
トランプ大統領の最新の支持率が53%となり、過半数の米国民がその仕事ぶりを評価していることが明らかになった。就任から約3週間の時点でのこの数字は、過去の歴代大統領と比較するとどのような位置にあるのか。また、世界の主要指導者と比べてどの程度の支持を得ているのか。最新の世論調査の結果をもとに詳しく分析する。
トランプ大統領の支持率53%、世論調査が示す評価
米CBSテレビとユーガブが9日に発表した世論調査によると、トランプ大統領の支持率は53%、不支持率は47%だった。この調査は2月5日から7日にかけて、米国内の成人2,175人を対象に実施された。
調査によると、トランプ氏の公約実行に対する期待は高く、「選挙で約束した政策を進めている」との認識を持つ人は70%に上る。また、不法移民の強制送還については59%が支持。特に共和党支持者の間では圧倒的な支持を得ている。
一方で、経済政策、特に物価抑制への取り組みについては66%が「不十分」と回答。中国に対する追加関税(10%)には56%が賛成したものの、メキシコやカナダへの関税には反対の声が多数を占めた。
また、トランプ大統領の最側近である実業家イーロン・マスク氏について、政府の支出削減に対する影響力を持つべきかという質問には、共和党支持者の74%が「影響力を持つべき」と回答したが、民主党支持者の69%は「持つべきではない」と回答し、党派による意見の違いが鮮明となった。
歴代アメリカ大統領との比較
歴代のアメリカ大統領の就任直後の支持率と比較すると、トランプ大統領の53%という数字は中程度の水準にある。
- バイデン前大統領(2021年2月):57%
- オバマ元大統領(2009年1月):66%
- ジョージ・W・ブッシュ元大統領(2001年2月):59%
- トランプ氏の1回目の就任時(2017年1月):44%
オバマ元大統領の就任時の支持率が66%と最も高かった一方で、トランプ氏の最初の就任時(2017年)は44%と低かった。しかし、今回はこれを大きく上回る53%となり、再び大統領としての支持を取り戻しつつあることがうかがえる。
世界の主要リーダーとの比較
Morning Consultが実施した調査によると、トランプ氏の支持率は53%で、世界の主要指導者の中でも比較的高い位置にある。しかし、以下の4人のリーダーはこれを上回る支持率を得ている。
- ナレンドラ・モディ首相(インド):75%
- クラウディア・シェインバウム大統領(メキシコ):66%
- ハビエル・ミレイ大統領(アルゼンチン):65%
- カリン・ケラー=ズッター大統領(スイス):56%
一方、最も支持率が低かった指導者には以下のような面々がいる。
- ジャスティン・トルドー首相(カナダ):22%
- オラフ・ショルツ首相(ドイツ):20%
- エマニュエル・マクロン大統領(フランス):18%
- 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領(韓国):17%
- ペトル・フィアラ首相(チェコ):16%
このデータから、トランプ大統領の支持率は米国内だけでなく、国際的な指導者たちと比較しても相対的に高いことが分かる。
トランプ氏の支持率上昇の背景
トランプ氏の支持率は、就任初期の「ハネムーン期間」の影響もあると専門家は指摘している。ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジの米国政治センター所長、トーマス・ギフト氏は「政権発足当初は指導者に対する一定の敬意が払われるが、時間が経つにつれて薄れていく」と述べる。
また、トランプ氏の移民政策への支持は依然として高く、ニューヨーク・タイムズ/Ipsosの調査では、55%が大量強制送還計画を支持し、88%が犯罪歴のある不法移民の強制送還を支持していることが明らかになった。
さらに、黒人有権者の間でも支持が増加傾向にあり、AtlasIntelの調査(1月2日~10日)によると、黒人有権者の69%がトランプ氏の職務遂行を支持。これは白人有権者(50%)を上回る結果となった。
まとめと今後の展望
トランプ大統領の支持率は53%と、歴代アメリカ大統領と比較すると中程度の水準だが、トランプ氏自身の過去の支持率と比べると大きく改善している。また、世界の主要指導者と比較しても上位に位置しており、国際的な人気も一定程度保っている。
今後のトランプ政権の支持率は、物価や経済政策の進展、不法移民対策、国際関係の動向によって大きく左右されるだろう。特に、物価抑制や関税政策に対する不満がある中、どのような具体策が打ち出されるのかが注目される。