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秋川牧園、耕作放棄地から生まれた「山田錦の甘酒」を発売 カメムシ被害を逆手にとったアップサイクル商品

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農薬・化学肥料不使用の山田錦を活用

秋川牧園 山田錦の甘酒
秋川牧園 山田錦の甘酒(提供:秋川牧園 )

山口県山口市を拠点とする株式会社秋川牧園(東証スタンダード上場)は2025年7月14日、山田錦を原料とした新商品「甘酒」を発売した。これは、耕作放棄地の再生と有機農業への挑戦の一環として取り組んだ酒米栽培の過程で発生した課題を、アップサイクルという形で逆手に取った新たな商品である。

秋川牧園が酒米「山田錦」の栽培を始めたのは2024年。山口市の引谷エリアに広がる耕作放棄地を活用し、同社が長年取り組む無農薬・無化学肥料の栽培技術を応用した。背景には、主力の養鶏事業で生まれる鶏糞堆肥の有効活用という課題意識もあった。

 

高温障害と害虫被害で日本酒製造断念

しかしながら、収穫直前の9月、猛暑による胴割れと大量のカメムシ被害によって、収量が大幅に減少。日本酒の製造に必要な量に届かず、断念を余儀なくされた。加えて、虫の吸汁によって米が黒く変色する「斑点米」が大量に発生し、農薬を使わない栽培のリスクが浮き彫りになった。

磯金醸造株式会社 磯金 大樹 社長
磯金醸造株式会社 磯金 大樹 社長(提供:秋川牧園 )

「せっかく無農薬で育てた山田錦を無駄にしたくない」。同社はそう考え、次なる活用方法を模索するなかで、山口市阿知須の老舗・磯金醸造株式会社と連携。「山田錦の甘酒」として商品化することに成功した。

 

磯金醸造と協業、夏に最適な甘酒に転換

この甘酒は、一般的に使用される食用米ではなく、日本酒製造に用いられる酒米を原料とする珍しいタイプである。たんぱく質の含有量が低く、さらりとした口当たりが特徴だ。磯金醸造の磯金大樹社長は「たんぱく質が少ないことで夏にぴったりの飲みやすさが実現できた」と話す。

甘酒にはビタミンやアミノ酸など、点滴と類似した栄養素が含まれ、「飲む点滴」として近年再評価が進んでいる。暑さで食欲が落ちがちな季節において、氷を入れた冷やし甘酒や、ソーダ・ヨーグルト割など、多様な飲み方で栄養補給をサポートする。

商品は秋川牧園の宅配会員サービスおよび直売店(山口市仁保下郷)で販売され、価格は300mlで税込454円。原材料はすべて山口県産で、地産地消と無添加へのこだわりが光る。

なお、秋川牧園では、この山田錦のさらなる有効活用として、地元企業との連携で「かきもち」(美蔵屋)や「赤飯」(川田餅本舗)といった製品化も実現させており、地域経済との共創を加速させている。

 

【企業情報】

秋川牧園は1972年創業、1979年設立。無投薬飼育や植物性飼料の研究開発など、安全な食の先駆者として知られ、野菜・鶏肉・卵・牛乳などの生産から冷凍食品製造・販売、宅配事業までを手がけている。2024年3月末時点での連結従業員数は473名。会員数は約25,000人にのぼる。

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ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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