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ドクターヘリ災害派遣、司令塔一元化へ 能登半島地震の教訓活かす

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厚生労働省
厚生労働省 PhotoACより

能登半島地震では、ドクターヘリが活躍した一方で、離着陸場所の選定や関係機関との情報共有に課題が見られた。厚生労働省はこれらの問題を受け、都道府県の災害対策本部を司令塔とするドクターヘリ運用の指針改定を進めている。

迅速な救命活動に不可欠なドクターヘリ

ドクターヘリは、医師・看護師が搭乗し、医療機器を備えた救急医療用ヘリコプターである。滑走路が不要で、迅速な救命活動や重症患者の搬送に不可欠な存在となっている。2022年4月時点で全国57機が配備され、年間2万5000件以上の出動実績がある。

能登半島地震で露呈した課題

能登半島地震では、8機のドクターヘリが出動し84名を搬送したようだ。しかし、被災地では離着陸場所の確保に難航し、関係機関との情報共有不足から複数のヘリが同じ場所に向かうなどの混乱が生じた。災害対策本部と病院双方への問い合わせ集中も混乱に拍車をかけた。

一元化で迅速な対応を目指す

厚労省は、災害対策本部を司令塔に一元化することで、これらの課題解決を図る。具体的には、ヘリの離着陸場所選定や派遣調整を災害対策本部が一括管理し、病院は患者の情報共有や搬送に専念できる体制を構築することが読売新聞の報道でわかった。また、各都道府県に対し、関係機関との連携訓練の実施も求める。

SNSでの反応、専門家の見解

SNS上では、災害対策の一元化の遅れを指摘する声や、南海トラフ地震への備えを懸念する声が多く見られた。専門家からは、都市部災害においても交通網の麻痺を想定し、ドクターヘリ運用の体制整備の必要性が指摘されている。

「いまだに災害時の対策が一元化されていないことに驚きを禁じ得ません。地震や水害による甚大な被害が相次ぐ中、スムーズな救助体制が整わず、混乱が生じている現状には課題が多いと感じます。国、自治体、病院など関係機関は、災害時の混乱や人手不足、物資の不足、連絡体制の不備など、平時とは異なる状況を想定し、日頃からの備えと心構えを徹底すべきです」

「南海トラフ地震のような広域災害を考えると、現状のドクターヘリが57機という数字は、正直不安を感じます。しかし、平時に多くの機体を維持する余裕がないのも事実です。災害発生時には、自衛隊のヘリなども要救護者以外の援助活動に投入されることが必要となるでしょう」

1月1日のNHKスペシャルでも、この問題は指摘されていた。国、県、市町村、消防、地域集落、医療機関などを総括するネットワークが日本にはまだ構築されていないという。

「情報収集を誰が行い、誰が司令塔となるのかが不明確では、現地は混乱に陥ります。この教訓を生かすべきです。震災の多い台湾では、民間が加わったネットワークが構築されています。例えば、LINEを活用し、各地区の個人が自分の地区の状況を報告するシステムがあるそうです。行政機関、民間団体、地域住民がその情報を共有し、優先度を選定して迅速な手配が可能になる。このような事例から、日本も多くを学ぶべきです」

ドクターヘリの運用に関する注意点について触れる声も。

「ドクターヘリは、救難ヘリではありません。患者搬送を目的としたヘリであるため、瓦礫の下から救出した軽傷者にいちいちドクターヘリを出すことは現実的ではありません。都道府県ごとに1〜2機しかないため、重篤な患者の搬送に限られます。そのため、現場からの報告に基づいてトリアージを行い、出動しながら搬送、治療、後送医療機関の選定を行うことが求められます。このようなオペレーションは、都道府県の医療対策部門が担うべきです。都道府県の対策本部での一元化が有効であると考えます。救急車での搬送一元化は、コロナ禍で既に経験済みです。この経験をヘリ運用にも応用すべきでしょう」。

ドクターヘリ運用の歴史と費用

日本では1999年にドクターヘリの試行的事業が開始され、2022年4月には全国47都道府県への配備が完了した。1回の出動費用は約40万円、遠方への搬送では120万円程度となる。

今後の展望

今回の指針改定は、災害時におけるドクターヘリの効果的な運用を強化する重要な一歩となる。訓練の実施や関係機関との連携強化を通じて、迅速かつ円滑な救命活動の実現が期待される。

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寒天 かんたろう

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ライター歴25年。月刊誌記者を経て独立。伝統的な日本型企業の経営や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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