有償はアドバンスコンポジット、“溶湯鍛造”で素材革命に挑む技術系スタートアップ!

国内最大級のスタートアップカンファレンス「IVS2025」の目玉イベントであるピッチコンテスト「IVS2025 LAUNCHPAD」が、7月3日に京都市勧業館(みやこめっせ)で開催された。
350社を超える応募の中から決勝に進出した15社のうち、スタートアップ京都国際賞(最優秀賞)に輝いたのは、革新的な素材加工技術「溶湯鍛造法」を掲げるアドバンスコンポジット株式会社だった。
「IVS2025」の核となるピッチイベント
IVS2025は、「Reshape Japan with Global Minds」をテーマに、世界中から起業家、投資家、大企業、行政関係者が集う日本最大規模のスタートアップ総合イベントであり、京都での開催は2年連続となる。その中心的プログラムのひとつが「IVS LAUNCHPAD」だ。
「まだ世に出ていないアーリーステージのスタートアップの“発射台”になりたい」という理念のもと開催される同イベントは、過去にも数多くの急成長企業を輩出してきたことから、「スタートアップの登竜門」として知られている。今年も、海外企業約15%を含む350社以上から応募があり、15社が最終ステージで6分間の熱いプレゼンを繰り広げた。
素材革命に挑むアドバンスコンポジットが栄冠

今回のLAUNCHPADで優勝を飾ったアドバンスコンポジット株式会社は、「未知なる素材を作りたい放題」という挑発的なメッセージを掲げ、溶けた金属を鍛造して素材特性を自在に設計できる「溶湯鍛造法」の可能性をアピールした。
顔を隠したまま登壇したプレゼンターのAKIYOSHI氏は、素材の重さを測る「秤(はかり)」を用いた実演や観客参加型のクイズなどを取り入れ、難解な工業技術をわかりやすく伝える演出で観客と審査員の心をつかんだ。審査員からは「テクノロジーと表現力の融合」「まるで映画を観ているかのようだった」と高評価が寄せられた。
AKIYOSHI氏は受賞に際し、「地方の小さな工場からでも世界に挑戦できるということを証明したい」と語り、「今回の受賞を通じて日本のものづくりの底力を世界に届けたい」と意気込みを見せた。
入賞スタートアップにも注目集まる

2位には宇宙の衛星データで水道インフラの保全を支援する「宇宙水道局」を展開する株式会社天地人が入賞。

3位はAIとM&Aを組み合わせたアニメスタジオ創出事業「Creator’s X」。

4位とオーディエンス賞のダブル受賞を果たしたのは、スナック市場のDXに挑む株式会社スナックテクノロジーズ。

5位には製造現場の自動化を目指す株式会社CoLabが選ばれた。

また、漫画『インベスターZ』で知られる三田紀房氏が特別審査員として参加し、「インベスターZ賞」として合同会社CGOドットコム(「ギャル式ブレスト®︎」)がスピンオフマンガの題材に選ばれた。
IVSの舞台から世界へ 起業家の夢を“再構築”する場に
IVS2025は7月2日から4日までの3日間、京都市勧業館「みやこめっせ」やロームシアター京都で開催され、スタートアップ展示、セッション、サイドイベントなどが展開された。7月5日には中高生向けの起業体験プログラム「IVS Youth」も控えており、あらゆる世代が起業家精神に触れる場となっている。
開催を主導したIVS KYOTO実行委員会(Headline Japan、京都府、京都市)は、同地の大学や研究機関、文化資源と連携し、新たな産業創出を目指す。
アドバンスコンポジットの優勝は、「技術の深み」と「語りの力」を兼ね備えた日本発スタートアップが、世界市場への扉を開く瞬間を象徴する出来事となった。