異常気象は日本だけではない 米テキサスで子どもたちを襲った「100年に一度」の大洪水

地球温暖化の影響かはわからないが、異常気象の脅威は日本だけにとどまらない。7月初旬、米国テキサス州中部では「100年に一度」とも言われる集中豪雨による壊滅的な洪水が発生し、子どもたちを含む多くの住民が犠牲となった。
これまでに43人の死亡が確認され、女子専用のサマーキャンプでは十数人が今なお行方不明のままとなっている。
地元カー郡保安官ラリー・レイサ氏によれば、7月5日午後5時30分時点で、大人28人、子ども15人の遺体が収容された。現地では救助活動が今も続いており、当局は「全員が見つかるまで活動を止めない」としている。
日本政府も迅速に反応 石破総理・岩屋外相が相次いで哀悼の意
この深刻な災害に対し、日本政府は早期に対応を示した。石破茂内閣総理大臣は7月6日、ドナルド・トランプ米国大統領に向けて次のようなメッセージを発出した。
「米国テキサス州における洪水により、多くの方々が犠牲になられたとの報に接し、大変心を痛めております。この困難な時に、日本国政府及び日本国民を代表し、御遺族、そしてアメリカ合衆国の皆様に衷心よりお悔やみ申し上げます。また、行方不明となっている方々が無事にお戻りになることを心よりお祈り申し上げます」
同日には、岩屋毅外務大臣もマルコ・ルビオ米国国務長官に対し、同様の見舞いメッセージを送った。
「尊い命が犠牲となり、多くの方々が依然として行方不明との報に接し、深く心を痛めております。この困難な時に、日本は、被災された全ての方々と共にあります」。
川の増水で女子キャンプ壊滅 親たちは「まだ生きていると信じたい」
被害が特に深刻だったのは、サンアントニオ北西約80キロに位置するカービル市とその周辺地域。とりわけ注目されているのが、女子専用のキリスト教系サマーキャンプ「キャンプ・ミスティック」である。グアダルーペ川の急激な増水により、複数のキャビンが流され、キャンプに参加していた少女たちの一部が流されたとみられている。
テキサス州のダン・パトリック副知事は「750人のキャンプ参加者のうち、少なくとも23人が行方不明」と明らかにした。また、地元メディアによると、8歳の少女ライラ・ボナーさんの死亡が確認された一方、依然として複数の子どもたちの行方が分かっていない。
大学生のグループも被害を受けており、エラ・ケイヒルさん、エイダン・ハートフィールドさん、ジョイス・バドンさん、リース・マンチャカさんの4人が依然として行方不明となっている。ジョイスさんの父親は「全員がまだ生きていると信じている」と語り、救出への望みを捨てていない。
「一生に一度の洪水」 地域は今も緊急対応の最中
カー郡では金曜日の3時間で6インチ(約15センチ)を超える雨が降り、地域の雨量はわずか数時間で「夏全体を上回る」とされた。CNNはこの豪雨を「100年に一度の気象災害」と報じており、洪水の衝撃は全米に広がっている。
テキサス州のグレッグ・アボット知事は「カービル、イングラム、ハント、そしてヒル・カントリー地域に対して、壊滅的な洪水に対処するためのあらゆるリソースを動員している」と強調し、現地住民には「当局の指示に従い、浸水地域への車での立ち入りを控えるように」と呼びかけている。
今回の災害は、異常気象が人命と暮らしに与える脅威を改めて浮き彫りにした。今後も捜索・救助と並行して、インフラの再建と気候変動への対応を巡る議論が加速することが予想される。