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三菱UFJの貸金庫窃盗事件で波紋 みずほと三井住友も管理体制を強化

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貸金庫 対策
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三菱UFJ銀行の貸金庫窃盗事件を受け、他の大手行も対応を急いでいる。
みずほ銀行は新規受付停止、三井住友銀行は管理体制を見直すなど、貸金庫ビジネスそのものの在り方が問われている。

三菱UFJ銀行貸金庫事件について

三菱UFJ銀行の元行員が貸金庫から顧客の貴金属や金塊を盗んだ事件が、業界全体に深刻な影響を与えている。元行員は預かり物を不正に持ち出し、およそ14億円に上る被害を引き起こしたとされる。三菱UFJ銀行はすでに約半額を補償したが、利用者の信頼を著しく損なったことは否めない。

三菱UFJ銀行貸金庫事件の再発防止策

再発防止に向けた具体的な対策として、三菱UFJ銀行は以下の重層的な施策を策定した。

①貸金庫に関する手続・ルールの見直し、管理強化

・貸金庫の予備鍵等、重要物の管理を強化(予備鍵の本部一括保管を含む)
・貸金庫への入退室や開閉時の管理を強化
・貸金庫ビジネスの方向性を中長期的に検討

②拠点内での牽制・モニタリングの強化

・営業課長への直接的な牽制を強化
・健全な猜疑心を持った拠点内での相互牽制や支店マネジメントからのモニタリングを強化

③本部等による牽制・モニタリングの強化

・子会社によるチェック・牽制機能を強化
・部門検査室によるチェック・牽制機能を強化
・子会社と部門検査室によるチェック・牽制の役割を再整理

④人事運営の見直し

・営業課長を含む支店マネジメントへの再発防止に向けた意識徹底
・不正を早期に検知する観点から営業課長の人事運営を見直し

⑤法令等遵守意識の再徹底

・トップメッセージの発信などによる法令遵守意識と行動規範の再徹底
・研修を通じた行動規範の周知および遵守意識の再強化
・不正防止のため、周囲からの「気づき」の声を積極的に収集

三菱UFJ銀行はこれらの対策を迅速かつ徹底的に実施することで、顧客資産の保護と信頼回復を目指している。

参照:元行員の不祥事に関する対応状況・再発防止策等について(三菱UFJ銀行)

みずほ銀行、貸金庫サービスの新規受付を停止

この事件を受け、大手行の一つであるみずほ銀行も動きを見せた。

同銀行は全国の支店に設置している貸金庫について、原則として新規契約の受付を停止する方針を発表した。さらに、店舗の移転や新設に伴う場合には、貸金庫そのものを設置しない方針を強化するという。

みずほ銀行は以前から貸金庫ビジネスの採算性に課題を抱えており、今回の事件を契機にサービス展開を抑制する決断に至ったとみられる。
貸金庫設置の削減は、コスト面だけでなくセキュリティ管理の簡略化にもつながるとしている。

三井住友銀行、予備鍵の管理を本部へ集約

三井住友銀行も管理体制の見直しに乗り出した。

同行は貸金庫の予備鍵を本部に集約し、不正利用を防止する仕組みを整備した。予備鍵の使用時には必ず本部が関与することで、支店単位での管理に潜むリスクを排除する狙いだ。

全国銀行協会も先月、今回の事件を受けて加盟行に対する管理体制の強化を呼びかける通達を出しており、貸金庫ビジネス全体で安全性向上の取り組みが進むと見られる。

貸金庫ビジネスの将来と今後の課題

貸金庫は、顧客資産を安全に保管するための重要なサービスである一方で、銀行側の管理コストやリスクが大きいことも事実だ。今回の事件を契機に、貸金庫ビジネスそのものの意義や採算性が問われている。三菱UFJ銀行の半沢淳一頭取は「撤退も一つの選択肢」と述べ、今後の方向性を3月までに見いだす考えを示した。こうした動きは顧客資産の保管方法に見直しを迫る可能性があり、利用者には今後の動向に注目するとともに、一層慎重な資産管理が求められる。

金融機関にとって、貸金庫は顧客との信頼関係を基盤とするサービスであり、その信頼性を損なうことは大きな課題である。各行が進める管理体制の見直しは第一歩に過ぎず、さらなる安全性向上と信頼回復のための取り組みが不可欠だ。業界全体の課題解決が進む中で、利用者が安心して資産を預けられる環境を整えることが求められる。

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ライター:

新聞社で記者としてのキャリアをスタートし、政治、経済、社会問題を中心に取材・執筆を担当。その後、フリーランスとして独立し、政治、経済、社会に加え、トレンドやカルチャーなど多岐にわたるテーマで記事を執筆

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