
スタジオが静まり返ったのは、ダンスが終わった直後だった。
照明が落ち、中央に立つのはお笑いトリオ・ネルソンズの青山フォール勝ち(40)。普段は豪快なキャラクターで笑いを取る男が、その夜は震える声で手紙を読み上げていた。
2月25日放送の水曜日のダウンタウン(TBS系)。番組名物のドッキリ企画は、やがて“本気の愛”へと姿を変えていった。
「味付けしてもいいなら」始まった前代未聞のプロポーズ企画
今回放送されたのは「ネルソンズ青山プロポーズドッキリ」。
プレゼンターとして登場した和田まんじゅうは、こう明かした。青山が長年交際している彼女へプロポーズするにあたり、複数の番組に相談したものの、ことごとく断られたという。そんな中、「味付けしてもいいなら」と手を挙げたのが『水曜日のダウンタウン』だった。
しかし、ただのサプライズでは終わらないのが水ダウ流だ。
企画は“ダブルドッキリ”。
「なかなかプロポーズできない青山」と、「何とかプロポーズを引き出したい彼女・チサトさん」。互いに本心を隠しながら進む展開に、視聴者も翻弄された。
出会いは2012年、歌舞伎町のバー
2人の出会いは13年前。東京・歌舞伎町のバーでのアルバイト先だった。
青山が先に働いていた店に、後から入ってきたのがチサトさん。当時、彼女は2歳の息子・カナトくんを育てるシングルマザーだった。
芸人として芽が出る前。決して安定しているとは言えない日々の中で、2人は支え合いながら交際を続けてきた。
やがて青山は、チサトさんだけでなく、カナトくんとも向き合うようになる。
番組内で映し出されたのは、親子のように自然な距離感。
ふざけ合いながらも、どこか本気で向き合う表情が印象的だった。
「もう諦める」揺れる彼女の本音
番組中盤、空気が一変する。
チサトさんが「もう結婚はあきらめる」と吐露する場面が映し出されたのだ。プロポーズを待ち続けた13年。年齢、将来、子どものこと。積み重なった不安がにじむ。
スタジオからは「ヤバい」「どうなるの」とざわめきが広がった。
だが終盤、約1か月間練習してきたフラッシュモブダンスを青山が披露。仲間たちと踊りきった後、深く息を吸い込み、手紙を開いた。
「ちぃの人生とカナトの人生はオレが背負う。必ず幸せにする」
声を震わせながらの言葉に、スタジオの空気が止まる。
「僕と結婚してください」
チサトさんは涙を浮かべ、「はい。ありがとう」と応じた。
その瞬間、笑いの番組は完全に“感動回”へと変わった。
カナトくんの涙が物語を完成させた
そして何より、多くの視聴者の心を掴んだのがカナトくんの涙だった。
母への思い、青山への信頼。
「もう父親じゃん」「血のつながりじゃないんだな」 SNSにはそんな声が溢れた。
芸人として面白いかどうかではなく、一人の大人としてどう生きるか。その姿が、テレビ越しにも伝わった夜だった。
クロちゃんとの“明暗”も話題に
放送後、クロちゃんが自身のXを更新。
昨年同番組でプロポーズに失敗した経緯もあり、「ズルいしんよー!!」と投稿。偶然にも“水ダウプロポーズ”で対照的な結末となり、こちらも大きな反響を呼んだ。
レスリングエリートから芸人へ、そして父へ
青山は島根県出身。4歳からレスリングを始め、東洋大学では大学選手権3位の実績を持つ。2010年にネルソンズを結成。2016年に現在の芸名へ改名した。
ストイックな競技人生を経て、笑いの世界へ。
そして今、新たに“家族を守る男”という肩書きが加わった。
Xではこう報告している。
「家族3人トリオとして、笑いの絶えない家庭を築いていきます」
芸人トリオとは別の、もう一つのトリオが誕生した。



