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デジタルグリッド株式会社

https://www.digitalgrid.com/

〒107-0052 東京都港区赤坂1-7-1 赤坂榎坂ビル3階

「自分たちしかできないこと」が繋ぐ、地域のエネルギーの新たな形

ステークホルダーVOICE 株主
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(北酸株式会社 環境エネルギー部部長 若木 洋介さん 撮影:安藤)

デジタルグリッドの創業当初からの付き合いがあり、現在は株主である北酸株式会社(以下、北酸)。エネルギー商社として、カーボンニュートラルを目指す企業も支え、持続可能な地域づくりの担い手となっている。今回は、環境エネルギー部 部長の若木 洋介さんに、地域とエネルギーの未来や、デジタルグリッドとのかかわり、期待などを伺った。

【デジタルグリッドへの期待】
設備や資格、受給管理システムを持たずとも電気の市場参入ができるビジネスモデルを示したように、次なる新たなビジネスモデルを示すこと。またそれにより、「デジタルグリッドにしかできない」価値を生み出すこと。

誰でもできることをやらない」地域に不可欠なエネルギー商社

御社の事業について教えてください。

若木

弊社は富山県を拠点とするエネルギー商社です。1937年の創立から90年近くにわたり、地域密着型の企業として富山県内のさまざまな産業を支えてきました。

現在は産業ガス、LPガス、医療、化成品、産業資材の5つの事業部門が中心となっています。また、新エネルギーや水素エネルギーの推進にも注力しており、経済産業省より富山県の「地域未来牽引企業」にも選定されています。

富山というこの地域には昔から製造産業が根付いています。というのも、立山連峰の3,000m級の高い山々があるおかげで、雪解け水や地下水などの水力資源が豊富にあり、それを安価に使えたんです。それにより、多くの電力を必要とする金属加工業や重化学工業などの産業が根付きました。

また、そうした産業に欠かせないアンモニアや苛性ソーダを流通させるための基礎化学品産業や、それらの生産設備であるプラントを維持するために高圧ガスの需要もどんどん高まっていきました。そういった地域特性を背景に、弊社のエネルギー事業は展開、成長してきたのです。

若木様が所属する環境エネルギー部ではどんなことをされているのですか。

若木

私が現在所属している環境エネルギー部は、10年ほど前に当初は企画開発室としてできました。その頃は「脱炭素」という言葉を耳にすることはほとんどなく、「省エネ」と言われていましたね。

それから水素やアンモニアをエネルギーとして使う流れや、ただの電気ではなく環境価値のある電気がビジネスになるような流れが見えてきて、2021年に部署になりました。

現在は、カーボンニュートラルを目指す企業の支援を中心に行なっており、脱炭素のためのソリューション提案などをしています。

地域密着型のエネルギー商社として、総合的な視点から最適なサポートを提供している(画像提供:北酸株式会社)

御社は地域密着型を特長としていますが、地域にどのような貢献をすることを目指しているのですか。

若木

先述した通り、富山県は自然環境や資源に恵まれている地域です。しかし、電力を県内の発電だけでまかなうことは難しく、外から購入しなければならないのが現状です。そして、その電源構成比としては、水力が25%程度なのに対し、石油や石炭が50%近くを占めているのです。

石油や石炭はCO2排出係数が高いエネルギーなので、製造業が多い地域としては大きな課題となっています。

そこで、地域で使うエネルギーの選択肢をより多くすることが私たちの役目だと考えています。実際、お客様へ非化石証書や再エネの提案をするとすごく受けがいいですね。自分たちで発電しなくてもグリーンなエネルギーを使える選択肢の提示は、やはり求められていることなのだと思います。

この地域でできることには限りがあるので、そうした選択肢をどうしたらここまで持って来られるかを考えるのが私たちの役割だと思っています。

地域の課題を理解し、エネルギー商社だからこそできることを追求しているのですね。地域からはどのような企業だと見られたいですか。

若木

誰でもできることをやらない企業」ですね。他に選択肢がない、北酸にしかできないことをし続ける存在でありたいと思っています。

例えば、水素の事業をしているのは富山県内では弊社だけなんです。競合はいない強みがある一方で、供給責任といったリスクやノルマがあります。だから、「誰でもできることをやらない」のはなかなか難しいことです。

しかし、そういうことをする企業がいなければ、この地域や産業は間違いなく発展しません。大手が市場参入してくるのを待つしかなくなってしまいます。そんな中で「北酸さんがやっててくれて助かった」と思ってもらえるような企業でいたいですね。

なので、自分たちが発展してきて持っている知識や経験、技術を、自分たちだけが生かせるようなスタイルでシェアを取りに行っています。このやり方はこれから先も変わらないと思います。

この地域において唯一無二でありたいと語る若木さん(撮影:安藤)

自社だけでなく、地域や取引先の持続可能性まで見据えている、その背景にはどういった考えがあるのでしょうか。

若木

弊社は「喜んでもらいましょう」を経営理念としています。自分だけ良ければ、という考え方は創業時からないんです。自分が栄えるためには、周りも栄えないといけない。そういう発想が根底にあります。

それに、周りの産業が元気になってくれないとガスもエネルギーも売れませんから。喜んでもらえれば自分も一緒に繁栄していける、という考え方ですね。

「デジタルグリッドにしかできない」ではじまり、今も関係を繋いでいる

デジタルグリッドとの出会いのきっかけを教えてください。

若木

はじまりは、富山の立山科学さんという企業に問い合わせをしたことでした。当時はまだデジタルグリッド社としてサービスを始める前でしたね。その後デジタルグリッド社を創業された越村 吉隆さんが、立山科学さんに在籍していたんです※4。

