内閣府「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」によると、「あなたは自分の将来について明るい希望を持っていますか」という問いに対し、日本は、アメリカ、スウェーデン、イギリス、韓国、フランス、ドイツの7カ国のなかで最下位。その理由として、日本の若者の自己肯定感の低さや、明るい将来像を描きにくい世相、閉塞感を生み出す日本の低成長率と深刻な所得格差など様々な要因があるなか、「キャリア教育の遅れ」も大きな影響を与えていると考えられています。
日本がキャリア教育に本格的に乗り出したのは2004年。「キャリア教育元年」と呼ばれるこの4年前に、自分らしい未来をつくるキャリア教育を社会に届けようと設立されたのが「特定非営利活動法人キーパーソン21」です。
それまで「普通の専業主婦」だったという代表理事の朝山あつこさんは、お子さんのある一言がきっかけでNPOを立ち上げ、地域・行政・企業・団体を巻き込みながら、子どもたち一人ひとりが自分らしく生きる力を育むための様々な活動を行ってきました。
今では、日本コカ・コーラ株式会社、カシオ計算機株式会社、富士通株式会社、パナソニック株式会社をはじめとする、世界に名だたる企業の応援が得られるほどに活動の広がりをみせています。
今回は、キーパーソン21代表理事の朝山さんの時代を動かす行動力の源となるもの、感謝を伝えたいステークホルダーへの想いを伺いながら、日本のキャリア教育のあるべき姿を探っていきたいと思います。
わくわくエンジン®発見中!教育NPOキーパーソン21
—キーパーソン21について教えてください。
キーパーソン21は2000年に創設された教育NPO(特定非営利活動法人)です。独自開発した教育プログラムを今まで5万人以上の子どもたちに提供してきました。
—どんなことを大切にして活動を行っているのでしょうか?
私たちが最も大切にしているのが「わくわくエンジン®」です。「わくわくエンジン®」とは、動き出さずにはいられない原動力のようなもの、自分らしく生きるための「軸」ともいえます。「わくわくエンジン®」が見つかれば、失敗しても立ち直り、自分らしい人生を歩いていくことができます。私たちの役割は、この「わくわくエンジン」を引き出すことだと考えています。
—「わくわくエンジン®」はどのように見つけることができるのでしょう?
「わくわくエンジン®」を見つけるために、私たちは「夢!自分!発見プログラム」を開発しました。社会で活躍する大人が人生や仕事について語る「おもしろい仕事人がやってくる!」、ゲームを通して自分の好きなことや大切にしたいことを知る「すきなものビンゴ&お仕事マップ」、大人とのコミュニケーションのなかで自己肯定感や主体性を育む「コミュニケーションゲーム」など多彩なワークショップを用意しています。また、より個別性の高いプログラムとして個別サポートも実施しています。
—数ある教育NPOのなかでキーパーソン21の強みはどんなところにあると思いますか?
まさに今申し上げたプログラムのような、具体的な解決策を持っていることが私たちの強みだと思います。
日本の若者は諸外国に比べて「自分の将来に希望が持てない」傾向にあるとされています。そういった若者に社会的に立派な大人の事例を紹介し、「この人は頑張っているよ!君も頑張れば未来は明るいよ!頑張って!」と元気づけたとして、どれくらいの若者が行動を変えるでしょうか。「ああ、この人は凄いね」で終わってしまうと思います。なぜかというと、それは誰かに強制されたものであり「やらされている感」しかないからです。
ですから私たちは「わくわくエンジン®」という、自ら動き出したくなるような原動力を大切にしています。内発的動機を引き出し、行動変容を引き起こすところまでフォローするプログラムを提供していること。それが私たちの価値だと思います。
「高校に行かない」という息子の一言が設立のきっかけに
—朝山さんがキーパーソン21を設立した経緯を教えてください。
