看護師の不適切投稿が波紋 千葉大病院が調査中
千葉市の千葉大病院に所属する看護師が、SNSプラットフォームX上で「インシデントを隠蔽した」とする趣旨の投稿を行った可能性があるとして、同病院が内部調査を進めている問題で、同病院は10日、調査の途中経過を公式ホームページで発表した。
大鳥精司病院長が声明発表「慎重に内部調査を進める」
同病院は「当院に関する『X』の投稿について(第2報)」と題する声明を公開し、大鳥精司病院長名で次のようにコメントを発表した。「現在、当院に関連すると疑われるXの個人アカウントの投稿について、内部調査を行っています。
現時点で調査対象となっている職員については、9日に自宅待機を命じたところですが、まだ断定できる事実はなく、今後も内部調査を慎重に進めるとともに、必要に応じて外部調査も行ってまいります」と、調査の進捗状況を報告した。
SNS投稿の中身は? “インシデント隠蔽”の実態とは
投稿のアカウントは既に削除されているが、同アカウントには「インシデント書くの面倒だから、いつも隠蔽しちゃう!」「患者に痛み止め欲しいと言われたが、面倒なので痛み止めを入れたフリをしたら効いたようだ」「患者が転倒しても他に見ている人がいなければ隠蔽する」といった不適切な医療行為を示唆する投稿が複数確認されている。
同病院は、外部からの指摘を受けて6日に問題の存在を把握し、現在、関係者への聞き取り調査などを進めている。
千葉大病院の規模と医療体制
千葉大病院のWebサイトによると、同病院には医師や看護師ら約3000人が在籍し、食道・胃腸外科や消化器内科などを設置、850の病床を有している大きな大学病院だ。
医療界の専門家が語る現場のリアル
一方、医療系教育サービスを提供する株式会社Medi-LXの代表で、元看護師の池辺諒氏は9日、フジテレビの情報番組「めざまし8」にVTR出演し、今回の問題について見解を示した。池辺氏は「私自身も看護師として勤務していた際、インシデントを書かない看護師を複数名見かけたことがある」と述べたうえで、インシデント報告の重要性について「インシデントの報告は同様の事態を再発させないためのもの。
しかし、現実には報告を行った看護師が責められることもあり、報告を避ける傾向がある」と指摘した。
看護師の職場環境改善が急務
また、池辺氏は看護師の職場環境について「病院側が働きやすい環境を整えることが重要だ。看護師が報告をためらわず、業務に専念できる環境づくりに取り組む必要がある」と述べ、看護師の待遇改善を求めた。
SNSで巻き起こる議論 医療現場の負担は限界に?
SNS上でも本件に関して多くの議論が巻き起こっている。ある医療関係者は「インシデント報告は厚労省の指導のもと、急性期病院では奨励されているが、実際に報告書作成は多くの時間を要するため、忙しい現場では負担になる」と投稿。また、「報告書を書く看護師が責められることを避けるための体制改善が必要だ」との意見も見られた。
さらに、看護師不足の問題にも触れ、「大学病院は人員が比較的確保されているが、地方の病院などでは業務負担が増し、看護師の離職が進んでいる」との指摘もあった。ある投稿者は「ブラックな職種として認識されている以上、待遇を改善しなければ、今後さらに人手不足が深刻化し、医療サービスの低下が避けられない」と警鐘を鳴らした。
千葉大病院、今後の対応に注目
千葉大病院は「患者が安心して治療を受けられるよう、職員一同、精一杯努めている」とし、調査結果が判明次第、速やかに公表する意向を示しているが、今回の事態が医療現場全体にどのような影響を及ぼすのか、引き続き注視が必要だ。