ログイン
ログイン
会員登録
会員登録
お問合せ
お問合せ
MENU

RWAトークンと企業価値の関係(企業価値とESG #16)

コラム&ニュース コラム
リンクをコピー
RWAトークンと企業価値の関係

現実世界に存在する資産をブロックチェーンでトークン化するRWAトークンは、企業にとってどのようなメリットをもたらすのでしょうか。

本稿では、RWAトークンが企業価値に与える影響について、「資金調達」「リスク管理」「ステークホルダーとの信頼構築」の3つの観点から解説します。

また、RWAトークンのメリットや活用方法、将来性と展望についてもご紹介します。

RWAトークンと企業の資金調達、リスク管理、ステークホルダーとの信頼構築

現実資産のトークン化によって、RWAトークンを活用する企業は自社の企業価値を高めることができるのでしょうか。

企業価値とは、企業が将来にわたって生み出すことができる収益やキャッシュフローの現在価値のことです。企業価値は、企業の業績や成長性、競争力などに影響されます。

RWAトークンは、企業にとって以下のような面で、企業価値を高めるメリットをもたらすかもしれません。

資金調達の改善

RWAトークンは、企業が保有する現実資産をトークン化することで、資金調達の選択肢や柔軟性を増やすことができます。資金調達は、企業が事業活動に必要な運転資金や設備資金を調達することです。

資金調達には、自己資本(株式など)と他人資本(借入金など)があります。RWAトークンは、現実資産をトークン化することで、自己資本と他人資本の中間的な性質を持つことができるでしょう。

RWAトークンは、自己資本のように所有権や収益権を持ちますが、他人資本のように固定費用や担保の必要性が低いです。これにより企業は、資金調達のコストやリスクを低減することができるでしょう。

また、RWAトークンは、デジタル証券市場で流動性や透明性を高めることで、資金調達の効率性やスピードを向上させることができます。

リスク管理の強化

RWAトークンは、企業が保有する現実資産の価値やパフォーマンスをブロックチェーン上に記録することで、リスク管理の効率性や精度を向上させることができます。

リスク管理とは、企業が事業活動において直面するさまざまなリスク(市場リスク、信用リスク、運用リスクなど)を分析し、制御し、軽減することです。

RWAトークンを活用することで、現実資産の価値やパフォーマンスをリアルタイムに追跡、分析し、評価することができます。

これにより企業は、現実資産に関するリスクを早期に発見し、対策を講じることができるでしょう。また、現実資産の分散化や流動化を促進することで、リスクの集中や固定化を防ぐこともできます。

ステークホルダーとの信頼構築の促進

RWAトークンは、企業が保有する現実資産の情報や履歴を公開することで、ステークホルダーとの信頼構築やコミュニケーションを強化することができるでしょう。

ステークホルダーとは、企業に関係する人々や組織のことで、株主や債権者や従業員や顧客や取引先や社会などです。

RWAトークンを活用し、現実資産の情報や履歴をブロックチェーン上に不変で公開することで、ステークホルダーに対して、企業の透明性や説明責任を高めることができます。

これにより、ステークホルダーは、企業の業績や成長性や競争力やESGなどに関する情報を確認、評価し、フィードバックすることができるでしょう。

また、現実資産の所有権や収益権を分散化し、流動化することで、ステークホルダーに対して、企業の参加性や共有性を高めることもできます。

RWAトークンを活用するメリットと活用方法

RWAトークンでトークン化する現実資産には、例えば、米国債、美術品、不動産、宿泊施設などが挙げられます。RWAトークンには、以下のようなメリットがあるでしょう。

資産の流動性を高める

RWAトークンは分割や譲渡が容易になるため、資産の流動性を高めます。

例えば、美術品や不動産などの高額な資産を、小額で多くの人に分散して所有させることができます。また、ブロックチェーン上で24時間365日取引できるため、市場のアクセシビリティも向上します。