キーパーソン21を設立する前の私は、息子3人を育てる普通の専業主婦でした。大学を卒業して就職先が決まっていたのに結婚して主婦になり、子育てに家事と目の前の生活と日々向き合って過ごしてきました。そんな私が生まれて初めてといっていいほど真剣にものを考えるようになったきっかけが、長男が中学2年生のときに起こった学校崩壊です。
暴れ回る子どももいれば、それを冷めた目で見ているだけの無気力な子どもたちもいる。本来、学校は自分の未来を考えるはずの場なのになぜこんな混乱が起きているのか?と悩みました。結局、その学校崩壊は様々な対策のおかげで静まりましたが、本質的な解決には至っていない気がして、どこか引っかかりを感じていました。
そしてその学校崩壊から1年後。長男が中学3年生の夏休み前に、突然「僕は高校へは行かない」と言い出したんです。
—それはかなり衝撃的な発言だったのではないでしょうか…。
聞いた瞬間は確かにショックでした。でも同時に「息子の言うとおり、高校って行かなくてもいいのかも」とも思いました。私自身、今までの人生の流れに何の疑問も抱かずに生きてきて、息子も高校をきちんと卒業して、大学に入学して、本人が望めば留学などもして、就職、結婚といったルートを進むのが当たり前だと考えていました。しかし、それは私が固定概念に縛られているだけの話じゃないかなと思ったんです。
息子は、特にやりたいことが決まっているわけではないが、学校に行く意味を感じていないようでした。そうであれば、「今通っている学校は確かにおかしいところもあると思うけれど、現時点でやりたいことがないのなら、高校の3年間を神様がやりたいことを見つけるために与えてくれたチャンスだと思って通ってみたら?」と勧めてみたんです。
—息子さんの反応はいかがでしたか?
「えー」と納得していない顔で言っていましたけれど、私が「もう教育が自分にとって必要ないと思うなら、それでも良い。中学を卒業したら家を出なさい。私の母親として社会へ送り出す仕事は終了。1週間以内にどうするか返事をちょうだい」と言ったら驚いていましたね。私も息子から「高校に行かない」と言われるとは思っていなかったですし、息子もまさか「家を出ろ」と言われるとは思っていなかったでしょうから、お互いに衝撃を受けた感じです(笑)。
結局息子は、高校に通うことを選択しました。お互い本音で話し合ったのが良かったのかもしれません。
この学校崩壊と息子の発言を受けて以降、私は「今の子どもたちにとって何が必要なんだろう?」と考え始めるようになりました。もしかすると学校で暴れ回る子どもたちは、自分のエネルギーを必死に発散していただけかもしれない。今の子どもたちは、学校や塾や家庭でさえも「勉強しなさい、しっかりしなさい」と言われ続けており、地域のお祭りや行事も減っているから、ありあまるエネルギーをどこにぶつけていいか分からないのではないか?と思うようになったんです。
—それで自分のエネルギーを向ける先を必死に欲しがっていると。
ですから子どもがエネルギーをぶつける先を見つける手助けをしてあげれば良いのだと思いました。では、「それは誰がやるべきなのか?」と考えたときに、ママ友が以前「やっぱり子どもって地域みんなで育てないといけないのよね」と言っていたことを思い出しました。「子どもは親が育てる」と思っていた私にとって、その言葉はかなり衝撃的だったんです。確かに子どもは地域みんなで育てることが大事なのかもしれない。そう感じ始めたときに、テレビで学校の先生が生徒にナイフで刺されたという事件が報道されました。こうしたエネルギーの爆発は日本全国至るところで起こっており、しかも年々深刻化している。もうこれは親と子どもだけの問題じゃないと思ったんです。親だけではなく、地域の大人が子どもたちの成長を支えていく必要があると。
また、私が自分の子どもの原動力を見つけてあげて自分の子どもだけワクワクしていても、周りが変わっていなければ意味がないのではないか?とも思うようになりました。日本中の子どもたちのエネルギーの源を探してあげたい。そんな私のお節介からキーパーソン21が始まったんです。
「わくわくエンジン®」が当たり前の社会をつくる
—では最後に今後の展望をお聞かせいただけますか?
