
子どもや家族も多い球場で「夜職の人間を招くのか」との声が相次ぎ、SNSでは批判投稿が連発している。
神宮のマウンドに夜の世界が乗る事態
9月14日のヤクルト対広島戦は「シャンパン ル・レーヴ・ブリヤン Day」として開催される。
フランス語で「輝かしい夢」を意味する高級シャンパンが冠スポンサーだ。
その一環でチャンスガールズが試合前イベントと始球式を務める。
公式サイトでは「夢を諦めたくない女の子たちが集まり、夢を追いかけ続ける」と美しく書かれているが、ファンの反応は冷たい。
「腐ってもプロの球団が子ども含む公衆の面前でキャバ嬢の宣伝をするのか」「グラウンドの神聖さを守れ」といった投稿が続いている。
神宮球場は小学生の野球少年が聖地と呼ぶ場所だ。
そこにナイトワーク経験者を前面に出す判断が、球団の品位を下げたと受け取られている。
きほさんとチャンスガールズとは何者か
チャンスガールズは、ABEMAの番組「チャンス学校チェンジ科」から2024年秋に生まれたガールズグループである。
姉妹番組の「CHANCE & CHANGE」と合わせて、ナイトワークで働く女性の夢と地方創生を応援するという建前で動いている。
コンセプトは「世の中は平等じゃない。それでも誰にだってチャンスはある」。
制服姿で歌って踊るのが売りで、テーマソングは「Go for it!!」。関西コレクションやTGCといったファッションイベントに繰り返し出演し、表舞台への露出を増やしてきた。
メンバーは固定ではない。卒業も脱退もなく、夢を追っている限りメンバーでいられるという仕組みだ。
初期は元アイドル、モデル、キャバクラキャストが混ざった5人編成で、リーダーのRICOは以前のグループでオリコン1位を取った経歴を持つ。
その後もプロジェクトごとに人が入れ替わり、看護大学出身、沖縄から上京、元アイドル転身など、経歴の幅を見せることで「夜の世界から這い上がる物語」を量産している。
要するに、番組と連動した流動ユニットであり、純粋なアイドルグループというより、ナイトエンターテインメントの宣伝装置に近い。
その顔としてよく出てくるのがきほさんだ。
愛媛出身で22歳で上京し、スカウトをきっかけにキャバクラへ入った。
数年で大手「ジャングル東京」系の予約不可クラスになり、「幻のキャバ嬢」と呼ばれるようになった。
番組ではアンバサダー的な扱いを受け、関コレではダンスステージにも立った。
ブランドのプロデュースやメディア出演もこなし、キャバ嬢という肩書を残したまま表舞台に出続けるタイプである。
球団公式の告知文も、「夢を諦めたくない女の子たちが集まり、夢を追いかけ続ける」。
シャンパン「ル・レーヴ・ブリヤン」の「輝かしい夢」と単語を重ね、協賛試合の華に据えた。
だが中身は、夜の店で稼ぐ女性たちを集めた番組発ユニットである。
神宮の始球式という場に出す以上、経歴をぼかしても通じない。
きほさん個人が悪というより、球団がその肩書ごとグラウンドに乗せたことが今回の火種になっている。
批判が止まらない背景
ファンの怒りは職業そのものより、場所とタイミングにある。
神宮球場は家族連れが多く、キッズ会員もいる。始球式は球場の顔だ。
そこにナイトワーク関連のグループを呼ぶのは「TPOが違う」との指摘が目立つ。
「まだ売れていない野球好きの元少年芸人にやらせろ」「長年球場で働く売り子やヤクルトレディを呼べ」との声もある。
広島戦という対戦カードも火に油を注いだ。
選手が夜の店に出入りするイメージと結びつけて茶化す投稿まで出ている。
球団上層部が店でおだてられて決めたのではないか、との憶測も飛び交う。
スポンサーの都合で冠試合を埋めなければならない事情は理解できるが、球場の空気を読めていないとの見方が強い。
プロ野球と夜の世界は昔から切っても切れない
実のところ、選手とナイトワークの関係は今に始まった話ではない。
昔から選手が夜の店に出入りし、キャストが球場に顔を出す話は珍しくなかった。
優勝セールや打ち上げで店が賑わうのも球界の常識だ。
今回の違いは、それを公式の始球式という表舞台に堂々と載せた点にある。
裏でつながっているのは誰もが知る話でも、グラウンドの真ん中で子どもたちの前に出すかどうかは別問題だ。
シャンパンの「夢」とグループの「チャンス」を重ねた企画は、ビジネスとしては筋が通っている。
しかし神宮という場の空気を無視した結果、ファンの信頼を損なう形になった。
球団は「夢を応援する」と説明するだろうが、ファンが求めているのは子どもが胸を張って「聖地だ」と言える球場の空気だ。



