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マテックス株式会社

https://www.matex-glass.co.jp/

〒170-0012 東京都豊島区上池袋2-14-11

03-3916-1231

地域で誰も独りにしない。食と会話でつながる「誰でもカフェ」

ステークホルダーVOICE 地域社会
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(撮影:安藤ショウカ)

2024年3月27日、「HIRAKU IKEBUKURO 01-SOCIAL DESIGN LIBRARY-」(以下、SDL)にて「誰でもカフェ」が開催された。参加費は無料で、年齢を問わず誰でも歓迎のイベントだ。地域の人へもひらかれたサードプレイスとなっているSDLに、どのような人が集まり、どのような交流が生まれているのか。イベントの様子を紹介する。

地域の人を独りにしない。食と音楽でつながる誰でもカフェ

人々のライフスタイルや価値観が多様化している現代において、地域社会とのつながりが減りつつある。このことが招きかねないのが、問題を抱える個人や家庭が地域から孤立してしまう事態だ。地域とのかかわりの深さは人それぞれでも、地域社会における助け合いの意識はなくしてはならない。

そんな中、池袋で高齢者の「孤食」を減らすために立ち上がったのが、上池袋の地域のお弁当屋さんであるKitchen tanabeの店主、田鍋美恵さん。中央高齢者総合相談センターと連携しながら、高齢者がみんなで食事をできる場を毎月1回「高齢者の誰でも食堂」としてSDLで開催している。

そして、今回開催されたのが高齢者に限らず地域の誰もが参加できる「誰でもカフェ」。地域の子供から大人までさまざまな人が集まって一緒に楽しみ、コミュニケーションをとることができる場だ。

当日は早くも開始の30分前から人が集まり始め、定刻にはほぼ満席。30名を超える参加者らが集まった。高齢者向けイベントから派生したこともあり、参加者の多くは高齢者。しかし、20代の参加者や親子もおり、世代間の交流が生まれていた。

参加者には無料でお菓子とパン、飲み物が配られた。パンはクリームか桜あんが選べ、季節を感じられる桜あんが大人気。あっという間になくなってしまっていた。そうした飲み物や食べ物を参加者同士で配ったり、次々訪れる参加者に合わせて椅子を動かしたりする場面も見られ、生き生きした気持ちで参加していることが感じられた。

コーヒーやお茶、ジュースなど、好みの飲み物を参加者らが取りに行くセルフサービス型。参加者同士で声をかけ合う場面が多々見られた

イベントが始まると、主催者である田鍋さんからの挨拶の後、ゲストである「はぶちゃん&ゆうとさん」が演奏と歌を披露。森山直太朗の『さくら』から始まり、時折ユーモアを交えたトークを挟みながら『ルージュの伝言』『風になりたい』など、世代を問わず楽しめる計8曲で会場を盛り上げた。

アコースティックギターやハーモニカなどを使った生演奏と歌を披露したはぶちゃん(右)とゆうとさん(左)

パフォーマンス中には、参加者らも一緒に口ずさんだり、各テーブルに配られたシェイカーや手拍子などで楽しむ様子が見られ、一通り終わると会場からはアンコールが。アンコールとなる9曲目には『川の流れのように』を披露。たくさんの参加者が一緒になって歌い、和やかな雰囲気でその場が締めくくられた。

地域の人に求められることを形にしたい

音楽を楽しんだ後は自由時間。参加者らが会話に花を咲かせ、運営が落ち着いてきた折に、イベント開催の背景や思いについて田鍋さんに伺った。

地域の人とのコミュニケーションがある暮らしが好き」と語る田鍋さんは、2年前に地元である上池袋2丁目で店を開いた。お惣菜やお弁当を販売しているほか、地域のための取り組みも積極的に行なっているという。

同施設において、年齢制限のある「誰でも食堂」は毎月1回、また年齢制限のない「誰でもカフェ」は年に2回実施している。今回は「誰でもカフェ」として、地域住民の世代を超えた交流を目的としたイベントだったが、その狙いについて田鍋さんは「今世代交代をし始めていて、新しい住民も増えてきているので、昔からいる人と次の世代の人とがもっと交流できる場が欲しいと思い、開催しています」と語る。

しかし、なぜイベントをSDLで開催することになったのだろうか。経緯について伺った。

「地域の高齢者が集まって食事をとれるスペースがなくて、そういう場づくりができないかと考えていました。人に相談して『この地域の外に行けば使えそうな場所がある』とは聞いていたのですが、この上池袋2丁目であることはどうしても外せず、なかなか場所が見つからなかったんです。

というのも、その場所が家から近いことは高齢者にとってとても重要です。だから、地域の高齢者を対象にするのに、この上池袋2丁目でなければ意味がありませんでした

ある折に豊島区の方に相談してみたところ、マテックスさんとつないでいただいたんです。マテックスさんは同じ上池袋2丁目にあり、しかも歴史ある企業です。地域の人が集まる場所づくりの方向性も一致し、ここでの開催を快諾していただきました。まさに運命的な出会いだったと思います」

『この地域でやりたい』という思いと『この地域の企業が開いているSDL』であることがマッチし、実現したのがこのイベントだったのである。

あんぱんやお菓子が各テーブルに配られた

居場所づくりへの展望が、豊島区でどこよりも早い取り組みとして実現

田鍋さんにお話を伺っている隣で、運営としてイベントをサポートしている方がいた。豊島区の第2層生活支援コーディネーターである山崎みち代さんだ。このイベントの場所探しから運営のサポートまで、田鍋さんと伴走してきた一人である。今回の「誰でもカフェ」について、「2回目の実施となり、だいぶ形になってきているように感じています」と話した。

