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ブレイキングダウン出場格闘家を逮捕・送検 金メダル装い純金3.5キロ密輸 “再挑戦の舞台”に問われる責任

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キムジェフン
キムジェフン 公式インスタグラムより

人気格闘技イベント「ブレイキングダウン」に出場経験のある韓国籍格闘家、キム・ジェフン容疑者(35)が、金メダルを装って純金3.5キロ(約5000万円相当)を密輸したとして逮捕・書類送検されていたことがわかった。大阪府警は関税法違反などの疑いで、キム容疑者を含む男女8人を摘発。再挑戦を掲げる舞台から生まれた事件は、エンターテインメントと社会的責任の境界を改めて問いかけている。

 

 

「金メダル」で装った密輸の構図

大阪府警が関税法違反などの疑いで逮捕・書類送検したのは、
韓国籍の格闘家キム・ジェフン容疑者(35)を含む男女8人。
「ブレイキングダウン」に出場経験があるキム容疑者は、身長180センチ、体重150キロの大柄な体格で、“人間凶器”の異名を持つ。

捜査関係者によると、キム容疑者らは今年1月、韓国・仁川国際空港から関西国際空港にかけて、金製メダルを装った純金計約3.5キロ(約5000万円相当)を密輸しようとした疑いが持たれている。

7人の日本人運搬役が、首から金色の円盤をぶら下げて入国。
見た目は格闘技大会の表彰メダルのようだったが、税関職員が重さの異常に気づき、X線検査ですべて純金製であることが発覚した。
メダルには運搬役の名前が刻まれており、本人たちは「大会で受賞した」と説明していたという。

大阪府警は、10日までにキム容疑者らを逮捕・書類送検し、密輸グループの実態解明を進めている。

 

報酬目当てでやった。リクルーターの役割

取り調べに対し、キム容疑者は容疑を認め、「金に困って報酬目当てでやった」と供述している。

キム容疑者は韓国にいる人物から密輸を打診され、運搬役を募って計画を実行。
7人の男女にメダルを渡し、「格闘技大会のメダルだ」と説明した上で、首から下げたまま入国させたとみられる。

報酬は一人あたり数万円。
キム容疑者はリクルーター(運搬役の勧誘・管理役)として組織の中心的立場にあり、金は日本国内で売却される予定だった。
大阪府警は、キム容疑者が昨年末から数回にわたり密輸に関与していたとみている。

 

金密輸が後を絶たない背景

金の密輸摘発は近年、全国で急増している。
背景にあるのは、金価格の高騰と日本の消費税制度だ。

海外では金の売買が非課税の国も多く、海外で購入した金を日本に密輸し、国内で消費税込み価格で販売すれば、10%分の差益を不正に得ることができる。

財務省によると、2023年の金密輸摘発は100件を超え、押収量は年間1トンを上回った。
中でも韓国からのルートが多く、「輸送距離が短く、手荷物で運べる量でも高額になる」(税関関係者)という。

今回の事件では、オリンピックの金メダルが実際には銀製で表面に金メッキを施していることに着目。
「一般的なメダルなら申告不要」とする税関ルールを逆手に取り、誰も疑わない形で金を持ち込む狙いがあったとみられる。

 

“更生の舞台”が抱える危うさ

BreakingDownは、元不良や少年院出身者など道を外れた人々に再挑戦の機会を与える格闘技イベントとして知られる。
「1分間で人生を変えろ」というキャッチコピーのもと、出場者の過去やドラマ性を交えた演出で人気を集めてきた。

しかし今回の事件を受け、SNSでは批判の声が広がっている。
「更生を掲げながら反社会的勢力を助長しているのでは」
「犯罪歴を“話題”として利用している」といった意見が相次いでいる。

社会学者の溝口氏は「番組発足後も犯罪率は上昇していない」として、番組と犯罪の直接的な因果関係を否定しているが、「更生を商業化する構造そのものにリスクがある」と警鐘を鳴らす。

BreakingDownの公式インスタグラムには、「もう一度チャンスを」と擁護する声が寄せられる一方、「出場者管理を強化してほしい」「社会的責任を果たすべき」とのコメントも多い。

 

強さとは何か

キム容疑者は過去、リング上で「強さとは、諦めないこと」と語っていた。
しかし今回の事件は、その言葉が空しく響く結果となった。

格闘技は本来、己を律し、相手を敬う文化であり、強さとは筋肉ではなく誠実さの積み重ねにある。
大阪府警関係者は「金密輸は暴力を伴わないが、社会の信頼を壊す重大犯罪だ」と指摘する。

BreakingDownが「再挑戦の舞台」であり続けるためには、単なる話題性ではなく、倫理と責任を土台にした運営体制が求められている。
金メダルの形をしたその塊が象徴していたのは、栄光ではなく、歪んだ欲望の重さだった。

 

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ライター:

広島県在住。福岡教育大学卒。広告代理店在職中に、経営者や移住者など様々なバックグラウンドを持つ方々への取材を経験し、「人」の魅力が地域の魅力につながることを実感する。現在「伝える舎」の屋号で独立、「人の生きる姿」を言葉で綴るインタビューライターとして活動中。​​https://tsutaerusha.com

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