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株式会社ワカ製作所

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株式会社ワカ製作所|5Gや精密機器の先端技術で地域社会が目指す未来と共に生きる

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株式会社ワカ製作所 代表取締役 若林佳之助

世界に誇る日本の人工衛星等の宇宙開発技術。その機体の部品一つひとつには極限環境での正確な動作が求められます。

株式会社ワカ製作所は、人工衛星に搭載可能な同軸コネクタとして国内初のJAXA(宇宙航空研究開発機構)認定を受けた電子部品メーカーです。同社の製造する「高周波同軸コネクタ」は、5G等の通信機器などの精密機器にも使用されています。そんな最先端の精密部品の製造拠点が、長野県・安曇野市と長野県・麻績村(おみむら)にあります。

「社会が目指す未来に貢献できる企業でありたい」と語る同社代表取締役の若林佳之助さんに、先端テクノロジーの進化と地域社会への貢献を両立させている同社のステークホルダーとの関わり方を伺いながら、日本のモノづくり企業の生き残りの鍵を探っていきたいと思います。

先端技術を支える100分の数ミリ単位の熟練の技

株式会社ワカ製作所 代表取締役 若林佳之助

同社の主力製品である「高周波同軸コネクタ」とは、人工衛星、通信機器、計測器、医療機器などの精密機器で使用される高い周波数の信号をロスなく伝送する通信ケーブルや電源を接続するための部品のこと。2013年にJAXAから認定を受け、宇宙開発用共通部品として採用されています。JAXAの厳しい認定基準に合格したのは、同軸コネクタの国内メーカーとしては初であり、その技術力が証明されました。

最先端部品の製造・加工は全て工場の社員が手作業で行います。部品は非常に小さいため、半田付けする際には100分の数mm単位の非常に繊細な作業が求められます。
ワカ製作所の職人技
ワカ製作所麻績工場で働く凄腕の職人たち。提供:Sacco

特に、高周波同軸コネクタは一般の通信ケーブルよりも高い周波数を扱うため、その分伝送損失や反射が起きやすくなり、より高精度で精密な設計と製造・加工が必要となります。ケーブルの径や寸法のほんの僅かな誤差で部品本来の性能が損なわれてしまうことから、製造には熟練した作り手が欠かせません。

「コネクタを作り上げるためにはいくつか構成部品があります。より高い周波数を扱うには適切な素材を用いて組立・加工の精度も考慮して個々の部品を設計しないと求める性能が得られません。また、部品を半田付けをする際に熱を加える時間がほんの僅かでも長くなると一部が膨張してしまい性能に大きく影響が出てきます」と若林さんは語ります。

一見同じように見えても、100円程度の製品から数十万円するものまで存在するというコネクタ。より高い周波数を伝送できる高品質のコネクタであれば当然高価になります。

「材料そのものの違いよりも、設計・加工の精度で製品の質が異なってきます。そのため先端技術を支える質の高い製品を作り上げるには高度な設計ノウハウと熟練の技術者による生産体制がどうしても必要なんです。」若林さんはワカ製作所の高品質なモノづくり支える技術力について語ってくれました。

未来を拓くモノづくりで社会の進歩に貢献する

また、同社は5G(第5世代移動通信システム)、そして6G(次世代高速通信規格)に向けた新たな通信インフラの進歩に貢献する技術開発も行っています。

「無線信号・有線信号ともに高速通信になるほど周波数が上がっていくので、より高周波の信号を伝送するための部品が必要になります。今話題になっている5Gでは、過去にモバイル通信が使っていなかった高い周波数の電波を使うことになります。日本では28GHzの周波数帯でサービスが利用されることになります。当社の事業は今後ますます加速する通信の高速化や大容量化を支えるインフラづくりに貢献しているのです」

同社は5Gのさらに先の6Gも見据えてさらなる高周波の同軸コネクタの開発に取り組んでいます。

「先日、政府は6G時代に向けて日本企業の技術が国際標準化を狙う取り組みを支援する方針を発表しました。現在当社は145GHzまでの高周波に対応した製品が中心ですが、今後に向けて6G化に対応した、さらなる高周波伝送技術の開発と製品化に取り組んでいます」と若林さんは今後の展望を語ってくれました。

過疎集落・麻績村に製造拠点がある理由

株式会社ワカ製作所 代表取締役 若林佳之助
このように宇宙開発や5Gなどの高速通信網にも使用される同社の高周波同軸コネクタですが、その製造拠点となっているのは、長野県の中央部に位置する聖高原の麓、過疎化が進む「麻績村」にある麻績工場です。

 