私たちは、「わくわくエンジン®が当たり前の社会をつくる」ことをビジョンに掲げています。理想とする社会は、子どもを中心として、親、家庭、教師、学校、団体、行政などあらゆる立場の大人たちが手を取り合って繋がり、本気で子どもたちを支えていく社会です。
この理想を実現するためには、大人の役割が非常に大切なのは言うまでもありません。子どもの「わくわくエンジン®」を引き出すことは簡単ではなく、実は非常にスキルと手間のかかることでもあります(笑)。そんな子どもの未来の可能性を開く案内人の役割を持つ大人を私たちは「わくわくナビゲーター」と呼んでいますが、この人たちの養成にもさらに力を入れていきたいと思います。「わくわくナビゲーター」として実際に活動するなかで、子どもとの関わりには、手間や面倒くささを圧倒的に上回るやりがいと嬉しさがあることに気付くはず。そして、子どものワクワクのためには自分もワクワクして、自然と自分の人生を振り返って自分の「わくわくエンジン®」と向き合うようにもなるでしょう。
—ということは、キーパーソン21に関わると、子どもだけでなく大人も自分の「わくわくエンジン®」を見つけることになると。
そうですね。私たちは「あなたの人生をわくわくさせる」ことをミッションとしていますから、これを読んでくださった方も、一度ご自身は何が好きなのかを考えてみるとおもしろいかもしれません。「今、私はワクワクしてる?」と問いかけてみてはいかがでしょうか?
キーパーソン21のステークホルダーに対しての想い
「人つくり」に貢献したいと、東京ボランティアセンターの紹介でご連絡をくださったことが始まりです。2006年当時、企業の社会貢献といえば「環境」でしたので、人材育成に貢献しようとするアルバイトタイムスさんはかなり先進的な存在でした。社員の皆さんは、私たちの取り組みに非常に前向きで、プログラムの開発からご一緒くださり、「企業の子ども応援プロジェクト」のきっかけをつくってくださいました。2009年のリーマンショックのときには、アルバイトタイムスさんも危機的な状況だったはずですが、当時のご担当者の方が取締役会に「キーパーソン21との活動を中止するということは、アルバイトタイムスにとっては信念をなくすようなものです」とまで仰ってくださり、法人会員として継続していただきました。当時は数々の企業から協賛の打ち切りを通告されていたので、アルバイトタイムスさんのご決断は涙が出るほど嬉しく、非常に勇気をいただきました。今も法人会員としてご協力くださり、当時の社員の皆さまは個人会員として活動をご一緒させていただくなど、本当にお世話になっている会社です。
富士通さんとは、川崎市経済労働局の紹介で知り合いました。地元のNPOの活動を応援しようとお声がけいただき、2006年からキーパーソン21の法人会員として支えてくださっています。過日も弊団体の活動のご報告とこれからのビジョンをお伝えさせていただきました。地元の大企業として私たちの活動がまだ不安定なときから支えてくださり、多くの他企業の信頼を集めることにも一助となっていただいています。長く継続支援いただいておりますこと、感謝しかありません。
また、私ごとですが、キーパーソン21の設立当初は、地元の川崎市中原区の学校などに活動内容のご説明に伺っても全く理解されず悔しい思いをしていました。「地元での活動は諦めて、私たちの思いに共感してくれる全国の人や団体と一緒に活動を続けよう」と進めてきましたが、いつかは地元に貢献したいという気持ちを持っていました。これから、地元の活性を社員の皆さまとご一緒に進められましたら最高に嬉しく思います。今後とも引き続き、どうぞよろしくお願いします。
2012年より人事部よりお声がけいただき「企業の子ども応援プロジェクト」という事業に参画いただいたことが始まりでした。社員の皆さまが私どものプログラムを子どもたちに届けてくださいました。「コカ・コーラは商品でお客さまと繋がっているが、社員がもっと地域でお客さまと繋がりたい。それは、社員の学びになるはずだ」というご担当者の言葉が非常に印象に残っています。その後数年にわたり、港区、渋谷区の小中学校へのキャリア教育をご一緒くださいました。16歳未満の子どもへマーケティングをしてはいけないというルールのため、一時は活動がストップしそうになりましたが、その際にも、共感してくださる社員の皆さまのおかげで、関係はとぎれることはありませんでした。また、2020年までに世界で500万人の女性を応援することを目的とした『5by20』という事業の一環として、「女子起業!わくわくプロジェクト」を4年間にわたりご一緒させていただき、全国36校5195名(16歳以上女子)に起業について考えるきっかけを提供しました。