資産の価値を可視化する

RWAトークンは、ブロックチェーン上で取引履歴や所有者情報などが記録されるため、資産の価値を可視化することができます。

例えば、美術品の真贋や鑑定、不動産の評価や履歴などが確認できるため、資産の信頼性や透明性が向上します。

資産の活用を促進する

RWAトークンは資産の利用権や収益権などを表すことができるため、資産の活用を促進することができます。

例えば、宿泊施設の利用権をトークン化することで、宿泊者や投資家にとって魅力的なサービスを提供できます。



RWAトークンの活用方法としては、以下のようなものがあります。

米国債のトークン化

米国債は、世界最大の債券市場であり、安定した収益と低いリスクを求める投資家に人気です。しかし、米国債の取引には、最低投資額や複雑な手続き、時間的な制約などの障壁があります。

米国債をトークン化することで、これらの障壁を解消し、より多くの人に米国債への投資機会を提供することができます。

美術品のトークン化

美術品は、高い価値や希少性を持つ資産ですが、その取引には、高額な費用や専門的な知識、信頼できる仲介者などが必要です。

美術品をトークン化することで、美術品の所有や取引をより手軽に行えるようになるでしょう。ただし、美術品の現物をどう保管・管理するかという課題は残ります。

不動産のトークン化

不動産は、家賃という安定した収入や資産価値の上昇を期待できる伝統資産ですが、その取引には、高額な資金や法的な手続き、管理の負担などがあります。

不動産をトークン化し小口化することで、不動産の所有や取引をより簡単に行えるようになるでしょう。

宿泊施設のトークン化

宿泊施設は、旅行やビジネスなどの需要に応じて利用されるサービスですが、その利用には、予約や支払いなどの手間やコストがかかります。

宿泊施設の利用権をトークン化することで、宿泊者や投資家にとって魅力的なサービスを提供できるようになるでしょう。

RWAトークンの将来性と展望

RWAトークンは、現実世界の資産をデジタル化することで、金融システムの効率性やアクセシビリティを向上させる可能性があります。

しかしRWAトークンの普及には、デジタル証券市場の拡大と規制の動向が重要な要素です。

デジタル証券市場の拡大

RWAトークンは、既存の法律では証券に該当するものも多く、その取引にはデジタル証券市場が必要です。デジタル証券市場とは、ブロックチェーン技術を用いて証券の発行や管理、取引を行う市場です。

デジタル証券市場は現在、世界各国で構築されつつあります。デジタル証券市場が拡大すれば、RWAトークンの流通や流動性も高まると考えられます。

規制の動向

RWAトークンは、現実世界の資産に関する法的な権利や義務を表すものであるため、その取引には各国の法規制に従う必要があります。

しかし、RWAトークンの法的な位置づけや取引のルールは、まだ明確に定められていない場合が多く、法的な不確実性やリスクが存在します。

例えば、「RWAトークンの所有者が資産の引き渡しや利用を請求できるか」「RWAトークンの譲渡は資産の所有権の移転になるか」「RWAトークンの発行者や管理者にどのような責任があるか」などの問題が挙げられます。

RWAトークンの普及には、これらの問題に対する法的な解決策やガイドラインが必要です。



現実資産のトークン化によって、RWAトークンは現実資産の新たな価値を見出すことができるでしょう。ESGの観点からも、持続可能な投資や社会的インパクトを生み出す可能性があります。

まだまだ発展途上段階ですが、今から知っておいても損はありません。

出典・参考:
デジタル証券とRWAトークンの動向|日本総研 (jri.co.jp)
国際金融機関で加速する「現実世界の資産(RWA)のトークン化」 市場への影響は? | Wealth Road
現実資産(RWA)のトークン化と日本法 – So & Sato (innovationlaw.jp)
リアルワールドアセット(RWA)とは?仮想通貨トークン化する現実資産のメリット・ブロックチェーン上に置く理由 – KEYRING PRO
【金融業界で話題】RWAとは?現実資産をトークン化するメリットや活用事例を紹介 | NFT Media | NFTに関する最新情報をお届けするメディア (nft-media.net)
金融市場におけるブロックチェーン技術の活用に関する研究会報告書
野村の不動産セキュリティ・トークン (nomura.co.jp)

次回のコラムでは、「DAOはサスティナブル経営を可能にするのか」について解説します。

nakajima rensai TOP

Tags

ライター:

1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。 プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。 2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から暗号資産投資、不動産投資、事業投資を始める。 現在は、複数の企業で経営戦略チームの一員としてM&Aや企業価値向上、海外進出等に携わるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。

タグ