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モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)は11日、スタンダードインデックスの定期見直しを発表した。今回、日本株では東京メトロが新規採用され、9銘柄が除外された。
本稿では、MSCIの銘柄入れ替えの影響や市場への波及効果について分析する。
MSCIの定期見直しとは?
MSCIとは、アメリカ合衆国・ニューヨークに本拠を置く、金融サービス企業。株価指数の算出や、ポートフォリオ分析など幅広いサービスを提供している。
MSCI指数は、先進国・新興国を含む約70カ国の株式市場をカバーし、機関投資家の運用指標として用いられている。銘柄の組み入れや除外は、関連する株式の需給や市場価格に大きな影響を及ぼす。
MSCIは年4回(2月、5月、8月、11月)に定期見直しを行い、世界各国の市場動向を反映した銘柄の組み入れ・除外を発表する。MSCI指数をベンチマークとする運用資産は16兆3000億ドル(約1870兆円、2021年6月末時点)に上るとされ、MSCIの決定が市場に与える影響は極めて大きい。
今回のMSCI銘柄入れ替えの概要
MSCIが発表した最新の定期見直しでは、日本株では東京メトロが新規採用され、9銘柄が除外された。これらの変更は、2月28日の取引終了時点で指数に反映される。
新規採用銘柄
東京メトロ(9023)
除外銘柄
・ブラザー工業(6448)
・日立建機(6305)
・ジャパンリアルエステイト投資法人(8952)
・KOKUSAI ELECTRIC(6525)
・日本マクドナルドホールディングス(2702)
・三井化学(4183)
・しずおかフィナンシャルグループ(5831)
・東京電力ホールディングス(9501)
・TOTO(5332)
MSCIはこのほか、グローバルな指数である「MSCI ACWI指数」に23銘柄を新規採用し、107銘柄を除外した。日本市場だけでなく、世界的に大規模な銘柄入れ替えが行われた。
MSCI採用・除外の影響とは?
今までの傾向では、MSCI指数に新規採用された銘柄は、機関投資家やインデックスファンドによる買いが入りやすくなる。一方、除外された銘柄は売却対象となる可能性が高く、短期的には株価にネガティブな影響を与えることが多い。
特に、MSCIをベンチマークとするファンドは、指数に合わせてポートフォリオを調整するため、リバランスに伴う大規模な売買が発生する。実際、過去の銘柄入れ替えでは、新規採用銘柄は発表後に株価が上昇しやすく、除外銘柄は下落する傾向が見られている。
東京メトロは今回の採用で機関投資家の資金流入が期待される。一方で、除外された9銘柄については、短期的な売り圧力にさらされる可能性がある。
東京メトロの採用理由とは?
東京メトロがMSCIに採用された理由の一つとして、安定した事業基盤と収益性が挙げられる。同社は都内を中心に鉄道事業を展開し、運輸収入が堅調に推移している。また、近年の都市開発や観光需要の回復も同社の業績を支える要因となっている。
さらに、MSCIは流動性や時価総額などを考慮して銘柄選定を行う。東京メトロは市場での取引量が一定水準を超えたことで、新規採用に至ったと考えられる。
除外銘柄の動向と市場への影響
一方、除外された9銘柄の多くは、流動性や時価総額の変動、業績の影響を受けたと考えられる。特に、日本マクドナルドホールディングスや東京電力ホールディングスといった知名度の高い企業の除外は、市場関係者の注目を集めている。
東京電力ホールディングスは福島第一原発の処理問題などから、株価の変動が大きい銘柄とされてきた。日本マクドナルドホールディングスは、国内外の競争環境の変化やコスト上昇の影響が懸念される。
まとめ
MSCIの銘柄入れ替えは、日本市場においても注目すべきイベントである。東京メトロの新規採用はポジティブな材料とされる一方で、除外された9銘柄の今後の動向には注意が必要だ。
投資家にとって、MSCIの動向を把握し、適切なリスク管理と投資戦略を練ることが、安定したリターンを得るための鍵となる。