睡眠を中心とした生活習慣改善コーチングでビジネスのパフォーマンス、企業の健康経営を促進
社員が睡眠や食事、運動といった生活習慣をより良い状態にマネジメントする「セルフコンディショニング」のカを身につけることで、大手企業など80社以上、5,000⼈以上のパフォーマンス向上に貢献してきたLifree株式会社。
「強制では行動は変わらない。思わずやりたくなる工夫が大事」と話す同社代表取締役 /パフォーマンスコーチのサトウ未来さんは、大手エステサロンやパーソナルジムで培った経験を生かして多くの人の生活習慣を改善させてきた⾏動変容のプロフェッショナルです。
今回は、サトウさんから健康ビジネスにかける情熱や、人気プログラムの原点となった体験、そして大切にしているステークホルダーについて伺いました。
生活習慣改善コーチングでビジネスのパフォーマンスを向上
サトウ
私たちはビジネスマンのパフォーマンス向上に特化した生活習慣改善コーチングを2012年より提供し、これまで企業80社以上、5,000⼈以上のパフォーマンス向上に貢献してきました。
代表的なプログラムである【管理職向け 2カ月プログラム】では、5回の対面セッションと習慣化SNSでの毎日サポートを通して、「リセット」「食事」「睡眠」「身体のケア」という4ステップで心と身体を変えていきます。
例えば「リセット」ではどんなことをするのでしょうか?
サトウ
パソコン内のデータ整理や家の片付けなど、身近なところを整理整頓する「断捨離」から行います。一見健康には関係ないと思えるかもしれませんが、新習慣を身につけるためには、既存の不必要なモノの整理整頓を行うことが実はかなり大事なんです。
モノだけでなく「食」の断捨離としてファスティングも行うのですが、自分の味覚が食品添加物や過度に味付けの濃い食品などによっていかに変化しているかが体感できるので、驚かれる方が多いですよ。モノも食も、いったん全てをニュートラルなポジションに戻していくイメージです。
一度、ゼロにしてから、食事や睡眠、身体のケアなどの新習慣を身につけていくプログラム編成になっているのですね。他にどのようなプログラムがあるのでしょうか?
サトウ
先ほどご紹介した管理職向け 2カ月プログラム、通称【ウェルビーイングフィットプログラム】のほか、数千人のデータを用いて独自開発した睡眠の診断テストを用いて不眠のリスク回避をするプログラムや、【年間サポート】という中小企業向けのライトプランもあります。まずはお悩みをヒアリングして、改善・解決策を各社に合わせたかたちで提案しています。
ちなみに、どのプログラムでも私たちが特に注力しているのが睡眠です。というのも、睡眠は健康に与える影響が大きい割に、どれほど重要かが認知されておらず、食事や運動と比較して習慣を変えていくのが特に難しいからです。
サトウ
そうですね。不眠の人のうち、6割は自分が不眠であることに気づいていないという調査もあるくらいです。私たちが実施する睡眠の診断テストの個人フィードバックを見て初めて気づく人も多いです。
ただし、不眠を自覚したところで、改善は簡単ではありません。多くの人にとって夜は仕事から解放されてホッと一息ついたり、趣味を楽しんだりできる貴重な時間です。その楽しみを削らずに、翌日のパフォーマンスを高める十分な睡眠をどうすれば確保できるかを考えることは、24時間の使い方を考えることと同じです。
私たちのプログラムを受けると、必然的に時間の使い方や生き方を見直すようになります。寝る前にスマホを見ることは、本当に自分がやりたいことなのか?単なる惰性ではないのか?もしストレスや疲労がなかったら同じことをするのか?など、トライアンドエラーをする中でその人にとっての適切な睡眠を見つけていきます。スマホが本当に趣味だったら良いのですが、「本当は朝早く起きて家族と一緒にご飯を食べたい」という実現できていない欲求が隠れているかもしれません。
サトウ
睡眠が変わるとストレス数値が低減するというように、近年はストレスと睡眠の相関を示すデータも非常に増えています。不安が多い現代社会だからこそ、不安を過食やスマホを惰性で見ることで解消するのではなく、毎日良質な睡眠をしっかり確保することで解消してほしいと思っています。
不眠に悩んで病院に行くと多くの場合、薬を処方されると思いますが、その前に生活習慣の改善などできることは沢山あります。それを一つひとつ私たちと一緒にやっていきませんか?とプログラムを通してお伝えしているんです。
管理や強制はNG。自己決定・自己選択だからこそ習慣は身につく。
睡眠を非常に重要視していることはLifree株式会社の特徴だと思うのですが、他社と比較して他にどのような強みがありますか?