私たちの活動は理解するまでに多少時間がかかるかと思うのですが、私たちの理念や思いに深く共感し、活動が中断した際も何とか繋ぐ方法を探してくださった社員の方々には心から感謝しております。
2012年「企業の子ども応援プロジェクト」をスタートするにあたり、弊団体の当時学生スタッフだった下川原彩(現理事)が富澤律子さんと出会い共感いただき、港区の地元の赤坂中学校を応援したいと、2011年より参画していただいております。
また、私たちの提供する「おもしろい仕事人がやってくる!」というプログラムを大きく向上させてくれた企業でもあります。富澤さんは、ご自身がファシリテーターとして私たちのプログラムを進めるなかで、より相手に伝わりやすい方法を考案し、実践してくださいました。現在はその方法を私たちも採用させていただいています。企業の方が私たちの方法をベースに、自社に合うようにカスタマイズしてくださることは、二人三脚で一緒に作り上げている感覚で非常にありがたいことです。今後もぜひ私たちのプログラムを楽しみながら実践していただければと思っています。
神奈川県川崎市高津区の不動産屋さんです。2015年より「企業の子ども応援プロジェクト」として、川崎市内の小中学校において社長による「おもしろい仕事人がやってくる」「わくわくエンジン®発見のプログラム」に参画いただいております。宮川社長は自ら子どもたちの前でお話ししてくださり、私たちのプログラムに非常に高い関心を持ってくださっています。そんな宮川社長が率いるエヌアセットの経営方針の一番目が「人のわくわくを大切にする」、そしてコーポレートスローガンが“ひとと街にワクワクを”です。まさに私たちの思想とドンピシャであり、ワクワクを世界に溢れさせる同士だと思っています。ぜひ、高津区を川崎一ワクワクする地区にしていきましょう!
石油やガス、そして一般産業向けにハイグレードのシームレスパイプ(継目無鋼管)を製造する専業メーカーです。2013年より、川崎市内の児童養護施設の小学生を対象にキャリア教育を届けさせていただきました。その活動が終了した後も子どもたちを応援するキーパーソン21への支援を行いたいと仰ってくださり、私どもが運営する「わくわく学習会」への資金支援を2015年の立ち上げ時より継続いただいております。そのおかげで何かしらの生きづらさを抱える多くの子どもたちが安心して学べる居場所をつくることができています。感謝を申し上げます。
「企業の子ども応援プロジェクト」という私たちのプロジェクトに参画いただいております。渋谷区内小中学校で、社員の方々がご自身の「わくわくエンジン®」や、子どものころの話、仕事の話、これから実現したいことなどを子どもたちにお話しいただいています。渋谷本町学園からはCASIOのビルが見えますので、両者は実は身近な存在だったもののお互いを知らないという状況でした。そんな両者が私たちの活動を通して繋がったということも嬉しかったですね。コロナ禍で開催が難しくなったときも、オンラインを利用して何とか活動を途絶えさせないようにしてくださり、非常にありがたかったです。社員の方々が本当に素晴らしい人たちばかりで、一丸となって応援してくださることに感謝するばかりです。
カシオ計算機さんのご紹介により、2020年度より「企業の子ども応援プロジェクト」に参画くださいました。コロナ禍による影響が大きかったものの、オンラインで田園調布学園へのキャリア教育をご一緒くださいました。始まりがコロナ禍であったにもかかわらず、継続してご参画いただいていることを非常に感謝しております。
4年以上にわたり、ご寄付をいただいています。主たる使途は、先述した有明地域におけるプロジェクトです。おかげさまで現在は有明地域の企業に支援のバトンを渡し、自立的に継続できるまでに発展してきました。ご寄付を継続いただいていることに非常に感謝しております。有明地域は3つの公立小中学校を有する新興住宅街ですが、ファミリー層が流入して間もないということもあり、住人同士のコミュニケーションや人との繋がりが希薄な面がありました。その有明地区で子育てをしていたのが、弊団体の理事である直江麻衣子です。直江は有明地区がオリンピック会場に選ばれたことを契機に、地域の人の繋がりを強化する必要性を強く感じるようになりました。工事のため多くの大型車両が行き交い、外国からたくさんの人が訪れるようになったときに、地域の大人たちが連携して子どもを守りたいと考えたからです。そこで学校と地域をつなぐものとしてキャリア教育に着目し、有明地域の保護者が「わくわくエンジン®」のプログラムを通じてサポーターになる「有明わくわくプロジェクト」を発足させました。プロジェクトは今年で5年目となります。
