
インバウンド回復と航空路線の増便を追い風に、宮古島の宿泊市場は客室数6,500室超、年間観光客119万人の規模まで拡大し、沖縄県内で那覇に次ぐ集積地となった。本稿は楽天トラベルとじゃらんnetの最新クチコミ点数、そして公示される最安客室単価を突合し、「価格競争力×顧客満足度」でホテルブランドの総合力を示した最新ランキングを作成した。
(※宮古島市・伊良部島・来間島に本館を置くリゾートホテルを対象。楽天トラベル総合評価・じゃらんnet総合評価の平均値と、1名1泊(2名1室利用時)最安客室単価を各50%のウエイトで標準化した“複合指標”により順位付け。価格は変動制につき2025年6月時点の目安額)
15位 ホテル サウスアイランド〈伊良部島〉 楽天4.25/じゃらん4.2 6千5百円 前後
注目ポイント:伊良部大橋を渡ってすぐの国道沿いに建つ「ホテル サウスアイランド」は、全21室の小規模ホテルながら、1階にまるきスーパー、2階に郷土料理レストラン「入江」を備え“食と買い出し”を館内で完結できる。3階で洗濯機と乾燥機を利用できるため長期滞在やダイビング客の利便性が高い。徒歩5分前後で渡口の浜にアクセスでき、SUPや釣りに出かけるアクティブ層が多いのも特徴。楽天トラベル4.25、じゃらん4.2(2025年6月時点)の総合評価は「立地とコスパ」を理由にしたリピーターによって支えられている。
14位 the rescape〈城辺〉 楽天4.87/じゃらん4.5 6万円 前後
注目ポイント:宮古島東海岸の原生林と天然ビーチに抱かれたヴィラ型リゾート「the rescape」は、全38室が独立したプール付きヴィラで専有面積40〜112㎡を誇る。公式サイトによれば自然保全を重視し、客室電源をカードキー連動で管理し、使い捨てアメニティも削減するなどサステナブル施策を導入している。館内レストランは島産野菜や魚介を中心にしたファームトゥテーブルを掲げ、満天の星空を望むガーデンプールとともに「隠れ家リトリート」の世界観を演出する。楽天やじゃらんの口コミはいずれも4点台後半で、特に接客と食事への満足度が高い。
13位 IRAPH SUIラグジュアリーコレクション〈伊良部島〉 楽天5.00 6万円 前後
注目ポイント:伊良部大橋を渡った伊良部島南岸に位置する「IRAPH SUI ラグジュアリーコレクションホテル沖縄宮古」は、マリオット・ボンヴォイが展開するラグジュアリーセグメントの一翼を担うリゾートである。2018年12月開業、客室は全58室・45㎡以上のオーシャンビューが基本で、一部にはプライベートプール付きスイートも設けるなど少室数ならではの静穏性を確保している。楽天トラベルの総合評価は5.00(14件、2025年2月時点)と最高水準で、空港送迎や夕刻の「シャンパンディライト」といったホスピタリティが高い評価を得る。伊良部ブルーを臨むインフィニティプールと上質なダイニング体験がハネムーナーやリピーターの需要を支えている。
12位 アラマンダ インギャーコーラルヴィレッジ〈城辺友利〉 楽天4.22/じゃらん4.3 3万円 前後
注目ポイント:宮古島・城辺友利に建つ「アラマンダ インギャーコーラルヴィレッジ」は、シギラセブンマイルズリゾートの一角に位置する全72棟のコテージ型リゾート。各客室はロフトを備えた約65㎡の広さで、テラスに屋外ジャグジーを標準装備している。公式サイトは“ファミリーステイ”を前面に掲げ、ベビーカーや調乳ポットなど無料レンタル品を用意するほか、キッズアクティビティも充実させて子連れ滞在を後押ししている。クチコミは楽天トラベルで総合4.22(155件)、じゃらんでも4.3(93件)と概ね高評価で、客室の広さとスタッフ対応が特に好評だ。インギャー湾の穏やかなラグーンを生かし、シュノーケル・カヤックなどのマリン体験を通年提供することで「泊まる・遊ぶ・学ぶ」を完結できるリゾートとして存在感を高めている。
11位 ホテル サザンコースト宮古島〈平良〉 楽天4.54/じゃらん4.2 1万円 前後