サトウ
私たちはもともと関西でパーソナルトレーニングジムを4店舗経営するというBtoCで活動してきた実績があります。何千人ものお客様を担当してきたことで、様々に揺れる個人の気持ちや、多様な生活パターンを数えきれないほど見てきました。そのため、Lifree株式会社として対企業で活動するようになってからも、私たちの目線は常に個人に向いています。
健康プログラムを提供する会社の多くが、全体の結果を見るあまり、個人を管理しようとしています。より多くの人に同様の結果を出させるためには、ある程度はやむを得ないのかもしれませんが、社員からすれば管理されればされるほど抵抗したいという気持ちが湧いてくるものです。
ですから私たちはまず、担当者の方とお話をするなかで会社の管理を手放すことがいかに大切かをお伝えします。そのほうが社員の方々が本当に心を開いてくださるので、結果も出やすいのです。私たちは目の前の「あなた」の健康を向上させたいという気持ちで社員一人ひとりに向き合っていく。これがLifree株式会社の強みだと思います。
また、不思議なもので、個人にしっかり向き合っていくと、集団内の相乗効果も生まれやすい と実感しています。グループの一人がガラッと変わると、その影響が他の人にどんどん波及して、コミュニティ全体が健康になるんですよ。しかもその影響は社内にとどまらず、家族にも派生していくので非常に面白いですね。
管理や強制といった無理強いをせず、参加者が思わずやりたい!と思うようなプログラムを組み、自己選択、自己決定を重視してきた結果だと思うので、これも私たちの強みの一つかもしれませんね。
人事の方の多くは、今まで色々な健康に関わる制度を福利厚生として組み込んでも、なかなか活用してもらえない、従業員に喜んでもらえないという悩みをお持ちなので、とにかく楽しく継続できるプログラムを意識しています。
徹底的に一人ひとりと向き合うユーザーファーストのプログラムはどのように作り上げられてきたのでしょう?
サトウ
プログラムの一部は、先述したパーソナルトレーニングジムを経営していた時に、試行錯誤しながら実践して、効果のあったメソッドを体系化して作ったものです。例えば断捨離もその一つで、多くのトレーニングジムには様々な機械が置かれていると思いますが、私たちはスタジオに置くものを必要最低限にとどめることを心がけていたんです。
多角的な視点で見るとその方がお客様にとってメリットが多いと思って。大掛かりなマシンがなくても、しっかりと効果が得られるような方法を常に考えてきました。現行のプログラムはそれらの工夫の集大成です。
社員一人ひとりの健康だけでなく、会社全体の文化を健康に
パーソナルトレーニングジムから現在の生活習慣改善コーチングという事業形態にシフトしたのは何故ですか?
サトウ
パーソナルトレーニングジムも非常にやりがいを感じていましたが、より深いレベルで健康にアプローチするためにはジムに来ていないプライベートの時間に変化を与えること、つまり生活習慣そのものを改善する必要があるからです。
パーソナルトレーニングジム時代にも、ジムには珍しく1泊2日で身体に関する知識やノウハウを身につけるプログラムも提供していたのですが、どうしても限界がありました。ジムにかける時間は週1日、1回30分から1時間。ジムに来ていない時間の方が圧倒的に長いので、ここに働きかけないと根本改善ができないというもどかしさを感じていたんです。
そんな時、私たちのジムの会員で、尼崎の永伸商事株式会社の山本伸次さんという方が「当社の従業員を見てほしい」とご相談くださったのです。山本社長は、今後のビジネスの柱に健康関連の事業を加える予定で、「健康ビジネスを展開するなら、まずは社員の健康向上から始めないとダメだ」とお考えでした。
そこで2012年から、同社でリーダー層約30名を対象とした半年間のプログラムを実施したんです。これが現在の【ウェルビーイングフィットプログラム】の原型ですね。
パーソナル指導から集団へのコーチングに展開されたのですね。
サトウ
パーソナルジムを利用される方は、健康に関する何らかの問題を改善したいと思っていたり、そもそも健康への意識が高かったりする方が多いのですが、その時は「社長から言われたから参加する」というのが社員の皆様の本音だったでしょうから、動機付けに苦心しました。
確かに日々の仕事が忙しく時間を割く余裕がなかったり、特に自分が不健康だとは思っていないという方々に対して、生活を変えていくよう指導するのは難しそうです。
サトウ
強制しても無駄というのを実感し、本当に学びの多い貴重な経験をさせていただきました。おかげさまで、思わずやりたくなるような楽しいプログラムの開発にも繋がりましたし、運動が苦手な方でもきちんと運動習慣を形成できる方法も発見しました。それらの発見が全て現在の私たちの強みに繋がっています。
その企業でのプログラムの成果はいかがだったのでしょう?
