ケアマネさんからの紹介で見学、自分を表現できる環境があった
-北村さんは、どのようなご縁で金沢QOL支援センターを利用するようになったのですか?
北村さん:きっかけは、以前お世話になったケアマネさんのお誘いです。私は、病院でのリハビリを終えて施設にいました。ある日「とってもいいところがあるから見学に行きませんか?」と誘われ、一緒にセンターを訪ねたんです。私は何ができるのかわからなかったので、大学で作っていた染色の作品を持っていきました。迎えてくれたスタッフの藤島さんと越後さんは、それをとてもじっくり見てくださって、「来週から来ますか?とりあえず」って言ってくれました。それがきっかけです。
寒川さん:北村さんは、とても気配りがお上手なんですよ。例えば、センターに入りたてで不安な気持ちがある新人さんに、優しく声掛けをしてくれたり、ホッとさせてくれたりする存在です。
金沢QOL支援センターは、まさに人生の質を高めてくれる場所
-北村さんから見て金沢QOL支援センターはどんな存在ですか?
北村さん:QOL って「人生の質を高める」という意味ですよね。センターはまさに、人生を充実させてくれる場所です。いくつか施設があり、それぞれで楽しく仕事をすることで、私は今とっても充実しています。
まず、仕事や仲間ができたこと。リハスファームかなざわの施設と仲間。ここへ来ると集中して仕事ができるし「やってみよう」と意欲を持てます。絵を描くスペースも広くとってもらっているので、とてものびのび描けるような気がしているんですよ。
リハスの看護ステーションでは、週に2回リハビリで、先生にお世話になっています。就労の話も聞いてもらって助かっています。
グループホーム遊子苑ながたでは、私の活動を支援してもらっています。ケアマネさんとも良い関係。本当に私は今とっても充実しているんですよ。
北村芳美さんの作品:孔雀
-北村さんが、金沢QOL支援センターに入って「変わった」と思うことはありますか?
北村さん:とてもいろいろなことが変わりました。何より仕事を与えてもらうと「やりがい」が出てくるからでしょうか。性格も前向きになったと思います。お誘いいただいたケアマネさんからは「北村さん、顔つきが変わりましたね」と言われました。確かに仕事をしていると顔つきがシャキっとしますね。あと、ちょっとだけ我慢強くなったかなあ(笑)
-仕事は楽しいですか?
北村さん:そうですね。看護師さんからも「由美さんは優しいから、無理はみんな由美さんのところに行くわ~」と言われたりしています。頼られているのも嬉しいですね。
もっと世界に向けてセンターの活動を発信すれば、もっと素敵になるんじゃないかな
-施設の方とも仲良くされているんですね。北村さんが、金沢QOL支援センターに対して今後、こうなってほしいという要望や期待はありますか?
北村さん:私は、今のままでも十分、満足して働いています。もっとセンターがやっていることを世界へ発信していって皆に知ってもらえればさらに素敵になるんじゃないかなって思います。
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無限の可能性・才能を信じてー仕事によって得たやりがいと仲間
-北村さんは、普段はどんなお仕事をされているのでしょうか?
北村さん:普段は絵を描いています。絵の仕事というのは、働き始めてしばらくたったころ、藤島さんに「北村さん、どんな絵を描かれるんですか」とテストされたんですね(笑)。その時に、ハーブ農園ペザン(https://coki.jp/company/paysan-co-jp/)で収穫されたカボチャで作ったオブジェを描きました。お見せしたら「さすがやね」と言ってくださって。お世辞でも嬉しかったです。それからは、いろいろなリクエストに応えながら絵を描くようになりました。ここ数カ月は、障がい者のアートコンテストに応募する絵を描いています。
-コンテストに向けて、どのような絵を描いているのですか?
北村さん:コンテストのテーマは「無限の可能性・才能」です。どうしようか迷って、最初は抽象的なものを描いたんです。そうしたらスタッフの松田さんが「由美さん、出品点数は自由だからもう1つ描いたら?」ってアドバイスしてくれて考えました。それで思いついたのが、ベートーベンと物理学のホーキング博士の肖像画です。「無限の可能性」を持つ人たちを並べてみました。
寒川さん:北村さんの作品は、これまでにも全国で優秀候補にエントリーされたこともあるんですよ。絵を描いている方はもう1人いるのですが「北村さんのように頑張ろう」と励みになっています。相乗効果ですね。
制作風景
-北村さんは周りの方に素敵な影響を与えているんですね。
北村さん:逆に私もその方に影響を受けています。例えば使ったことがない色を使ってみたり、これまでと違う感じの絵も描いたりしましたよ。仲間がいるってとってもいいことです。センターに入ると仲間がいる良さがあります。
65歳での個展が目標・自分の人生が丸ごと「天職」
-これから北村さん自身はどうなりたい? 目標などはありますか?
北村さん:私は、2年後に65歳になります。そうしたら、個展をしたいんです。慌てて作らなくても間に合うように、今は作品をコツコツと作りためています。それまでにはコロナが収束してほしいですね。
-個展とは素晴らしいですね。どうして個展を開きたいと思ったのでしょうか?
北村さん:実は、2019年に自宅で作品展をしたことがあるんです。関西の友人たちやセンターを紹介してくださったケアマネさんや、訪問で髪を切ってくださっている美容師さんに来ていただいて。それがとても好評で「作品展をやってよかった」と思ったんです。個展を開くならもっと展示する作品の点数を増やしたいので、センターだと家よりも集中して絵が描けるので嬉しいです。
-そんな北村さんが持つ「夢」ってありますか?
北村さん:夢とは違うのかもしれませんが、最近は「天職」について考えています。先日読んだ本で「生きるということを、人間としての大きな仕事としてとらえたうえで、自己の正体の理解への真剣な意識をもってなされる仕事を天職という」という文章に出会ってから、
「天職」は1つの職業だけを指す言葉じゃないんだと気が付きました。
「私が生きること、これまでの人生、これからの人生まるごとが「天職」なんだ」という思いに変わってきたんです。できるかな?という気もしますが、なんでも1つずつです。1つ終わったら次のことをやってコツコツと進む。そうやっていけば失敗が少ないと思います。自分の人生だから、誇れるような生き方がしたいですね。