注目ポイント:平良港側の県道沿いに建つ中規模ホテル「ホテル サザンコースト宮古島」は、パイナガマビーチまで徒歩30秒の立地が特徴だ。客室はシングル・ツイン主体で総101室を擁する。公式サイトによると、館内は全室高速Wi-Fi完備でシャワールームやコインランドリーも備え、平良中心街へは徒歩15分と観光・ビジネス双方に利便性が高い。楽天トラベルでは総合評価4.5(620件)、じゃらんでは4.2(21件)と評価水準は堅調である。朝食はゴーヤーや島豆腐など島食材を用いたビュッフェ形式で海を望むレストラン「ソレイユ」で提供される。楽天トラベルの販売価格は1名1室朝食付きで概ね6,200円からとなっており、手頃な価格帯とビーチビューの両立が支持を集めている。
10位 ホテル ピースアイランド宮古島 市役所通り〈平良〉 楽天4.42/じゃらん4.5 6千円 前後
注目ポイント:ホテルピースアイランド宮古島市役所通りは、市役所通り沿いに立地し、市役所まで徒歩約3分の好アクセスが特徴である。全客室に電子レンジさらに洗濯乾燥機を無償で利用できるため、ダイビング滞在や長期ワーケーションでも衣類や食材の持ち運び負担を抑えられる。公式客室案内でも「長期滞在にも快適で便利」と強調されており、実際に口コミでは「室内洗濯機が重宝する」との声が多数を占める。楽天トラベル平均評価4.42、じゃらん4.5※(6月時点/各サイト公表値)で、価格帯は最安5,700円とコストパフォーマンスに優れる。設備重視の長期滞在層から支持を集める、宮古島市街地の実用派ホテルと言える。
9位 ホテル ローカス〈平良下里〉 楽天4.05/じゃらん4.2 1万5千円 前後
注目ポイント:宮古島平良港の目の前に建つデザインホテル「ホテル ローカス」は、沖縄UDSが「島の旅の起点」を掲げて設計し、塩害に強いアルミ手すりと通気性を確保した外廊下で海風を取り込む。館内ではSUP・シュノーケルのマリンプログラムを手配でき、港発着ツアーと組み合わせて“泊まる×遊ぶ”を完結させる滞在スタイルが特徴だ。楽天トラベルの最新クチコミ総合は4.05(投稿291件)、じゃらんは4.2(197件)で、立地とスタッフ対応への高評価が目立つ。最安料金は1名1泊5,790円(素泊まり・2名利用時)からと手頃で、長期ワーケーション層やダイバーの定宿として定着している。
8位 ホテル ブリーズベイマリーナ〈上野宮国〉 楽天4.32/じゃらん4.1 3万円 前後
注目ポイント:宮古島南岸の『シギラセブンマイルズリゾート』内に立地するホテル ブリーズベイマリーナは、本館・タワー館など計304室を擁する島内最大級の複合リゾートである。楽天トラベル総合評価4.32(クチコミ680件)、じゃらん総合4.1(635件、2025年6月時点)と安定した高評価を維持し、2名1室3万円前後の価格帯で支持を集める。敷地内には日帰り天然温泉「シギラ黄金温泉」と、全ホールから海を望む18ホールの「シギラベイカントリークラブ」が併設され、三世代旅行の需要を取り込んでいる。屋外プールやキッズプールも整備され、客室は和洋室やコンドミニアム仕様など多彩で長期滞在にも対応する。リゾート内シャトルバスも巡回し、施設間の移動も容易だ。
7位 ヒルトン沖縄宮古島リゾート〈久貝〉 楽天4.08/じゃらん4.3 4万円 前後
注目ポイント:ヒルトン沖縄宮古島リゾートは2023年6月18日にソフト開業、同年8月26日にグランドオープンした329室の新築外資系フラッグシップである。施設面では屋外ファミリー・キッズ・クワイエット3種と屋内2種の計5プールを備え、悪天候時でも年中利用できる構成を採用。8階ルーフトップバー「ユナイ」は伊良部大橋とサンセットを一望できるインフィニティ仕様で、公式サイトも“絶景バータイム”を強調しX(旧ツイッター)やインスタグラムでの映え投稿が急増している。開業後はファミリー層のプール利用と夕景バーを軸にOTAクチコミを伸ばし、楽天4.08、じゃらん4.3(6月時点)と安定した評価を獲得した。
6位 シギラベイサイドスイート アラマンダ〈上野新里〉 楽天4.33/じゃらん4.5 3万円 前後