麻績工場の外観 提供:ワカ製作所
麻績工場の外観  提供:ワカ製作所

ではなぜ同社は、長野県麻績村に先端技術の製造拠点を開設したのでしょうか。

「実は、私の祖父が麻績村出身で、若いときに上京するまで麻績村で育ったんです。先代の父は東京で生まれましたが、戦時中に麻績村に疎開しており、第2の故郷という感覚があったのでしょう。そのようなご縁もあり、父がこの地を製造拠点として事業を始めたのです」

このように麻績村との縁を語る若林さんは、過疎化が進む農村に雇用を生み出していることで地域に貢献に繋がっていると言います。

「工場で働く方の多くは地元の主婦の方です。それぞれの家庭の事情を最大限配慮し、労働時間も調整できるようにするなど働きやすい環境をつくっています。麻績村は農業や林業が多く、商工業はあまり見られません。人口2600人ほどの小さな村で、30数名を雇用していることになりますので、人口比率で見れば相当の割合で村に雇用を生み出しているのではないかと思います」


「麻績」の語源は、大和朝廷に招かれた高麗からの帰化人が、この地で麻を績いだことにあると言われています。平安時代には伊勢神宮のご領地となり、麻を栽培して丁寧に1本の糸に紡いで奉納してきました。このように、古くから
機織りや紙漉きなどの手工芸文化が盛んな地であったことも、同社技術者の高度な職人技を育む素地となっているのかもしれません

宇宙開発や高速大容量通信技術5Gに必要な世界最先端の通信インフラは、こうした農村部の手工芸文化を継承する主婦たちが磨いてきた熟練の技能によって支えられているのです。

過疎化が進む農村への移住者の雇用の受け皿に

ワカ製作所 若林佳之助 (5)_

多くの地方の山間部と同様、麻績村も過疎化が進んでおり、若い世代の移住を促進しています。

麻績村では、若者の定住を促進するための各種施策が打ち出されており、村外から定住する若者に住宅を安く提供してきました。近年、こうした施策が功を奏し、移住してきた働き盛りの世代が新たに村の労働力の担い手となっています。ワカ製作所の麻績工場は、こうした移住世帯の働く場としても機能しています。

「麻績村が目指す未来に貢献できる、地域になくてはならない職場を目指しています。すなわち、子育てしながら働きやすい職場です。麻績村が促進する定住施策によって若者世代が定住しはじめています。移住者に村内で働く場所を提供することも私たちが地域に貢献することに繋がっていると思います」と若林さんは言います。

実際に、子どもを保育園や児童館に預け、夫は村外の会社に通勤。妻は麻績工場で働く、というケースがあると言います。

「近年の村の定住促進施策などもあり、若い世代が産休を取りながら安心して働ける職場環境を整備することができました。子どもから少し手を離せるようになった小学校中学年以降になって当社に勤める方もいます。始業・終業時間をある程度柔軟に決められるため、働きやすい環境だと思います」と、若林さんは当社での社員の働きやすさを語ってくれました。

再生可能エネルギー事業でもSDGsに貢献

ワカ製作所 若林佳之助 (6)_

地元の雇用の受け皿としても地域社会に貢献する同社は、長野県の「SDGs推進企業」にも登録されています。同社は長野県内に安曇野市と麻績村に2つの工場があり、それぞれSDGsを推進しています。

「地球環境に優しい取り組みとして、ISO14001の取得はもちろん、CO2排出量の削減を目標にしています。松本工場(安曇野市)では再生可能エネルギー利用の効率化、麻績工場では高速通信を支えるインフラ整備といった社会・経済面での貢献により、SDGsに関わっていきます」と若林さんは説明してくれました。

松本工場では、再生可能エネルギー利用の効率化にも取り組んでいます。

「再生可能エネルギー利用の効率化を推進するために、太陽光発電、ソーラーパネルの充電モジュールを製造しています。ソーラーパネルの充電モジュールとは、メガソーラーなどで利用されている充電効率を最大化する制御方式を、小型の太陽光発電パネルにも適用させて効率良く発電できるようにするものです」

山中に環境計測のためのセンサーを設置したり、河川などの水位計として用いる場合などは、外部電源が確保できないことが多い。小さなソーラーパネルでも高効率に太陽光発電ができれば曇りや雨の日が続いてもバッテリーに蓄電して連続稼動させることが可能になると言います。

「大型のソーラーパネルは設置環境によっては強風にあおられて破損の危険性があります。パネルや電池を小型化できればこのような設置に関するリスクが減り、設置コストも下げることができます。こうした設備が普及すれば、再生可能エネルギーの普及率の向上、ひいてはCO2排出量の削減にも貢献できると思います」と若林さんはエネルギー問題や地球環境への貢献に向けた事業の展望を語ってくれました。

ワカ製作所は、次世代高速通信に欠かせない高周波同軸コネクタ、再生可能エネルギーの普及を推進する小型ソーラーパネルの充電モジュールの開発など、新たな時代を切り拓くインフラの開発により、テクノロジーの進歩や地域社会の活性化にも貢献しています。そんな若林代表にとって、ステークホルダーとはどのような存在なのでしょうか。

