ーはじめに自己紹介をお願いします。
中井健翔です。僕はいま福岡県在住で、カドカワとドワンゴが運営しているN高等学校のネットコースの2年生です。肩書にはイベンターと絵本作家があります。絵本作家としては、ずっと小学5年生のときから自分で本を作ってワークショップとかで販売していたんですけど、高校2年生の7月になってようやく出版社(協立コミュニケーションズ)の方からお声掛けいただいて『かわったかたちのさかな』というタイトルの絵本の出版が決定しまして、ようやく絵本作家デビューが決まりました。イベンターとしては、「こどもばんぱく」というイベントを主催しました。
ー『かわったかたちのさかな』はどんなストーリーなのですか?
タツノオトシゴが主人公で、タツノオトシゴが海の中のボスのような魚にいじめられてて、それをみんな見て見ぬ振りをしてるんです。でも、一人の小魚が「いじめなんか良くないんじゃないか」って勇気を出して行動したら、ほかの人も助けてくれる物語を書いたんですよ、一回。でも、「こんなこと起きるわけないやないかい」って自分で後から思って。そこで「こういう世の中になってないけど、いずれこういう世の中になったらいいよね、みたいな思いを込めて書いたよ」みたいなのを最後に付け足して作った絵本です。ぜひ色んな方に読んでほしい内容だなと思っています。
ーN高に入学した理由は何ですか?
感覚過敏という障害、厳密には症状があるんですけど、それで雨が降ると外に出られないっていう事情がありまして、通学の高校が無理なんですよね。それで選択肢が通信制の高校になって。そこからなぜN高を選んだかっていうと、僕の周りにいる面白い、たとえばそれこそ「こどもばんぱく」を主催する際にサポートしてくださった方とか、僕の尊敬している方とかがN高生で、N高は楽しいっていう話をいっぱい聞いていたので、それだったら尊敬する先輩方が行っているN高を選ぼうかなと思って、N高を選択しました。
ーN高の授業はどうやって行われているんですか?
基本的には動画授業が基本で、動画がストックされているのでそれを見て、なおかつ問題を解きつつ、テストを解いて単位を取ります。単元ごとにあるテストをオンラインで解いて、単位を取って卒業するという形になります。年に一度、実際の会場でテストが行われるので、そこで赤点を取らず留年しなければ進級という形です。
ーN高では全国いろいろな場所に住んでいる人たちが学んでいますが、交流はあるのですか?
ありますね。実際の会場ではあまり仲良くなれなかったとしても、N高ってチャットのSlackでコミュニケーションを取るんですけど、同じSlackのルームに100人ぐらい生徒がいます。なのでその中で話が合う人を見つけて喋ったりだとかして、オンライン上で話したりだとか。海外の人もいるので別の国の方とお話しできる機会もあるし、そうやって交友関係を深めていけるのはいいことだなって思っています。
ー将来は何になりたいですか? 絵本を作っていきたい?
絵本はまた描いてみたいんですけど、将来はちゃんと自分の食い扶持があるような、ちゃんと納税できるプラス自分が生活できる仕事もやりつつ、こういったイベントとか、ないし絵本も描くというようなこともやっていけたらいいなと思っています。
ー納税に対する意識はどういった経緯で芽生えたのですか?
小学2年生のときから納税者になろうっていうのをずっと意識してきていて、そこが小学5年生でいじめにあって不登校になって一回消えかけたんですけど、それまでずっと公務員になることが夢で…
ーご家族に公務員の方がいるのですか?
いや、そういうわけじゃないです。NHKで一回だけ見たニュース番組を鮮烈に覚えていて、そこからです。納税できなかった人の末路みたいなのが紹介されてて、これはちょっと納税しないと大変なんじゃないかと小学2年生のときに思いました。
ー志プレゼンテーション大会に参加した理由は何ですか?
前回の大会をオンラインで視聴者として見ていまして、そのときに皆さんが本当に自分の志と向き合ってプレゼンされているのを見て僕もすごく感銘を受けて、僕もいつか自分の志としっかり向き合ってこの場で話してみたいと思いました。当日、同じプレゼンテーションされている方と交流を深めてみたいという思いもありましたので、参加させていただきました。
ー大会を知ったきっかけは何でしたか?
Twitterで実行委員の方が前回大会の告知をされているのを見て、そのときに参加しようとしたんですけど、期限が切れちゃってて、なので視聴者として参加しようと。
ーファイナリストに選ばれるまでの道のりで感じた学びや、成長したことはありますか?
自分のイベントの内容だったりとか、今までやってきたことについて話すことはあったんですけど、自分の内面的な部分だったり思いだったりをこの大会をきっかけにしっかり考えることができて、そこはやっぱり気付きでしたね。
ー苦労したことや大変だったことはありますか?
自分のイベントの道のりを辿って、うまく言語化することが大変でした。なおかつ実際のイベントの空気感を、会場のプレゼンを見てくださる方にどうやって伝えたらいいんだろうみたいなことはすごく苦労しました。「こどもばんぱく」は子どもが主催、出展、運営をして、出展する子どもたちはそれぞれ自分のやりたいことを形にしています。たとえば子どもたちが自分で衣装を作ってファッションショーをやっていたりだとか、自分でプログラミングしたゲームを出展している子がいたりとか、そういった、子どもたちが自由にお店を出してる空気感だったりとか、そういうものを伝えたかったです。
ーあなたの志について、意気込みも踏まえて教えてください。
「表現によってマイナスをプラスに変える場を作る」っていうのが僕の志です。マイナスというのは、僕が「こどもばんぱく」というイベントを開催するに至った経緯になるのですが、小学5年生のときにいじめにあっていて、そこから不登校になってしまって、不登校になっていた時期に、いじめにあっていたという悲しい思いを勇気を出して絵本にしてみたんですよ。その絵本をワークショップイベントで販売させてもらったときに、お客さんから褒められたり共感してもらえたことによって自己肯定感が上がって、もともと悲しい感情から生まれた絵本だったり表現といったものが、第三者から認めてもらうことによってプラスの感情に変わったっていうことがありました。
ーマイナスからプラスという実体験があったのですね。
そのときに僕は、僕をいじめていたクラスメイトたちのことを考えて、そもそもいじめが起きる原因は何だったのかと思ったときに、やっぱり彼らは彼らで親や学校に抑圧されて自分の表現ができなかったりしていたんです。だったら抑圧されない環境で自分の表現が思いっきりできてそれを第三者に認めてもらえるような場が作れたらいいなと思って。表現によってマイナスだったものがプラスに変えられる場が作れたらいいなと思って「こどもばんぱく」を企画しました。そういった、表現によってマイナスをプラスに変えられるイベントだったり、そういったものをどんどん広げられたらいいなと思います。
ー本番当日に自分のプレゼンで見てほしいポイントは何ですか?
イベントの内容もそうですけど、そこに関わっていただいた運営の子どもたちの話も当日すると思うので、そういった色んな人たちのお力があってできたよっていうことと、イベントに至るまでの思いだったりとか、そういったところに注目してほしいと思っています。