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グリーンファイナンス市場、5兆円規模へ拡大も一巡感 環境省が民間に行動促す新提言

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グリーンファイナンス市場

2025年7月25日、環境省は「グリーンファイナンス市場の中長期的な発展に向けて:市場参加者に期待する取組事項」と題した報告を公表した。2050年ネット・ゼロ達成に向け、今後10年間で150兆円の投資が必要とされる中、グリーンファイナンスの現状と課題を明確化し、市場の更なる成長を促す指針が示された。

 

「一巡感」のなかで見直されるグリーンファイナンスの役割

環境省によると、2024年時点でグリーンファイナンス市場は5兆円規模にまで成長した。しかし、国際的な制度見直しや市場の成熟を背景に、「一巡感」が広がりつつあるという。こうした状況にあっても、グリーンファイナンスの歩みを止めず、持続可能な経済社会の実現に貢献するための再定義が必要とされた。

本報告書では、グリーンファイナンスの意義を「経済性を担保しながら、脱炭素や資源循環、自然再興を資金面から後押しし、国民のウェルビーイング向上に資する金融行動」と位置づける。

 

市場参加者に求められる行動とは

環境省と検討会は、資金提供者・資金調達者・支援者といった各プレイヤーに向けた具体的な「期待行動」を提示した。

すでにグリーンボンドなどを活用している銀行・保険会社・投資家に対しては、「量の拡大と質の向上」を両立する形で取り組みを深化させるよう要請。とくにアセットオーナーには、運用方針にグリーン要素を組み込むこと、アセットマネジャーには受託者責任として対話や働きかけの強化が求められる。

また、これから取り組みを始める地方金融機関や中堅・中小企業に対しては、環境省の補助施策や「グリーンリスト」を活用しながら、市場への参加を後押しする姿勢が期待されている。

 

今後の政策:インパクトレポーティングの高度化とローン市場の拡充

環境省は今後の施策として、以下の重点方針を示した。

  • 投資効果を定量化する「インパクトレポーティング」の事例集を作成し、資金提供者・調達者双方の理解を深める
  • 中小企業向けローン(グリーンローンやサステナビリティ・リンク・ローン)の質・量の両面での支援強化
  • グリーンプロジェクト例示の拡充(グリーンリスト)、および国際的な発信機能の強化

特にインパクトレポートにおいては、「環境改善効果の可視化が定量的な価値として金融市場で認識されるようにする」ことが、今後の大きな鍵とされている。

 

「投資家の信頼」をどう育むか

グリーンファイナンスは、もはや一部の企業や投資家だけの話ではない。最終的な資金の出し手である国民一人ひとりが、その価値と意義を理解し、事業者の取組を評価することが、循環を生む原動力となる。

環境省は今後も関係省庁と連携しながら、「環境と経済をつなぐ触媒」としての役割を果たすと明言。市場参加者には、短期的な収益だけでなく、中長期的な社会価値を見据えた行動が求められている。

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寒天 かんたろう

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ライター歴26年。月刊誌記者を経て独立。企業経営者取材や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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