注目ポイント:上野新里の「シギラベイサイドスイート アラマンダ」は、全174室がスイート仕様の高級リゾートで、ラグーン沿いプライベートプール付きヴィラからジャグジースイートまで多彩にそろえる。楽天トラベル総合評価は4.33(381件)で、2名1室利用時の最安宿泊料は1人28,020円からと公表されている。宮古空港から車で約15分と好アクセスで、リゾート内シャトルも運行。プレミアハウスなど一部客室には専任バトラーが24時間常駐し、滞在者専用「アラマンダラウンジ」では10~20時にティー&カクテルサービスを提供する。ゴルフ場や温泉との回遊性も高く、三世代旅行や長期滞在層の需要を取り込んでいる。
5位 ホットクロスポイント サンタモニカ〈上野新里〉 楽天4.34/じゃらん4.5 1万5千円 前後
注目ポイント:シギラセブンマイルズリゾートの中心に建つ「ホットクロスポイント サンタモニカ」は、全150室のカジュアルホテルで楽天評価4.34(226件)、じゃらん4.5を記録し※2025年6月時点、朝食付1名1泊12,360円から泊まれる手頃さが魅力だ。プールサイドにはサウナとジャグジーを完備し、徒歩圏にはビーチやナイトエンターテインメントが集積するため、“遊び倒したい”20〜30代の利用が目立つ。約100種の朝食ビュッフェも高評価を支え、アクティブ層の連泊率を押し上げている。
4位 ホテル ライジングサン宮古島〈久貝〉 楽天4.45/じゃらん4.4 1万円 前後
注目ポイント:宮古空港と平良市街のほぼ中間、久貝の県道沿いに建つ「ホテル ライジングサン宮古島」は全108室・全館Wi-Fi完備の実用派ホテルである。楽天トラベルによれば総合評価4.45(568件)を維持し、最安料金は素泊まり1人5,900円から※。じゃらんのクチコミも総合4.4(411件)と安定。公式サイトは「宮古空港まで車で約10分、市街や伊良部大橋入口へも同程度」と利便性を強調し、レンタカー付き宿泊プランを扱う。朝食ビュッフェではゴーヤーや島豆腐など島産食材を用いた約40種を提供し、「地元ならではの味」を掲げる。空港アクセス、島素材の朝食、モビリティ支援を組み合わせ、“実用+ローカル体験”を両立させる一軒と言える。
3位 ホテル シギラミラージュ〈上野新里〉 楽天4.59/じゃらん4.6 5万円 前後
注目ポイント:ホテルシギラミラージュは2019年4月開業、客室はベイサイド棟と小高い丘のプールヴィラプレミア(旧ヒルサイド)から成り、全室が51㎡以上のゆとりある設計を採用する。プールヴィラプレミアでは専任バトラーが滞在をサポートするプランが用意され、チェックインからアクティビティ手配まで一括対応することで高付加価値ステイを実現している。ベイサイド棟には海を一望するジャグジー付きテラスが、丘のヴィラ群にはプライベート温水プールとデイベッドが備わり、ゲストは時間帯で色を変える“宮古ブルー”を独占できる。館内スパ「スパ・ミラージュ」ではスイス製ラグジュアリーコスメを用いたフェイシャルや貝殻を使うトリートメントなど多彩なメニューを提供し、客室インルーム施術にも対応する。こうしたハードとサービスが評価され、楽天トラベルの最新クチコミは総合4.6、じゃらんでも4.5を維持し、リピート意向の高いラグジュアリー層を確実に呼び込んでいる。
2位 宮古島東急ホテル&リゾーツ〈与那覇前浜〉 楽天4.51/じゃらん4.7 3万円 前後
注目ポイント:与那覇前浜の白砂が目の前に広がる「宮古島東急ホテル&リゾーツ」は、宮古空港から車で約13分の全室バルコニー付きリゾートである。楽天トラベルの評価は4.51(クチコミ444件)、じゃらんは4.7(32件)と高水準を維持し、早割朝食付きプランの最安は1人18,150円(4名1室)から確認できる。東急ホテルズ公式アプリによるWebチェックイン・アウト機能を導入し、滞在中の追加決済もスマホで完結する仕組みを整備したことで非接触ニーズに対応。ホテル前のビーチハウスではバナナボートや水上バイクなど宿泊者割引付きマリンアクティビティを多数用意し、体験型パッケージが客単価を底上げしている。白砂ビーチ直結の立地とデジタルサービス、充実したウォータースポーツが三位一体となり、高い満足度とリピート需要を支えている。
