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4000万円の借金から再起した男が築いた“やり直しの居場所” 株式会社フリースタイル・青野豪淑氏の挑戦

ステークホルダーVOICE 経営インタビュー
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フリースタイル・青野豪淑
フリースタイル・青野豪淑さん(提供:フリースタイル、以下同)

名古屋市に本社を構える株式会社フリースタイルは、ITゲーム開発と人材育成を二本柱に急成長を遂げている。代表取締役社長を務める青野豪淑(あおの・たけよし)氏は、かつて4000万円の借金を背負い、人生のどん底から這い上がった人物だ。その波乱に満ちた半生が、今の経営理念と事業モデルに直結している。

 

「人生をやり直す場所」を創る

青野氏は1977年、大阪で6人兄弟の末っ子として生まれた。幼少期は極貧生活で、「早く自立したい」という一心で高校卒業後すぐに大手精肉チェーンに就職。出世の階段を登りかけた矢先、BSE問題で事業が縮小し、将来への不安から営業職へ転身した。

営業職では若くして月収100万円を超えるなど華々しい成果を上げたが、一方で「もっと成功したい」との欲望に駆られ、自己啓発セミナーに傾倒。書籍や高額セミナー、講座などに湯水のごとく金を注ぎ、最終的には4000万円もの負債を抱えることとなる。

「死も考えた」という極限状態の中で、自分が誰にも恩返しをせずに終わろうとしていることに気づき、再出発を決意した。

 

社会に馴染めない若者たちと

再起の地として選んだのは、兄のいる名古屋。営業職として再出発する中で、夜の街で出会った若者たちが「働きたいのにスキルがない」「どこに行っても続かない」といった声を漏らしていた。

最初は就職先の紹介などを通じて支援していたが、継続就労につながらず、ある若者から「青野さんが社長なら、クビにしないでしょ?」という一言を受け、2006年に株式会社フリースタイルを設立した。「誰にでも、いつからでもやり直せる場所を作りたい」という想いが、その決断の原点だった。

実践主義のIT教育モデル

現在のフリースタイルは、ITとゲーム開発を主軸に展開。最大の特徴は、未経験者を対象とした育成体制にある。オリジナルカリキュラムと社内認定制度を整備し、経験豊富な現役エンジニアがコードレビューや個別指導を行う。また、月1回の1on1面談によるフォロー体制や心理的安全性を重視した社内環境づくりにも力を入れている。

「スキルを学ぶだけでは意味がない。自信や関係性を育めることが、持続可能な成長につながる」と青野氏は語る。

 

「愛」を軸にする経営哲学

青野氏は経営の根幹に「愛」という価値を据えている。「かつての自分がそうだったように、学歴もスキルもない若者に無条件で教えてくれた恩師のような存在に、自分もなりたい」と語る。

この姿勢は、社内外問わず人材育成に貫かれている。最近では、自社の教育カリキュラムを基にしたプログラミング学習システムのリリースを実現し、社内教育の枠を超えて社会全体への貢献も視野に入れている。

コンティニュー可能な社会を目指して

青野氏のビジョンは明確だ。「人はいつからでもやり直せる。“コンティニュー可能な社会”をITと教育で実現したい」。フリースタイルが掲げるのは、学歴や過去の失敗に左右されず、誰もがもう一度挑戦できる場所の創出だ。

「大切なのは、誰かが信じてくれること、そして成長できる環境があること」。青野氏が歩んできた再出発の物語は、多くの挫折した若者たちにとって、ひとすじの希望となるだろう。

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ライター:

株式会社Saccoマネージャー、株式会社Blockchain Tech Farm 代表取締役。営業や多岐にわたる事業での経営経験を経て、2014年にブロックチェーン分野へ参入。2017年に株式会社Blockchain Tech Farmを設立し、非金融領域でのブロックチェーン活用を推進。多くの企業との縁から、現在は株式会社Saccoのマネージャー、ライターとしても活動している。

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