。

評価ポイントは、パートナーであるシュナイダー小児病院において、薬局サービスやIT部門等との協力体制の中、NTTが独自で開発した「購入数量」と「廃棄数量」 から 「一定期間における医薬品の利用状況」を見つけるアルゴリズムを提供し、医薬品形最適在庫予測を可能とした点、結果、使用期限に達した医薬品の廃棄による環境汚染および旧在庫損失を削減している点など。

森林・林業のDX化で国産材の安定供給と利用促進に貢献、カーボンニュートラルを実現

西日本電信電話株式会社(宮崎)の施策は「森林・林業DXによるカーボンニュートラル社会の実現~資源循環型社会の実現~」というもの。

これは、日本では、昨今の担い手不足等の問題により、「伐る、使う、植える、育てる」という森林の健全なライフサイクルが循環しない課題に直面している。そこで、ドローンや人工衛星を使って、森林の様々な情報(木の本数や種類、資産価値、CO2 吸収量)をデータ化・管理可した上で、森林情報をスマホやタブレットで見ることができる「森林クラウド」アプリを提供した。これによって森林の地域にの資産化に成功。木材の山林所有者等と素材生産者等がクラウド上で繋がることで、原木市場を介さずに、立木取引が成立し、 国産材の安定供給と利用促進に貢献するとともに、カーボンクレジットの発行によりカーボンニュートラル実現へも貢献した。

評価ポイントは、森林供給側・供給側・地方銀行や企業等を、森林クラウドでつなげることで、各プレイヤーの課題を解消し、かつカーボンニュートラルに貢献している点。ジャパンインフラウェイマークが提供する高精細なドローンよる計測や、NTTインフラネットの技術を駆使したAI解析(木の本数や種類・高さから 資産価値・CO2吸収量を算出)等NTTグループの技術やノウハウを駆使している点など。

AIによるリサイクルパーク利便性(UX)の向上

NTT Ltd(ベルギー)の施策は「Smart Recycling at Scale (Container Parks)」というもの。

これは、AI技術によってリアルタイムでごみの量を読み取り、過去データと合わせて分析することで、リサイクル容器の取り出しと回収の最適なタイミングを予測することを可能にしたもの。結果として、コンテナが満杯で容器を捨てられないといったことがなくなり、人々がストレスなくリサイクルパークを利用することが可能になった。路上でのゴミ捨て行為の防止にも寄与している。さらに、回収トラックの燃料費と CO2 排出量を最小限に抑えることも実現している。
今後、他のエリアや産業にも適用し、資源配分の改善、運用効率の向上、環境負荷の削減等に貢献することをめざす。

評価ポイントは、シスコの提供するカメラに、NTTによるコンテナ検出・監視AI技術を組み込むことで、リアルタイムでごみの量を読み取り過去データと合わせ分析し、コンテナを交換する最適なタイミングを予測するしくみを作っている点。本施策により街の人々の利便性向上・不法投棄防止のみならず、回収トラックの燃料費とCO2 排出量を最小限に抑えることにも成功している点など。

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