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「リベンジ退職」とは?アメリカで急増する辞職の波と職場の課題

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リベンジ退職
DALL-Eで作成

2025年のアメリカでは、「リベンジ退職」という現象が急速に広がっている。不満を抱えた従業員が企業への抗議として辞職するこの動きは、単なる転職ではなく、労働環境の課題を浮き彫りにしている。
なぜ今、この現象が起きているのか。そして企業はどう対応すべきなのか。

本記事では、「リベンジ退職」の実態と、企業に求められる変革について考察する。

リベンジ退職とは?

「リベンジ退職」とは、職場環境への不満を抱えた従業員が、単なるキャリアアップではなく企業への抗議や報復の意味を込めて退職する行為を指す。特にアメリカでは2025年に入り、このトレンドが急増している。

Google検索における「リベンジ退職」の検索数がここ数週間で234%増加したとのデータもあり、関心の高さがうかがえる。企業の対応次第では、従業員の離職が連鎖的に発生し、職場環境が一気に崩壊する可能性もある。

なぜ今、リベンジ退職が増えているのか?

近年、「大辞職」や「静かな退職」などの労働トレンドが注目されてきた。2024年には最低限の業務しかしない「静かな退職」が話題となったが、2025年には「リベンジ退職」という形で新たな動きが生まれている。

この背景には、企業の厳格な雇用方針への反発がある。パンデミック後、多くの企業がリモートワークを終了し、オフィス勤務を義務化。しかし、従業員に対する十分な説明や配慮がなされず、不満が爆発した。また、業務負担の増加や解雇の相次ぐ実施も、職場環境の悪化を招いた。

リベンジ退職を決断する人の心理

「リベンジ退職」を決断する従業員の多くは、単に転職を希望するのではなく、「会社にダメージを与えたい」という感情を抱いている。

主な要因は以下の通りだ。

トップダウンの文化:経営層が従業員の声を聞かず、一方的な決定を下す
努力が認められない:成果を上げても正当な評価が得られず、モチベーションが低下
不公平な待遇:特定の従業員が優遇される環境に嫌気が差す
冷たいマネジメント:個人の意見や感情を軽視する企業文化が不満を助長する。

特にZ世代は、「給与や安定よりも、働きがいや心理的安全性を重視する」傾向がある。企業がこの価値観の変化を理解しなければ、従業員の離職は止まらないだろう。

リベンジ退職が企業に与える影響

突然の退職が続くことで、一部の従業員に過剰な業務負担がのしかかる。これがさらなる退職を招き、悪循環に陥る可能性がある。また、SNSでのネガティブな評判が拡散されると、新規採用にも悪影響を及ぼし、企業の競争力低下につながるリスクもある。

SNSなどのソーシャルメディアが浸透している世の中では、些細なことでも企業のブランドイメージが損なわれることもある。そのため、リベンジ退職による企業のブランディングイメージへの影響も少なからず見込まれることもあるだろう。

リベンジ退職を防ぐために企業が求められる行動

リベンジ退職を防ぐためには、企業が従業員の信頼を取り戻す必要がある。
例えば、以下のような対策を講じることも重要だ。

① 従業員の不満を早期に察知し、話し合う文化を作る

従業員の不満が爆発する前に、企業が早期に察知し、対話を行うことが重要だ。定期的な1on1ミーティングや匿名アンケートを活用し、問題を未然に防ぐ仕組みを作る必要がある。

ただし、1on1の場では、”心理的安全性”を確保することが不可欠だ。上司が一方的に指導や指摘を行うのではなく、従業員が安心して意見を述べられる環境を作ることで、企業との信頼関係を築くことができる。

② 昇進や評価制度の透明性を高め、不公平感をなくす

企業は、成果だけではなく、そこに至る過程や努力も評価する必要がある。例えば、裏方の仕事やチームワークの貢献も正当に評価される仕組みを整えれば、従業員のモチベーションは向上する。

また、昇進の基準を明確にし、公平なキャリア形成の機会を提供することが重要だ。
こうした透明性のある評価制度が、従業員の納得感を高める。

③ ワークライフバランスを整え、「燃え尽き退職」を防ぐ

長時間勤務を控え、仕事と離れる時間を作ることが重要だ。長時間労働や過重な業務が続けば、従業員は疲弊し、退職の引き金となる。企業は、柔軟な勤務体系の導入や、休暇の取得推奨など、持続可能な働き方を推進することが求められる。

また、上司などのリーダーが率先して効率の良い働き方を示すことも重要となる。

リーダーが率先して休暇を取得し、ワークライフバランスを重視する姿勢を示すことで、従業員も安心して休むことができる。

④ 信頼できる職場環境を作り、従業員に「ここで働きたい」と思わせる

従業員が「この会社で働き続けたい」と思える環境を作ることが、リベンジ退職を防ぐ最も有効な手段だ。経営層は従業員の意見を尊重し、彼らの声が企業の意思決定に反映される仕組みを整える必要がある。

また、心理的安全性が確保された職場では、従業員が意見を言いやすくなり、企業との信頼関係が深まる。職場文化を「対話重視」にシフトすることが、企業の存続に不可欠となる。

まとめ:リベンジ退職は企業の存続に関わる課題

「リベンジ退職」の広がりは、企業が従業員の声を軽視してきた結果ともいえる。この現象を一時的なトレンドではなく、労働環境の変革が求められている兆候として捉えるべきだ。

企業は「選ばれる職場づくり」へとシフトしなければ、優秀な人材を確保することは難しくなるだろう。

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ライター:

新聞社で記者としてのキャリアをスタートし、政治、経済、社会問題を中心に取材・執筆を担当。その後、フリーランスとして独立し、政治、経済、社会に加え、トレンドやカルチャーなど多岐にわたるテーマで記事を執筆

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