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盗撮おじさん「私人逮捕」の瞬間がSNSで拡散 正義と暴走の境界線

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tousatsuojisan

名古屋・栄駅で盗撮を試みた高齢男性を女性らが取り押さえ、SNSで拡散。「私人逮捕」の是非をめぐり賛否両論。過去の誤認逮捕死亡事件も踏まえ、市民が持つ“正義”のリスクと責任を探る。

「盗撮おじさん」の私人逮捕で栄駅は一時騒然

10月12日、名古屋・栄駅の構内で、女性のスカートの中を盗撮しようとした高齢男性が、周囲の客らに取り押さえられる騒動があった。
現場では、被害女性を含む6人が男性を床に押さえつけ、駅員が駆けつけるまでの一部始終を記録した動画がSNSで拡散。まさに“私人逮捕”の瞬間だった。

 

「勇敢」「怖すぎる」賛否分かれるSNSの反応

現場動画がSNSに投稿されると、瞬く間に拡散。動画を見たユーザーからは賛否の声が入り混じった。

「取り押さえた女の人たちだって怖かっただろうに勇敢」
と、その行動を称える声もある一方で、
「自分が犯行を正に目撃してない状態での逮捕協力は、流石に怖くて出来ないわ。」
「関係ない人まで参加してるようでちょっと怖い」

と、私人逮捕に対する疑問の声も上がっている。
SNS上では、「正義感と暴力の境目はどこか」という議論が巻き起こっている。

 

「四日市ジャスコ誤認逮捕死亡事件」に見る誤認逮捕の怖さ

私人逮捕は、刑事訴訟法第213条で「現行犯人を逮捕できる」と定められており、市民にも一定の権限が与えられている。
しかし、法の名のもとに行動することが“過剰な制圧”につながる危険性もある。

代表的な悲劇が「四日市ジャスコ誤認逮捕死亡事件」だ。
2004年、三重県四日市市のショッピングセンターで、窃盗未遂の疑いをかけられた68歳男性が警官や客に取り押さえられ、その後死亡。
裁判で津地裁は「制圧行為は違法」と判断し、三重県に880万円の賠償命令を下した。
事件では、被害を訴えた女性がその場から立ち去り、真相は今も不明のままだ。

見ず知らずの人の「犯人です!」という声を信じて加勢することは、時に取り返しのつかない悲劇を招く。
正義のつもりが、誤認によって人の命を奪ってしまう、そんなリスクを抱えるのも“私人逮捕”の現実である。

 

「正義の私人逮捕」も一歩間違えれば犯罪者に

私人逮捕はあくまで「現行犯」に限られる。そもそも「現行犯」とは、原則として今まさに犯行を行っている最中であるか、終えた直後である人のことを指す。現認していない状況で制圧すれば、逆に「暴行罪」「逮捕監禁罪」に問われる可能性もある。

また即撮影・即投稿・即拡散されるSNSの即時性が“正義の共有”を加速させる一方で、事実確認を飛ばした暴走や、誹謗中傷などの二次被害にもつながりかねない。正義感が暴走する社会は、いつその牙が自分に向くかも分からない。

 

「泣き寝入りも防ぎたい」社会のジレンマ

それでも、現行犯を見逃せば被害者が泣き寝入りする。
「見て見ぬふり」は加害者を利するだけ、その一方で、過剰な制圧は“暴力”にもなり得る。勇気と冷静さ、その両方を持って行動することが、今の社会に求められている。
名古屋・栄駅での一件は、「正義とは何か」「どこまでが市民の責任か」を私たちに問いかけているのではないだろうか。

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ムーンサルト もも

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広告代理店勤務を経て、Webメディア運営会社での編集・記事制作を経験。現在はフリーランスのWebライターとして活動。ネットミーム愛好家。

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