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米価高騰で家計圧迫、政府の備蓄米放出が遅れた理由とは?

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米価高騰で家系圧迫
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コメ価格の高騰を受け、江藤拓農相は24日、政府の備蓄米を放出する準備を進めると発表した。政府備蓄米の放出は流通不足への対応として初めての試みとなるが、発表までに要した時間の長さが厳しく問われている。

米価が過去最高値、主食の危機に国民が悲鳴

昨夏の「令和の米騒動」以降、コメの価格は急激に上昇し、2024年産米の平均価格は玄米60キロ当たり2万3715円と過去最高値を記録している。このような状況下で、政府がいまだ91万トンもの備蓄米を確保していたことに驚きを隠せない人々も少なくない。

SNSでは「もっと早く対応できたはず」「主食の高騰を放置している間、国民の生活がどれほど苦しかったか考えてほしい」といった声が多数寄せられている。ある消費者は「1年前は5キロで1500円だったコメが、今では4000円以上する。主食がこれだけ高くなるのは異常だ」と憤りを語る。

備蓄米放出の判断が遅れた背景とは

政府が備蓄米放出の決定に至るまでに時間を要した理由の一つは、米価下落と農家所得への影響を懸念したことだ。備蓄米を市場に放出すると、米価が下落し、米作農家の所得が減少する可能性があるため、政府は慎重な姿勢を取っていた。

また、備蓄米の利用条件は法律で生産量が大幅に落ち込んだ際に限られると規定されており、価格高騰の状況は必ずしもこの要件を満たさないとの判断が背景にあった。さらに、買い戻しを条件とする形での放出が今回初めての試みであるため、制度設計に時間がかかったことも指摘されている。

専門家からは「備蓄米を放出しないまま、米価が高騰し続けたことが国民生活に与えた影響を軽視すべきではない。政府は市場原理に委ねる姿勢を強化し、農家には直接補助金を支給する形へ政策を転換すべきだ」との意見が出ている。

減反政策が残した影響、需給逼迫の根本問題

日本では長年にわたり、政府主導の減反政策が続けられてきた。2018年にこの政策は廃止されたが、主食用米の生産量の目安を示したり、転作を促進する補助金が支給されたりするなど、生産抑制の仕組みが温存されている。

その結果、国内の米生産は市場需要に柔軟に対応できる状態にならず、需給の逼迫が構造的に発生しやすい状況が続いている。今回の備蓄米放出が初めての試みとなったことも、この仕組みが政府対応の迅速性を妨げる要因となっている。

米価安定へ、必要な政策転換とは

専門家の間では、米価を市場原理に任せる政策への転換が必要だという指摘が高まっている。現在のように価格を維持するために生産を抑制するのではなく、価格が下がった際に農家に直接補助金を支給する制度を整えることで、需給の柔軟性を高められると考えられている。

さらに、備蓄米の活用を迅速化する仕組みや、流通経路の改善を含めた包括的な改革が求められている。政府は短期的な政策対応に加えて、長期的な構造改革を進めるべき段階にある。

“主食が3倍の値段に” 高騰が与える影響

コメ価格の高騰は、家計に深刻な影響を与えている。主食であるコメの価格が3倍以上に跳ね上がったことで、多くの家庭が生活費のやりくりに苦しんでいる。消費者の間では「主食がこれだけ高いのは初めての経験だ」といった声が広がっている。

政府が今回の備蓄米放出を決定したことは一歩前進といえるが、対応の遅さが批判を招いていることは否定できない。今後、より迅速で柔軟な政策対応が求められるだろう。

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寒天 かんたろう

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ライター歴25年。月刊誌記者を経て独立。伝統的な日本型企業の経営や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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