三菱商事は中国子会社での銅取引を巡り、不正取引が発覚したと発表した。
不正行為により138億円の損失を計上し、業界全体への警鐘となる事態だ。
中国子会社での不正取引、138億円の損失計上
三菱商事は、中国子会社「三菱商事RtMチャイナ」が関与した銅取引において、不正取引が発覚したと明らかにした。
不正により発生した損失額は138億円にのぼり、2024年度第2四半期の決算に計上された。
同社は、不正行為の責任者を懲戒解雇し、中国の公安当局に刑事告訴も行っているという。
不正行為の内容と発覚の経緯
今回の不正取引では、担当者が自身と関係の深い企業と無許可で取引を行い、一部の取引先から代金が決済されなかったことが判明した。
三菱商事は、顧客の支払い遅延や未払いが続いたことを受け、取引の調査を開始。
その結果、不正行為が明らかになった。同社は中国公安当局とも連携し、詳細な調査を進めている。
業績への影響と社内の対応
三菱商事は、この損失が通期業績に与える影響は限定的であるとし、2025年3月期の連結純利益予想を前期比1.5%減の9500億円と据え置いている。しかし、同社の株価が一時2.1%下落するなど、投資家の間で影響が広がった。
業界全体に広がるリスク
商品取引業界では、従業員による不正行為が相次いで発覚している。
三菱商事の案件に先立ち、資源商社大手のトラフィグラ・グループもモンゴルの石油事業を巡る不正行為で11億ドルの引当金を計上する可能性があると発表している。多額の資金を扱うトレーダーとしての責任問題が改めて浮き彫りとなった。
信頼回復に向けた課題
今回の不正取引疑惑は、三菱商事の保守的な企業文化にも影響を与える可能性がある。
中国の取引先や同国で活動する他の商社にとっても、信頼回復への課題は残る。
同社が再発防止策を講じ、いかにしてガバナンスを強化し、信頼を取り戻すかが注目される。