パナソニックセンターが東京都江東区の有明にあるというご縁で、2020年よりキーパーソン21の有明地域の取り組みに社員の皆さまが参画くださっています。2020年からパナソニックさんがコミットしてくださいました。日本を代表する超大手企業がまちづくりに関わってくださるということで、私たちも非常に期待しております。江東区の行政や地域の保護者、教育関係者の方々、そしてパナソニックさんと強力なタッグを組み、理想とする地域社会をつくっていきたいと思いますので、ぜひ企業とNPOが力を合わせることができればと思っています。
2012年経済労働局にはシニア人材の活躍、2013年健康福祉局、こども未来局には学習支援・居場所つくり事業において、2017年より教育委員会には「寺子屋事業」において、市民局には、市の指定NPO、認定NPOへのサポートとして、各所にわたりお世話になっております。私の地元ですから思い入れもあり、非常に深い関係性です。
島根県立江津高校魅力化プロジェクトの一環で、2018年8月江津高校で行われたキャリア教育講演会の依頼からご縁ができました。その後『ゴウツわくわく研究所』という団体が中心となって、江津市のふるさとキャリア教育の取り組みのなかで、「わくわくエンジン®」のプログラムを公教育のOSにインストールする取り組みを進めています。
このプロジェクトを中心となって進めてくれているのが、ゴウツわくわく研究所を主催する江上尚さんです。江上さんは弊団体の渡邉理事とお知り合いということで、私の本を読み、「わくわくすることを一緒にやりませんか?江津市のふるさとキャリア教育にぜひお力を貸してください!」とお声がけくださったことから始まりました。
私も非常に関心のある領域でしたので、2018年に講演会でお話しさせていただいたんです。講演後に江津高校の子たちとわくわくエンジン®発見をやって非常に盛り上がりまして、現場の先生方からの支持をいただくことができました。ゴウツわくわく研究所では2021年度、江津市内のすべての学校で「わくわくエンジン®」のプログラムを導入することを目標としており、非常に心強い存在です。まさに私たちの提唱する「わくわくイノベーター」であり、地域住民たちを巻き込む力にとても優れた方ですね。
彼の尽力もあり、2020年度は市内小学校7校中5校、他中学校1校、高校1校に地域の大人たちがキーパーソン21のキャリア教育を提供しました。ゴウツわくわく研究所では、現在わくわくナビゲーターが56名(内高校生10名、中学生2名)誕生しています。私たちのプログラムを信じ、実践してくださっている江津市には本当に感謝しています。
2020年11月に市民向けの講演会に呼んでいただきました。というのも、今治市の教育委員会のある職員の方が、今治市の未来を総合政策のなかで考えるにあたって、「一人ひとりのわくわくエンジン®から主体的になれる人つくりが大切!」と思いあたり、キーパーソン21をネットで見つけていただいたそうなのです。講演会に呼んでくださったり、プログラムをオンラインで開催してくださったりと、地域の方々を巻き込んだ取り組みを企画していただいており、ありがたく感じております。
市長を筆頭に、まちづくり協働部、教育委員会の皆さまとともに、草津市内の学校におけるキャリア教育の実践を通して、地域の担い手つくりとして協働させていただいています。2020年度はコロナで見送りとなりましたが、2021年度は実現されることとなりました。
このプロジェクトのきっかけは、認定特定非営利活動法人くさつ未来プロジェクト代表理事の堀江尚子さんです。堀江さんは私が受けたインタビュー記事(社会活動家・現東京大学先端科学技術研究センター特任教授の湯浅誠『「ふつうの主婦」が見つけた「わくわくエンジン®」のかけ方』)を読んでキーパーソン21にご連絡をくださり、その後堀江さんのNPO法人と弊団体でパートナーシップ提携を結ぶことになりました。堀江さんは草津市の学校でも「わくわくエンジン®」を発見したいと考え、草津市長に相談に伺いました。素晴らしいことに市長も共感してくださり、その後色々な経緯を経て、2020年に予算化されることとなりました。草津市の取り組みに非常に期待しております。
先述した通り、代表理事の堀江尚子さんのご尽力で草津市でのプロジェクトが動き出しました。堀江さんが、キーパーソン21が目指す理想や意義を深く理解し、共感し、ご自身のお子さんに実験し、ママ仲間に伝え、様々な大人たちの背中を押してたくさんの事例をつくってくださっていることに感謝しています。