その当時の構想を聞いて、事業の今後の可能性に関心を持ちました。また、ほかの企業にない知見や技術を持っていて、弊社の目指す「誰でもできることをやらない」とまさに一致していると感じたんです。それからお付き合いが始まりました。

※4:吉村氏は東京大学の阿部研究室と共同でデジタルグリッドルーターの開発を推進するため2014年立山科学工業へ入社。事業企画部長としてデジタルグリッドルーターの開発・実証プロジェクトを牽引。2017年に同社から移籍し、デジタルグリッド社を設立した。(出典:STARTUP DB 越村 吉隆 https://startup-db.com/officers/DendQJ1T3lM95aR4

これまでに特に印象的だった取り組みはありますか。

若木

デジタルグリッドさんが創業した2017年頃は、新電力の仕組みや環境価値など、当時はあまり普及していないような情報や資料を提供していただいていました。そういう情報を得られる場所や機会は限られていたので、すごく新鮮でしたね。

そこで得られた知見が現在の新電力の取次ぎ事業につながっているので、そういう意味でデジタルグリッドさんの存在は大きかったです。

また、CO2排出量削減検討の部分でかなりお力添えをいただきました。2022年に「CDP※1」「SBT※2」「EcoVadis※3」の認証を取得した際、その計画策定から認証取得までをサポートしていただいたのです。

それらの認証がまだ出始めの頃で、地方の中小企業は特に「CDPって何?」みたいな時だったんですね。それで何の知識もなく、設計も詰められていませんでした。

そこからプロジェクトの組み方や、必要な手続きの準備などを教えていただいて、同業他社や地域の中でどこよりも早く取得できました。苦労も少なかったと思いますし、取引先から認証を取得が評価されることが増えているので、非常に感謝しています。

※1:CDP…企業に対して温室効果ガスの排出量や、気候変動などに対する取り組みの情報公開を求める活動を行う組織。(参考:CDP https://japan.cdp.net/
※2:EcoVadis(エコバディス)…世界中で水準として用いられているサステナビリティ評価。(参考:EcoVadis https://ecovadis.com/ja/
※SBT…パリ協定が求める温室効果ガス排出削減目標の⽔準と整合する、持続可能な企業であることを示す。(参考:環境省「SBT(Science Based Targets)とは︖」 https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/SBT_gaiyou_20230201.pdf

北酸(5)
認証取得のサポートは特に深いかかわりとなったという(撮影:安藤)

現在はデジタルグリッドの株主として投資をされていますが、どんなところが魅力だと感じたのですか。

若木

やはり「デジタルグリッドさんしかやっていないこと」をしていたところです。

2016年に電力小売の全面自由化されたことで、誰もが電力の販売に関われるようになりました。また、当時は電化が進んでガスがどんどん下火になっていたこともあり、それに代わる事業として電気がすごく魅力的だったんですね。それで、どうしたらそこへ参入できるかずっと考えていました。

でも、電気の市場はすごく閉鎖的で。人員や設備に加えて、小売資格や受給管理システムなどが必要になりますし、小売資格を取ると責任も増えて、そこの整備もしなければなりません。なので、小売電気事業者には到底なれないと思っていました。

そんな中、デジタルグリッドさんは電気のプロでなくても市場に参入できるビジネスモデルを示してくれたんです。人員や設備も小売資格も必要ないし、受給管理も肩代わりしてくれて大きなリスクを抱えることもない。手数料を払えば、あとは電力を売ることにだけ専念できる。

市場参入の障壁を取っ払ってくれる、画期的なビジネスモデルでしたね。まさに私たちが求めていたシステムの基盤となるものでした。

その後デジタルグリッドさんも業態を進化されていった中で、今は株主として関係を続けていますが、これからも良い関係性でありたいと思っています。

これからのデジタルグリッドに期待することを教えてください。

若木

今のビジネスモデルは既にできあがってきているので、このまま伸ばしていってほしいです。そして、この次のビジネスモデルやフレーム、それについての情報発信や提案を期待しています。

ありがたいことに、デジタルグリッドさんの運営体制には全く不安がないです。なので、ただ純粋にこれからの取り組みや提案に期待し、投資をしています。

いままでの取り組みも相当とがったものでしたが、これからも「デジタルグリッドさんしかできないよね」という価値を生み出してほしいです。そして、そうしたビジネスモデルで私たちもご一緒できたら嬉しいですね。

デジタルグリッド 松井様からのコメント

北酸様からは、当社立ち上げから日が浅い時よりご支援いただき、再エネや脱炭素にかける情熱も共有させて頂いていると思っておりましたが、今回のインタビューでその思いをさらに強くしました。

これまでもDGP活用やFIT非化石証書代理購入サービス事業、自治体向け再エネ導入のフィージビリティスタディ調査プロジェクトなど連携させて頂き、また北酸様向けのSBTコンサルティングなどに関わらせて頂きましたが、今後の新しい事業展開の際にも是非連携させて頂ければと考えております。

◎プロフィール
若木 洋介
北酸株式会社 環境エネルギー部 部長

◎企業概要
設立 1937年10月2日
所在地 〒930-0029 富山県富山市本町11番5号
代表電話番号 076-441-2461
代表取締役社長 山口 昌広
従業員 北酸グループ 292名
資本金 47,000,000円
売上 174億円(2023年9月期決算)

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ライター:

フリーライター。昔から感想文や小論文を書くのが好きで、今なお「書くこと」はどれだけしても苦にならない。人と話すのが好きなことから、取材記事の執筆が主軸となっている。新潟県で田んぼに囲まれて育った原体験から、田舎や地方への興味があり、目標は「全国各地で書く仕事をする」こと。

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