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南果歩さんが語る「還暦からのリスタート」とSDGsへの思い 失敗も傷も、すべてが人生の栄養になる

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南果歩さん

2月22日、次世代を担う学生たちの熱気であふれたSDGsの祭典「BEST SDGs AWARD for University」。その会場で、特別審査員として若者たちの斬新なアイデアに温かい眼差しを注ぐ一人の俳優がいた。南果歩さんだ。

これまで年齢を意識することなく第一線を駆け抜けてきた彼女は今、還暦という人生の秋を迎え、軽やかに新たなスタートを切ろうとしている。インドでのカオスに飛び込む好奇心、ライフワークとして続ける絵本の読み聞かせ、そして幾多の失敗すらも心の栄養へと変えていくしなやかな生き方。

彼女の飾らない言葉の端々には、地球や他者を思いやる本質的なサステナビリティの精神が息づいていた。激動の時代を切り拓く学生たちへ、そして今を懸命に生きるすべての大人たちへ贈る、南果歩からの等身大のメッセージ。

 

人生の「秋」を迎え、自分を喜ばせる“時間割”を生きたい

—還暦を迎えて、これまでのご自身を振り返ってみていかがですか?

南果歩さん

南果歩さん(以下、南): 自分の年齢を全く意識しないで生きてきたんですが、還暦だけはふと立ち止まらなければという気持ちに初めてなりました。30代、40代、50代とするりと通り抜けてきたけれど、還暦は本当にリスタートする節目なんだな、と。

人生を季節に例えるなら、還暦以降って「秋」だと思うんです。春や夏の躍動感を経て、いろんなことが実ってくる季節。だからこそ、一番楽しまなきゃいけない季節だなと思っています。

—これからの人生を、どのように楽しんでいきたいですか?

南: まずは時間割ですね。1日24時間という決まった時間を生き物は与えられているので、その時間割をより自分が楽しい方向に持っていきたいです。

実は2月に入って1週間ほど、初めてインドを旅してきました。もともとチャンスがあればパッと飛んじゃうタイプなんですが、より時間の使い方を考えるようになりましたね。

インドは一言で言うならカオス。美しいものと、片付けられないごった煮の世界が共存していて、街中には犬や猿や牛がいる。

整理整頓できていない荒々しさや躍動感は、やっぱり本や映像ではなく、現地に行って埃っぽい空気を吸い、匂いを嗅がないとわからないですよね。「体験」こそが、一番自分を喜ばせる時間だなと改めて思いました。

『みんなうんち』から見えてくる、命の営みとSDGs

—南さんが長年続けられている、絵本の読み聞かせなどのチャリティー活動について教えてください。

南果歩さん
南果歩さん

南: 私は力仕事もできないので、皆さんが現実から離れて「ほっと一息つける時間」を持っていただけたらと思い、絵本の読み聞かせをやっています。幼稚園や保育園、小児病棟などに伺って子どもたちに向けて読むのですが、後ろには必ず親御さんや先生方、医療従事者の皆さんがいらっしゃいます。

大人になると、誰からも本を読んでもらえないじゃないですか。文字を目で黙読するのと、音で聞くのとでは、心に入る深度がかなり変わるんです。被災地で大人の方々に聞いていただいた際、涙を浮かべる方もいらっしゃいました。ですから、子どもたちはもちろん、すべての方に向けて読んでいます。

—子どもたちに特に人気のある作品はなんですか?

南: 鉄板なのが、五味太郎さんの『みんなうんち』です。「うんち」と言った途端に子どもたちは大爆笑なんですけれど、最後は「生き物は食べるから、みんなうんちするんだね」という括りになっています。これって生きることに直結していますよね。

私の母がよく「人間は3食食べて排泄するだけで地球を汚して迷惑をかけてるんだから、出会った人とは仲良くしなさい」と言っていたんですが、これってまさにSDGsの根本だと思うんです。

—南さんが考える「SDGsな生き方」とはどのようなものでしょうか。

南: インドやケニアを訪れた時も感じたのですが、ゴミをポイって捨てるんですよね。昔は葉っぱや木など土に還る自然素材を使っていたのが、今はプラスチックやビニールに変わりました。でも、「それは土に還らないんだよ」ということを誰も教えてくれないのだと思います。

習慣を変える前に、まずはちゃんと認識するための教育が大切です。自分が捨てたゴミがどこへ行くのか、その行方を想像するイマジネーションを持つことが大事だなと感じています。

 

失敗したことこそが、心のひだになり「栄養」になる

—新刊『還暦スマイル』の発売、おめでとうございます。読者に一番伝えたいメッセージは何ですか?

南: 人生100年時代と言われ、年齢とともにやりたいことを我慢したり穏便に過ごそうと考えたりしがちです。でも、「人間はどこからでも、いつからでも、いろんなスタートが切れますよ」ということを伝えたかったんです。

本の中には、私の失敗談をたくさん入れています。結婚・離婚を2回経験し、病気もして、精神的にもダメージを受けて……本当にいろんなことがありました。でも結局、上手くいったことよりも、上手くいかなかったことのほうが私の栄養になっているんです。

いい事ってその瞬間は嬉しいけれど忘れてしまう。でも、上手くいかなかったことは心に傷として残って、いろんなことを感じられる“心のひだ”になってくれていると思います。

—「人生は何度でもやり直せる」というフレーズが印象的です。

南: 私は、過去でも未来でもなく「今」が一番大事だと思って生きています。今の自分が何を感じるか、何が好きか、好奇心がどこに向いているか。その感覚を一番大事にしたいですね。

そのために、毎朝『朝日』と『東京』の2紙の新聞を読んでいます。スマホやパソコンだと自分の興味のある情報しか入ってきませんが、毛色の違うメディアや、全く違う分野のニュースに触れることで、自分の好きなものだけに固まってしまうことを防いでいます。

学生たちへ——「使い古された言葉」を越える新しいアイデアを

—最後に、今日「BEST SDGs AWARD for University」に参加されている学生の皆さんへメッセージをお願いします。

南: 2030年を目標にSDGsを達成しようと言いながら、もう目の前が2026年です。SDGsという言葉のおかげで皆がエコバッグを持つようになったのは大きな変革でしたが、今は少しその言葉自体に使い古された感も出てきている気がします。

だからこそ、若い学生さんたちがどのようなアイデアや発想を持っているのか、お話を伺えるのが本当に楽しみです。私自身も、皆さんの熱量に触れることで、もう一度SDGsについて深く考える素晴らしいきっかけをいただいたと思っています。

【編集後記】

終始明るく、エネルギーに満ちた笑顔で語ってくださった南果歩さん。特別審査員として学生たちの斬新なアイデアに耳を傾ける姿からは、次世代への温かい期待がにじんでいました。「上手くいかなかったことこそが栄養になる」という言葉は、これから未知の世界へ飛び出していく学生たち、そして日々を懸命に生きるすべての大人たちへの力強いエールだと感じました。(加藤俊)

南果歩さん
 

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ライター:

株式会社Sacco 代表取締役。一般社団法人100年経営研究機構参与。一般社団法人SHOEHORN理事。株式会社東洋経済新報社ビジネスプロモーション局兼務。週刊誌・月刊誌のライターを経て2015年Saccoを起業。 連載:日経MJ・日本経済新聞電子版『老舗リブランディング』、週刊エコノミスト 『SDGs最前線』、日本経済新聞電子版『長寿企業の研究』

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