2017年、池田徹理事長が社会活動家である湯浅誠さんの著書『なんとかする子どもの貧困』を読んで、ご連絡をくださいました。その後、湯浅さんと池田理事長とともにイベントをご一緒し、パートナーシップ提携を結び、わくわくナビゲーターの養成講座を幾度と開催しました。2020年にコロナで活動がストップするも、挫けることなく活動を模索し続けてくださっています。池田理事長とは社会課題と考えていること、例えば生きづらさを抱えている子どもや、子育てに困難を抱えているお母さん、社員の働く意欲など、が共通していると思います。千葉の生活クラブの方々は、池田理事長を筆頭に皆さまあたたかいお人柄で、取り組みについて一生懸命考えてくださるので非常にありがたく思っております。
江戸川区の地域・学区別に特化した丁寧な指導に定評のある個別指導塾です。2017年からパートナーシップ提携を結び、私たちの「すきなものビンゴ&お仕事マップ」を子どもたちに届けてくださっています。塾の先生のうち7名がわくわくナビゲーターとなってくださっています。「単に勉強を教えて良い学校に進学させることが教育ではない」という強いお考えをお持ちなので、私たちとも相性が良く、理念にも共感してくださいました。現在はコロナ禍で大変な状況だと思いますが、それでもご協力くださっていることに感謝しております。「子どもたちにより良いものを一緒に提供していきましょう!」とお伝えしたいです。
心の知能指数であるEQ(Emotional Intelligence Quotient)を高めて活かすトレーニングを通して、「自分らしく」「楽しく」「やりがいを持って」働くための取り組みを行っている会社です。弊団体の元理事、現アドバイザーの池照佳代の紹介で、EQとのコラボレーションをしようと計画され、パートナーシップ提携を結びました。まだ活動としてかたちにはなっていませんが、法人会員として熱心に私たちとのコラボレーションの取り組みを考えてくださっていることに感謝しております。「早くコラボを実現させましょう!」とお伝えしたいですね。
代表取締役の植松努さんと初めてお会いしたのは、先述した認定NPO法人くさつ未来プロジェクトが主催する『サマースクール』というイベントです。2020年の夏のことでした。同年の秋にキーパーソン21のパートナーとなってくださいました。植松さんは北海道ハイテクノロジー専門学校の「宇宙・ロボット学科」での授業を受けもつということで、2021年には植松さんのご紹介で、学生たちに「わくわくエンジン®」のプログラムを実施することができました。私たちの取り組みに深いご理解と、期待をいただき非常に嬉しく思っております。
植松さんは話の天才です。彼の一言一句を聞き漏らすまいと、みんなが引き込まれていきます。そんな植松さんに、「わくわくエンジン®は、僕が実現したいものを一人ひとりに具体的に落とし込んでくれている」と言っていただいたときは非常に嬉しかったです。植松さんは、「子どもがやりたいと言うことを親が無理と言ってはいけない」「思いは実現する」「子どもの夢を応援してあげよう」とよく仰っておりますが、おそらく「やりたいことがそもそもない(思い浮かばない)」という子どもが多いことに対しても非常に憂えているのだと思います。私たちは、そういう子どもたちに単に「自分のやりたいことをやるのが素敵なことなんだよ!」と理想論を語って終わりにするのではなく、どうすればワクワクする心を持つことができるのか、探すことができるのかという具体的なノウハウを解決策として持っています。そういう点を植松さんは評価してくださっているのではないかな?と思います。植松電機と協業することで、実現できることが飛躍的に増えたと思いますので、感謝を申し上げるとともに、今後も引き続きともに頑張っていきましょうとお伝えしたいと思います。
2019年より弊団体は米国コカ・コーラ財団さんが全世界を対象に展開するファンドに採択され、「Citizenship Education Model for Local Revitalization~地域みんなで子どもを育む持続可能なまちづくり~」をテーマに全国各地において地域創生のプロジェクトを推進しています。人口減少が進む日本において、地域活性化を行うためには、市民が持つエネルギーの素となる「わくわくエンジン®」を発見することが重要だと考えています。地域住民一人ひとりが「わくわくエンジン®」を見つけ、主体的に行動していくことができれば、その地域は明るく元気になるのではないか。この「わくわくすることから始まるまちづくり」という私たちの考え方を評価してくださったことをありがたく思っております。