株式会社ワカ製作所のステークホルダーへの向き合い方

お客様に対する思い

アンリツ様からのサプライヤー表彰 ワカ製作所 若林佳之助 (24)_

我が社には「お客様の要望はできるだけ実現しよう」という考え方が工場を含む会社全体に根付いています。納期の達成率で言えば98%程度と、とても良い結果になっています。これは、社員がどうすればお客さんの要望を実現できるか、一人ひとり考える文化が醸成されているからだと思います。

例えば、当社の主要取引先に計測器メーカーのアンリツ株式会社さんがあります。アンリツさんからはサプライヤー表彰を受けるなど長年にわたり重要な取引先になっており、現在、当社もサプライヤー会の副会長を拝命しています。

アンリツさんには長年にわたる多品種・短納期生産への貢献を評価いただいています。納期前倒しの要求にもできるだけお応えできるような体制を整備しています。

そのためには常に適正在庫を確保するなどの在庫調整や部材調達などの様々なサプライチェーンマネジメントが要求されます。この分野は長年の経験がものを言いますので、そうした当社の実績を評価いただいているものと考えています。

アンリツさんはサプライヤーを本当に大事にしてくれる会社です。コンペによる価格だけで納入先を選定するわけではなく、サプライヤーを育てながら共に関係を築いていくという考え方が強い会社だと感じています。本当に感謝しています。

取引先への思い

当社から発注する取引先に関しては、取引を通じてお互いに成長していくことができる関係でありたいと思っています。我々がその会社に発注することで、収益が上がり、技術が向上し、経験値が高まり、将来に繋がるような良い影響が生じれば良いと考えています。

社員に対する思い

当社は、「働きがいのある職場であること」、「子育てしながら働きやすい環境づくり」を強く意識しています。

世代や性別に関わらず、いいものをつくる会社で仕事ができれば、社員はその仕事が誇りになります。宇宙利用や通信の高速化などはまさに今後の社会に必要不可欠なもので、社会のインフラを担っているわけですので、このような働きがいを実感してもらえることが大切だと考えています。企業理念にも「世の中に役立つものをつくる」という考えを掲げていますが、これを社員とも共有し続けたいと思っています。

また、先日、麻績工場で働く社員から「勤務時間も調整しやすいので子育てしながら働けて助かっている」という言葉をいただき、とても嬉しく思っています。

始業終業時刻は個人の都合に合わせてある程度柔軟に設定できるようにし、同一労働同一賃金も導入しています。誰かが休みのときはお互いにバックアップしようと自然に思う組織風土もありますので、これからも個人の事情に合わせた働き方をしてもらいたいですね。

地域社会・地球環境に対する思い

地域社会に関しては、「若者が定住する麻績村」という村の将来像やその施策に関わっています。村外からの移住者等が働く場所に困らないように場を提供する役割があると思っています。

一方で、若者だけでなく高齢者や障害者にも優しい環境を整える必要もあると感じています。当社の工場では65歳以上でも希望すれば働けるようにしており、シニア層にも役割を持って働ける場を提供しています。

仕事は単にお金だけの問題ではなく、生きがいにも関わってきます。社会に必要とされていることを実感する場を高齢の方にも用意することも大切なことだと考えています。

また、近隣に筑北中学校があり、工場見学、職場体験を実施しています。麻績小学校、筑北中学校に式典用の椅子やプロジェクターなどの備品も寄付しています。

金融機関に対する思い

メインバンクをはじめ多くの銀行さんにお世話になっていますが、三井住友銀行さんには事業承継の際にお世話になりました。私は2011年に父からこの会社を継ぎましたが、様々なアドバイスをいただきました。特に株式譲渡や自社株評価等、税制改正のタイミングを見据えて対応していただき感謝しています。

<プロフィール>

若林佳之助
株式会社ワカ製作所 代表取締役
1975年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、三菱電機株式会社に入社。FA機器の営業を経て、2005年、株式会社ワカ製作所に入社。2011年社長に就任して、現在に至る。

<企業概要>

株式会社ワカ製作所

https://www.waka.co.jp/
〒160-0023 東京都新宿区西新宿1-20-3 西新宿高木ビル6F
設立:1958年4月

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WRITER
江連 良介
このライターの記事一覧

ライター・編集者。1989年、北海道札幌市生まれ。地方公務員を経験後、政策ライターとして独立。現在は政策、金融、法律、テクノロジーなど幅広い分野で執筆活動を展開。書籍『新型コロナウイルスお金の対策 実はあなたももらえる給付金補助金』、『米国株ナビ』編集長など。最近の関心分野はTech×行政領域。

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