経営層の“指名買い”が相次ぐ中間管理職向けの研修があるらしい

今、経営者や人事部門の間で密かに話題を呼んでいる中間管理職向けの研修がある。「部長・課長クラスに向けた“実践型”プログラム」でありながら、その特長は“型を学んで、現場で使って、成果を出す”ことにあるという。
株式会社セルム(東京・渋谷、加島禎二社長)が2024年6月に提供を開始した「マネジメントメソッド」が、わずか半年で参加者700名を突破した。
提供開始6か月で700名が参加、なぜ今「マネジメントOS」の更新が必要か

プログラム名が示す通り、対象はプレイングマネジャーが主流となる部長・課長クラス。坂部嶺氏(セルム)は「マネジメントを独学でやってきた人が多く、自己流から脱却する機会が少ない。だからこそ“基礎から体系的に学び直せる場”が必要だ」と語る。実際、提供前から大手8社500名分の申込が殺到したほどニーズは高い。
背景にあるのは、現場で成果と育成を同時に求められるミドル層の疲弊だ。マネジメントの型が更新されないまま、発生事象への対症だけで日々が過ぎる“イベントドリブン経営”の常態化である。
たとえば、ある製造業の課長は「毎朝出勤した瞬間から昨日のトラブル対応に追われ、午後にはクレーム処理、夕方には突発の資料作成で1日が終わる。部下と向き合う時間なんてとても取れない」と語る。これは決して特殊な例ではなく、目の前の“出来事”に翻弄される日々を送るマネジャーが少なくない。「考える時間がない」「目標はあっても腰を据えて設計できない」こうした声が、組織全体の変化への遅れと人材育成の停滞を引き起こしている。
30年以上にわたり国内外の様々な企業におけるマネジメント課題に伴走してきた知見を基に、マネジメントにおける共通課題を抽出し汎用化し、新たな“OS”として体系化したのがTEAMSモデルだ。
TEAMSモデルとは何か 仕事づくりから自分づくりまでマネジメントに必要なプロセスを可視化

「リーダーシップで旗を振るだけでは不十分。マネジメントがあって初めて組織は“継続的”に成果を出せる」。そう語るのはTEAMSモデルの開発者である川野正裕氏だ。
その川野氏がもう一つ重要な点として強調するのが、「原則があるからこそ応用が利く」という視点である。「よく“原則より応用が大事”と言われますが、原則がなければ応用は成り立ちません。原則のない人は、毎日が応用問題になり、マネジメントのたびに疲弊してしまうんです」と語る。
TEAMSモデルは、その“原則”を明文化し、いつ・どのタイミングで・何をすればよいかを整理する指針となる。これにより、個人の経験や感覚だけに頼らずに済むため、再現性が高く、応用もしやすくなる。
「現場が強い企業こそ、新しいサービスや改善が自然に生まれる。だからこそ、部課長層を本気で育てることが、企業の競争力に直結する」と川野氏は続ける。
TEAMSモデルは、『Targeting:仕事づくり』/『Engagement:チームづくり』/『Assessment&development:人づくり』/『Making results:結果づくり』/『Self-control:自分づくり』という“5つのづくり”から構成されています。
『Targeting:仕事づくり』は、目標を現実優先でなく「やること/やめること」を整理して再定義する。たとえば営業部門のある受講者は、「チーム目標が曖昧なまま進めていたが、TEAMSの考え方に基づき、顧客セグメントごとにKPIを明確化したことで、部下の自走力が格段に上がった」と話す。
『Engagement:チームづくり』ではチームの再構成や役割の見直しを通じて、既存リソースの最適化を図る。
『Assessment & development:人づくり』では「教える」と「引き出す」のバランスを持った育成スタイルに転換し、結果創出と人材育成が両立される。
そして『Self-control:自分づくり』は、マネジャー自身が柔軟性や好奇心を維持し、自らを整え続けることで、周囲からの信頼を蓄積し、チーム全体が持続的に回るようになる。
他社のマネジメント研修との違いは、TEAMSモデルを現場での実際のマネジメントサイクルに合わせる形で、実践ベースで参加者の内省・改善を支援できる設計にある点だ。従来の「インプット中心」「コミュニケーションなど一部のスキル単体分解型」のプログラムに対し、マネジメントメソッドは、TEAMSモデルをもとに、マネジャーのマネジメント上の課題を思考傾向と行動傾向の両面を可視化。“半年間の伴走”という形で、マネジメント課題の解消とマネジメントOSの更新を行っていく。
川野氏は「よくあるマネジメント研修は“何となく良い話”で終わってしまう。だが、マネジメントメソッドは具体的な行動設計に踏み込むため、現場で即使える」と語る。困っているのは目の前の成果だけではなく、部下が育たない・引き継げない・任せられないという慢性的な組織のボトルネックだ。
マネジャー本人のプレイ比率を最適化し、意志を持って「何をやるか/やらないか」を選び取り、結果と育成を同時に達成できる構造が、他にない強みとなっている。
競争優位は、“誰もが再現できるマネジメントの共通言語”を提供している点にある。一般に、マネジメントは上司や職場の文脈に依存しがちで、「あの上司だからうまくいった」「あの人だからできた」で終わってしまうことが多い。
しかしTEAMSモデルは、マネジメントの各工程を明示し、必要な行動・指標・対話の型を共通化することで、属人性から脱却できる。加えて360度サーベイと思考診断(マネジメントリテラシーサーベイ)の両面で自己認識を促し、メンターと組織内対話を繰り返すプロセスが、確かな行動変容を促す。結果として、「わかる」だけでなく「できる」まで導ける。それが他社にはない圧倒的な差異である。
プレイングマネジャーを支えるメンター伴走の6か月
このプログラムがもう一つ高く評価されているのは、マネジャー自身の「思考傾向」と「行動傾向」の両面を可視化する点にある。受講前後で360度サーベイによる行動傾向と、マネジメントリテラシーサーベイによる思考傾向の把握を組み合わせることで、単なる感覚ではなく、定量的なフィードバックに基づいた変容プロセスが描ける。
これにより受講者は自らの課題を明確に把握し、改善プランを可視化できるだけでなく、企業側としても人的資本開示の一環として活用可能な評価軸を得ることができる。 プログラムは動画学習と対話(1on1メンタリング・グループコーチング)を組み合わせた半年コースが標準だ。初回に360度サーベイとマネジメントリテラシーサーベイで現状を可視化。以降はTEAMSモデルの各チャプターに対応する動画を視聴し、ケース演習で手を動かす。
コアはメンター伴走である。「メンターはTEAMSモデルを熟知した外部講師。組織目標の精度向上から、現場実践でのつまずきへの対処まで1on1で支援する」(坂部氏)。
加えて、受講者同士が課題と成功事例を共有するグループコーチングを開催し、現場実践における“孤独なマネジャー”をつくらない。最終回に再び360度サーベイを行い、行動の変化を数値で検証する。
受講者が語る変化:「数字」と「人」の両立が見えた
受講後アンケートでは、有益度が91%、契約継続率は90%超。営業部門課長の声を紹介しよう。「目標を“自分で背負い込む”から“部下と共に創る”に転換できた。結果は前年同期比112%、残業は2割減」(参加者)。
生産技術部の事例では、チーム再編と権限委譲により試作期間を3割短縮。同時に若手が特許を出願する成果も生まれた。坂部氏は「このモデルは“自分のやりたいこと”を起点に組織目標を構想し、上位方針との整合性も担保したうえで組織を動かせるフレームでもある。そのような視点から目標設定ができると、マネジャーはマネジメントを楽しく感じられる瞬間がある」と振り返る。
坂部氏はさらに続ける。
「マネジャーは大変な役割と思われがちだが、むしろ自分の意志でチームを動かし、予算を活用して成果を創れる立場。TEAMSモデルは、その可能性を引き出すツールでもある」。
インタビュー:マネジメントの本質に立ち返るきっかけとは