サトウ
体重が減ったとか、血糖値や血圧が正常値になったなど数字が目に見えて改善されたのはもちろんなのですが、特に変化があったのは社内の雰囲気でした。驚くことに、社内で健康を向上させる取り組みが自主的に始まったんです。例えば、社内に食堂を設置しましょうとか、男性用トイレに尿がかかると血糖値がわかる装置を設置しましょうといった案が社員の方々から積極的に出てきたそうです。健康に対する意識の高さが、いつの間にかその会社の文化となるまで醸成されていったんです。これは物凄い効果ですし、私たちが提供できる大きな価値になると思いました。
しかも永伸商事株式会社さんは、その後本当に健康ビジネスを始めて、今ではミライズ( MIRAIZ)というミスインターナショナルの公式飲料水となったナチュラルミネラルウォーターを通して多くの方々の健康に貢献していらっしゃるんです。
社員個人の健康だけでなく、企業の文化の変革にも繋がるプログラムというのは価値がありますね。
サトウ
ありがとうございます。最近はコロナ禍でリモートワークが増えたので、家にこもりきりで1日3000歩くらいしか歩かない人も多いと聞きます。新しい生活様式が不眠やメンタルの不調を招かないよう、個人も企業もしっかり対策すべき時が来ています。
少しもどかしい気持ちになるのは、「じゃあ自分も何かを始めよう!」と思った人がいたとして、その人が様々なネット記事を読みあさっても、結局は何らかの健康食品や器具の販売ページにたどり着いただけというケースが多いのではないか?ということなんですよね。
健康ビジネスは何らかの商品販売と紐づくことが多いので、せっかくやる気を出して情報を集めようとしても、企業が自社の利益のために何かを購入させるための記事に行き着くのは非常にもったいないというか、本質的ではない気がします。ダイエットもリバウンドしてもらった方が嬉しいと思えるような企業も存在しますから、情報の取捨選択には注意が必要です。
健康ニーズが高まり、健康ビジネスも増えているからこそ、何を選択すべきか慎重にならないといけませんね。
サトウ
睡眠をキーワードにしている私たちのところにも、たまに「ベッドを一緒に売りませんか?」といった営業のお話が来るのですが、申し訳ないですけれど、私たちはフラットな立場であるという姿勢を大切にしたいと思っています。本当に良いものだけを提供する会社という信頼を崩したくないので、そのあたりはかなり気をつけていて、情報発信もフラットな立場を心がけています。今後事業が拡大しても、常に初心を忘れず、私たちが伝えたいメッセージや提供したい価値を真摯に届けていきたいですね。
<プロフィール>
サトウ未来
Lifree代表取締役 /パフォーマンスコーチ
中学・⾼校と最優秀選⼿賞また県のベストメンバーに選ばれる元アスリート。
⼤学で健康/スポーツ学科卒業後は「健康・美しさ」を探求するため⼤⼿エステに⼊社。
わずか2年で関⻄技術ランキング1位/売上全国3位を獲得。
しかし、サプリメントや他⼈に頼りきるのではなく、カラダを本質から改善することが必要と感じ、そしてこれまで2万⼈以上のクライアントのカラダに関わる上で、理想のカラダを作るには「⽇常のライフパターン」や「⾏動変容へのサポート」が重要と考えLifreeの前⾝となるEXEUP株式会社に⼊社。
店⻑、4店舗マネージャーへと昇進。同時に2012年から企業研修の開発・ディレクションを⾏っておりクライアントの⾏動変容を得意とする。2018年Lifree株式会社を設⽴し代表となる。これまで企業80社以上5,000⼈以上のサポートを⾏い実績を積む。
資格:睡眠上級指導⼠/アクションラーニングコーチ/オンラインファシリテーター