1位 宮古島来間リゾート シーウッドホテル〈来間島〉 楽天4.45/じゃらん4.8 7万円 前後
注目ポイント:宮古島来間リゾート シーウッドホテルは、来間大橋を見下ろす島北岸に広がり、プライベートプール付きヴィラ102棟とジャグジー付き5棟、ホテル棟62室を合わせ計169室で構成される大型リゾートである。各ヴィラは73㎡以上の独立スイート仕様となっている。夜間は水盤テラスで開催される「スターゲイジングツアー」にてハワイ州公認ガイドが天の川を解説し、星空観賞という体験価値を付加する。中央階段からは来間大橋とサンセットを一望でき、“海と星に包まれる非日常”を演出する景観設計が特徴だ。クチコミでは楽天トラベル総合4.45(238件)、じゃらん4.8(179件)と県内屈指の高評価を獲得しており、1名1泊最安は19,125円前後(2025年6月調査)。高い満足度と手の届く価格帯がリピート需要を押し上げている。
ランキング外の注目ニューオープン/開業予定
ローズウッド宮古島(2025年3月開業、砂山エリア)30万円 前後

注目ポイント:ローズウッド・ホテルズ&リゾーツが日本で初めて手掛ける「ローズウッド宮古島」は、2025年3月1日に宮古島北部の大浦湾岬で開業。客室は全55棟すべてが独立型ヴィラで、テラス越しに“宮古ブルー”を一望できる設計となる。館内にはインフィニティプール、4軒のレストラン&バー、ウェルビーイング施設「Asaya Spa」などを併設し、ブランドの哲学「A Sense of Place®」を体現する空間を構築する。ローズウッドは本リゾートを“ウルトラ・ラグジュアリー”の旗艦として位置づけ、超富裕層が求める長期滞在・プライベート体験市場の開拓を掲げており、2024年12月10日から公式サイトで予約受付を開始している。
アヤンナ宮古島(2024年4月開業、伊良部島) 20万円 前後
注目ポイント:スターリゾートが伊良部島に開業した「アヤンナ宮古島」は、2024年4月26日オープンの全7室オールスイートヴィラ型オーベルジュだ。各客室には温水仕様のプライベートプールを備え、宮古ブルーの海を臨む73㎡超の独立棟で構成されるため、高いプライバシーと開放感を両立する。レストランでは沖縄産食材を中心にフレンチ懐石の技法を取り入れたイノベーティブ創作料理を提供し、“地産地消×美食体験”という付加価値で宿泊単価の向上を狙う設計だ。
キャノピーbyヒルトン沖縄宮古島リゾート(2026年春開業予定、トゥリバー地区)
注目ポイント:三菱地所と鹿島建設が開発する「キャノピーbyヒルトン沖縄宮古島リゾート」は、宮古島トゥリバー地区で2026年春の開業を目指し着工した。三菱地所のニュースリリースによれば、地上12階・客室310室、宮古空港から車で15分、下地島空港から25分の立地で、伊良部大橋を望むルーフトッププール&バーやオールデイダイニングを含む「キャノピー・セントラル」を中核施設に据える。地域素材を取り入れたインテリアやシャワールーム付きトランスファーラウンジなど、滞在前後の利便性にも配慮する。同ブランドは2024年開業の「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」に続く日本2号店で、ヒルトンのライフスタイル領域における国内展開を加速させる位置づけだ。運営主体のヒルトンは「屋上カフェを含む共用空間でミレニアル層を取り込む」とし、隣接する「ヒルトン沖縄宮古島リゾート」とのシナジーで客単価向上を図る。
総評
複合指標15位までを見ると、クチコミ高評価と価格優位を両立する中堅ホテルが上位に入り、高付加価値体験で価格弾力性を超えるラグジュアリー勢が追随する二極化構造が鮮明だ。2025〜26年に外資系ニューオープンが相次ぐことで高級セグメントの競争が激化し、中価格帯もサービス高度化を迫られるだろう。