坂部嶺氏(株式会社セルム)とTEAMSモデルの開発者・川野正裕氏に、このプログラムを通じて届けたいメッセージを聞いた。
――「マネジメントメソッド」の特長はどこにあるのでしょうか?
坂部:大きく言えば“自分で考え抜いたうえで、腹落ちした行動ができるようになる”ことですね。マネジメントって、多くの方が自己流でがむしゃらに走っていて、何が正解か分からないまま試行錯誤している。その中で、TEAMSモデルという型があることで、迷った時の道しるべになるし、周囲とも共通言語で話せるようになる。これがまず大きいです。
川野:私が意識しているのは、“楽しく楽して”成果を出すという視点です。多くのマネジャーが「部下育成」「業績管理」「チーム運営」を全部同時にやらされて、正直しんどい。でも、やることとやらないことを整理すれば、驚くほど余裕が生まれる。結果が出るプロセスで部下も育てば、二重の効果です。
――実際に受講された方の変化で、印象的だったものはありますか?
坂部:ある若手課長の方は、以前は「とにかく自分で背負う」タイプでした。でも、このプログラムで目標の立て方を変えて、部下に役割を明確に分担していった結果、彼の残業が減っただけでなく、部下の成長スピードも上がったんです。こういう「見える変化」があると、本人のモチベーションもぐっと上がるんですよね。
川野:それに、自己流を脱することで「自分が正しくマネジメントできている」という自信も芽生えてきます。マネジャーが自信を持つと、部下も安心するし、組織の空気も変わるんです。
――このプログラムを、どんな企業やマネジャーに届けたいですか?
川野:実は“普通の人”にこそ、ちゃんとマネジメントの型を持っていてほしい。リーダーシップにカリスマ性は要らない。TEAMSモデルは平均的なマネジャーが“組織で継続的に成果を出せる”ようになるための技術なんです。
坂部:「マネジメントが苦手だ」と感じている方や、これから初めて部下を持つという方にぜひ試していただきたいですね。自分のスタイルを見直すきっかけにもなりますし、“マネジメントって楽しい”と感じてもらえるはずです。
中小企業も導入可能、半年25万円からの投資対効果
費用は標準パッケージで受講者1人あたり半年25万円(税別)。10人規模なら総額約300万円で導入できる。最少3人から実施経験があり、「100万円未満でも成果を出せる」と坂部氏は言う。補助金は現時点で適用外だが、サーベイ結果が人的資本開示の指標として流用できる点もメリットだ。
“ヒューマネスの力で、ビジネスをより「らしく」、より「いきいき」と。”を目指すセルムの挑戦
セルムグループの従業員は2025年3月現在249名、24年度売上は約80億円。ヒューマネス(人本来の強み)を核にしたサービスで成長を続ける。同社は「マネジメントメソッド」を企業規模・業種を問わず拡大する構えだ。
川野氏は締めくくる。「マネジメントは“やらされるもの”ではなく“自分の意志で組織を動かすこと”だ。だからこそ、このTEAMSモデルで“楽しく、楽して”結果を出してほしい」。
マネジメントの未来は、プレイングマネジャーが“楽しく楽して”成果と人を育む日常の中にこそ拓ける。
マネジメントメソッドのお問合せは以下より
https://mp.celm.co.jp/