島根県出雲市を拠点とする女子サッカーなでしこリーグ2部「ディオッサ出雲FC」で、セクハラ・パワハラ疑惑が浮上。所属するブラジル人選手2名が監督・コーチからのハラスメント被害を告発し、チーム側がセクハラ発言を否定するなど、双方の主張が真っ向から対立している。
日本女子サッカーリーグは調査を開始しており、その結果が注目される。この問題は、クラブの経営や地域経済にも影響を及ぼす可能性があり、女子サッカー界全体への波紋も広がりつつある。
選手側の告発:通訳不足、性的な叱責、脅迫行為
2022年に入団したブラジル人MFとFWの2選手は6日、代理人弁護士と共に記者会見を開き、監督とコーチからセクハラ・パワハラを受けていたと訴えた。告発内容によると、契約上義務付けられていた通訳は週1回程度しか提供されず、日本語の指示が理解できない状況に置かれていた。
監督からは練習や試合でのミスを犯すと性的な言葉で叱責され、チームの理事長に直訴しようとした際には試合起用に関する脅迫もあったという。コーチからも、日本語が理解できないことを嘲笑されるなどの行為があったと主張している。2選手は7月に急性ストレス障害と診断され、8月以降チーム活動を離脱。現在も心療内科への通院を続けている。
チーム側の反論:セクハラ発言を否定、調査継続を主張
ディオッサ出雲FCを運営する特定非営利活動法人ディオッサスポーツクラブも同日会見を開き、監督のセクハラ発言を否定。選手起用に関する発言については、誰に対してどのような意図で発言したのか調査が必要だとしている。
通訳不足については責任を認め謝罪したが、独自調査ではセクハラ発言は確認されなかったと主張。現在、リーグによる再調査が行われている。
第三者機関とリーグの対応:調査の行方と再発防止策
日本サッカー協会が設置を義務付けているウェルフェアオフィサーは、5月に監督と話し合いの場を持った。この際、監督から理事長への直訴をしようとした選手への脅迫ともとれる発言があったことが確認されている。
この件に関して、SNSでは「第三者の確認が取れている以上、大変残念な事態。JFA(日本サッカー協会)には厳しい判断を見せてほしい」といった声が上がっている。日本女子サッカーリーグは、今回の告発を受け調査を開始。その結果次第では、クラブや関係者への処分が検討される。女子サッカー界全体で、ハラスメント防止策の強化や再発防止策の徹底が求められる。
経済的影響:スポンサー離れ、地域経済への打撃も懸念
この問題は、クラブの経営にも大きな影響を与える可能性がある。スポンサー離れやイメージ低下による観客動員数の減少は、クラブの財政基盤を揺るがしかねない。また、地域経済への打撃も懸念される。ディオッサ出雲FCは、地域活性化の一翼を担う存在でもあり、クラブの不祥事は地域のイメージダウンにもつながりかねない。
地元住民からは、過去に経営難で解散した松江シティFCの例を挙げ、「島根のサッカークラブは経営者に問題があるのではないか」といった懸念の声も出ている。
監督・コーチのコメントと世論の反応
堺監督は、自身のホームページで「過去の敗戦を力に変え、生まれ変わる過程にあるディオッサ出雲をご堪能ください」とコメントが掲載されていた。2人いるコーチの一人も「トップチーム、アカデミーの選手一人一人が成長を実感できるよう全力を尽くします」とコメントがでている。
しかし、告発内容の深刻さを鑑み、これらのコメントには疑問の声も上がっている。SNSでは、「告発内容が事実なら、指導的立場にある資格はない」「口止めや隠蔽を図るなど悪質極まりない」といった批判的な意見が多く見られる。
公正な調査と透明性のある情報公開を
選手とチーム、双方の主張が食い違う中、リーグによる公正な調査と透明性のある情報公開が不可欠だ。今回の問題を個別の事案として終わらせることなく、女子サッカー界全体でハラスメント撲滅に向けた取り組みを強化し、選手が安心してプレーできる環境整備を進める必要がある。