
地球温暖化や異常気象など、環境問題への関心が高まる中、日本人は環境問題に関心は高いものの、具体的な行動に移せていない現状が、世界的な市場調査会社ミンテルの最新調査で明らかになった。
企業によるサステナビリティへの取り組みは進んでいる一方で、消費者にその活動が十分に伝わっていない可能性も指摘されている。
気候変動への関心は高いが…行動に移せていない日本人
ミンテルが2024年9月に発表した世界10カ国を対象とした「サステナビリティの世界的展望2024-25」調査によると、日本人は「気候変動/地球温暖化」を関心事のトップ3に挙げた割合が57%と、調査対象国の中で最も高かった。
これは、2021年の調査結果から6ポイント増加しており、近年相次ぐ台風や異常気象などの影響で、日本人が気候変動を身近な問題として捉え始めていることが伺える。
しかし、自らの行動が「環境にポジティブな影響を与える」と回答した割合は19%と、世界平均の47%に比べて著しく低い結果となった。2021年の調査でも15%という低い数値が出ており、日本人は環境問題に対して、悲観的で無気力な傾向があると言える。

日本企業のサステナビリティへの取り組みは?
一方、企業側のサステナビリティへの取り組みは進んでいる。
ミンテルの業界別レポートによると、2024年に日本で発売された飲料新商品のうち、「エシカル/環境保護」を訴求した商品は83%に達し、調査対象10カ国中トップとなった。食品分野では41%と飲料に比べると低いものの、2019年の15%から段階的に上昇しており、企業の意識の高まりが見て取れる。

家庭用品分野では、「詰め替え用」商品の販売が世界的に見ても進んでおり、2024年に発売された家庭用品の28%が詰め替え用だった。
美容・パーソナルケア分野でも、「エシカル/環境保護」を訴求した新商品の割合は、2019年の15%から2024年には43%に上昇している。
消費者への効果的なサステナビリティ訴求とは?
調査結果から、日本企業は積極的にサステナビリティに取り組んでいるものの、消費者にその活動が十分に伝わっていない可能性がある。
ミンテルのアナリスト、リチャード・コープ氏は、「各企業は、消費者がよりサステナブルな選択を行うために、分かりやすい情報や指標を活用することが重要だ」と指摘する。
具体的には、製品の環境への影響を5段階や色分けで示す「Nutriscore」形式のような、シンプルな評価基準の導入が有効だ。
また、「貧困から抜け出した農業従事者の人数」など、製品が人々に与える社会的影響を示す情報も、消費者の購買意欲を高める効果があると期待されている。
企業と消費者の協調が持続可能な社会を実現する
気候変動が深刻化する中、企業はサステナビリティへの取り組みを強化し、その情報を分かりやすく消費者に伝える必要がある。
消費者は、企業の取り組みを理解し、積極的にサステナブルな商品やサービスを選択していくことが求められる。企業と消費者が協力し、持続可能な社会の実現に向けて共に歩んでいくことが重要だ。
【調査会社概要】
企業名 :株式会社ミンテルジャパン
本社所在地 :東京都千代田区丸の内二丁目 4 番 1 号 丸の内ビルディング 18 階
代表 :リチャード・カー
設立日 :2008 年 03 月
事業概要 :トレンドレポートの販売、市場調査、市場分析等