「企業の子ども応援プロジェクト」に参画いただいたほか、2020年度は、生きづらさを抱える子どもたちへの学習支援・居場所つくり事業にご寄付をいただきました。継続してご支援いただいていることに改めて感謝を申し上げたいです。
富士ゼロックスさんでは、有志社員が給与の端数を積み立てて寄付するという「端数倶楽部」という活動があり、弊団体に毎年の応援をいただいています。キーパーソン21を寄付対象に選んでいただいておりますこと、ありがたく思っております。
社員が応援したい団体に寄付する社内の仕組みにおいて、寄付先にお選びいただきました。社員の皆さまの投票によって、私たちを選んでくださり非常にありがたく思っております。
2021年より、助成金をいただいています。おかげさまで、より多くの子どもたちにプログラムを届けることができ感謝しております。
株式会社博報堂が主催するキャリア教育「H-CAMP」の2013年の立ち上げ時よりご支援をさせていただきました。「子どもにとって本当に良いプログラムとは何か?」ということをともに考え、かたちにしていくお手伝いをさせていただきました。参加者が自身の個性の可能性に気付き、楽しみながらその個性を伸ばしていくきっかけとなるプログラムができたと思います。「H-CAMP」は、2016年度にはキャリアワードの大賞を受賞され、私どもの中小企業部門での最優秀賞とともにダブル受賞となったことも非常に嬉しかった出来事です。
私たちはあなたの「わくわくエンジン®」を大切にしたいと考えています。あなたは何にワクワクしますか?何が好きですか?
例えば、「野球が好き」と答えたとしましょう。
そうすると、大人はすぐに「じゃあ将来の夢は野球選手だね」などと言いますね。それは、表層の部分しか見ていないからです。もちろん「野球選手になりたい!」と思って頑張ることは素晴らしいこと。ですが、周囲との実力差を感じたり、大きな失敗をしたりすると、「やっぱり自分は野球選手にはなれないんだ」と落ち込んでしまうかもしれません。
私たちが注目しているのは、もっと奥の方に存在する一人ひとりの中にある原動力です。
野球が好きと一言で言っても、「戦略を立てることが楽しい」、「チームで達成するために自分が役立っていることが楽しい」、「素振りや筋トレなど自分の成長を感じるのがおもしろい」など、どの部分にワクワク感じ、原動力となっているかは人それぞれのはず。
つまり、私たちは「野球」が好きという「名詞的わくわく」ではなく、「戦略を立てることが楽しい」といった「動詞的わくわく」を「わくわくエンジン®」と呼び、これを見つけることを大切にしています。
自分の「わくわくエンジン®」を知らないのは、自分の本質を理解していないのと同じ。その状態で「何になりたいか」を探すのは難しいと思います。就職活動で色々な会社を調べたり、インターンシップをしてみても、結局「何になりたいか」「何をやりたいか」はあまりピンとこないのではないでしょうか。
反対に、「わくわくエンジン®」を発見することができれば、誰に強制されずともワクワクして一歩踏み出そうとします。だって考えるだけでワクワクすることですからね。楽しみながら努力を重ねて、どんどん経験値が増えていきます。
未来世代のあなたには、その経験をもとに自分を語ってほしいと思います。例えば企業の就職面接で「野球が好き」と言っても響かないかもしれませんが、「私はこういうことが好きで、今までにこういう活動をしてきて、こういう風に経験を積み重ねてきました。その能力を活かして、御社でこういう貢献をして役に立ちたいと思います」と語ることができれば、「この人と一緒に仕事をしたい!」と思ってくれるはず。
「わくわくエンジン®」は、自分の進む方向を示す軸ともいえます。日々様々なことが目まぐるしく変わっていく現代社会において、「何を信じたらいいの?」と戸惑い、不安になる人も少なくないかもしれません。そういうときに信じることができるのは自分自身の「わくわくエンジン®」です。自分の未来を主体的に考え、行動する力の源となるので、ぜひ一度向き合ってほしいと思います。
<団体概要>
名称:特定非営利活動法人 キーパーソン21
設立:2000年12月10日
代表理事:朝山 あつこ
ホームページ:http://www.keyperson21.org/
所在地:〒211-0004 神奈川県川崎市中原区新丸子東2-907-25 ハイツ武蔵小杉704