第2層生活支援コーディネーターは、地域と連携を取りながら高齢者の暮らしやすい地域づくりを推進する機能を担っており(※1)田鍋さんとマテックスとの架け橋となった存在だ。そのきっかけについて伺った。

「田鍋さんからの相談を受けて、高齢者の居場所作りのための拠点探しが始まりました。それでマテックスさんにお話をしたところ、Kitchen tanabeのお店に来てくださって、面談をすることになったんです。

その時、『地域の人が交流する場を作りたい。田鍋さんのお話を伺ったとき、色々な団体さんと連携されていて、持続可能な取り組みにできそうだ。』とマテックスさんは思ったといいます。
そうした思いや方向性に共鳴したことから一緒の取り組みが始まり、こうしてイベントが実現しました。豊島区でどこよりも早く、高齢者の居場所づくりのための取り組みが形となったんですよ」

食や会話や音楽、皆で共有し、思い思いに楽しむ空間ができていた

まさに企画の始まりから運営まで共にしてきた山崎さん。実際にSDLでイベントをしてみての所感を次のように語った。

「マテックスさんの地域力と言いますか。やっぱり、地元の人が良く知っている企業が運営している施設であること自体にも意味があるように感じていますね。それに、SDLの建物自体が綺麗でお洒落なので参加者も気分が上がるんです。それで、ここへ来れば知り合いに会えたり、新しい人と繋がれたりする。良い地域のコミュニティになってきていると思います」

※1:豊島区「生活支援体制整備事業」(https://www.city.toshima.lg.jp/470/2002271031.html

参加者の声

地域のことを考える住民、企業、行政。こうしたさまざまな人の思いが形になり、人を集めているのがこの「誰でもカフェ」であった。2時間のイベントもあっという間で、気づけばイベントの終了時間が近づいてきていた。話が絶えない人たちを見ていると名残惜しささえ感じられる。

最後に、イベントの参加者に感想を伺った。20代の参加者は「人から教えてもらってSDLを知り、Instagramで今回のイベントを見て気になったので来ました。今日は普段あまり交流することのない高齢者の方と話すことができました。次は若い人ももっと来てほしいですね。SDLも今回のイベントも、年齢関係なく誰でも好きに出入りができるのが良いところだと感じています。まだ2回目なので、これからも足を運びたいです」と話した。

70代の参加者は「学びや出会いの場になっていて、刺激をくれる場所です。こういうコミュニケーションの場に来ると、心が元気になります。今回のイベントはみんなで飲食をしながら話せて、会話しやすかったのが良かったですね。また、コミュニティが広く開かれていて、入りやすい雰囲気があるのも良かったです。地域のサークルなどのコミュニティもあるのですが、趣味がないとなかなか入りづらくて。ここはスタッフも気軽に声をかけてくれますし、趣味も何もなかったとしても来られる場所だと感じました」と、高評価だった。

2回目の開催にしてSDLが満員になるほどの人を集めているこの「誰でもカフェ」イベント。これから健康増進の勉強会など、さらなる展開を見せる中でどのようなコミュニティになっていくのだろうか。地域にひらかれたサードプレイスとしてどんな場になるのか、今後の広がりに注目したい。

マテックスからのコメント

近隣住民の方が集まっていただき、楽しんでいただけている様子は、地域で働く私たちにとっても活力になります。

地域の人の顔が見える事は、直接のお客様でなくても最終消費者として「この人たちの快適な暮らしを創っている」という想いにも繋がると身をもって感じます。

また今回は、予想を上回る本当に大勢の方が参加いただきました。しかもその多くが「口コミ」というのにも驚きです。私が話を伺った方は近所の銭湯でこの場所の話を聞いて来てくださったそうです。

地域の方の「集まる」「コミュニケーションをとる」ということへのニーズが高いことを改めて確認することができました。関係各者さんのご協力いただきながら持続可能な社会貢献モデルにしていきたいと思っています。

◎店舗情報
Kitchen tanabe
住所:東京都豊島区上池袋 2-39-1-201
営業日:火・金 11:30~13:30/16:30~18:30
毎月第2水曜日は高齢者のための誰でも食堂を開催
https://www.facebook.com/people/Kitchen-tanabe/100078867756625/

◎会場情報
『HIRAKU IKEBUKURO(ヒラク イケブクロ) 01』Social Design Library (SDL)
知・人・アクティビディをつなぐ媒体として図書館、学校、ギャラリー、公園、仕事場、実験場、事業相談所、社会的事業の8つの役割を持つ人々のサードプレイス。いつでも利用できるサードプレイスとして法人パートナー、個人パートナーを募集中。
住所:東京都豊島区上池袋2-2-15
WEBサイト:https://www.hiraku.community/
Facebook:https://www.facebook.com/hiraku.ikebukuro01/
Instagram:https://www.instagram.com/hiraku.ikebukuro.01_sdl/
X:https://twitter.com/hirakuikebukuro

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ライター:

フリーライター。昔から感想文や小論文を書くのが好きで、今なお「書くこと」はどれだけしても苦にならない。人と話すのが好きなことから、取材記事の執筆が主軸となっている。新潟県で田んぼに囲まれて育った原体験から、田舎や地方への興味があり、目標は「全国各地で書く仕事をする」こと。

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