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中野サンプラザ再開発が白紙へ 計画断念の背景

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中野サンプラザ
photoACより

東京都中野区の象徴的存在だった「中野サンプラザ」。その跡地再開発計画が頓挫し、計画は振り出しに戻ることが明らかになった。再開発計画の背景には、工事費の高騰や事業計画の見直しがある。中野サンプラザ跡地に何が起き、今後どのような展開が待っているのか。計画断念に至った経緯を詳しく見ていく。

 

中野サンプラザ跡地再開発、現在の計画で断念へ

東京都中野区は、老朽化のため閉館した「中野サンプラザ」の跡地再開発について、当初計画を見直す方向で進められていたが、最終的に現在の枠組みでの再開発を断念する方針を固めた。区は近く開かれる区議会でこの方針を正式に発表する見込みだ。

区が再開発計画を断念した理由は、工事費の高騰により事業費が大幅に増加し、計画の見直しが避けられなくなったためだ。これにより再開発のスケジュールは大幅に遅れることが予想される。

再開発計画の経緯:「中野サンプラザ」閉館から始まった動き

「中野サンプラザ」は1973年にオープンし、音楽ライブやイベント会場として多くの人々に親しまれてきた。50年の歴史に幕を閉じたのは2022年7月。老朽化が進み、建物の安全性や維持管理の面から再開発が必要と判断されたためだ。

中野区は「中野サンプラザ」の役割を引き継ぐ新たな多目的ホールを含む再開発計画を発表。2021年には野村不動産を代表とする事業者グループが計画事業者として選ばれた。

当初の計画では、最大7000人を収容できる多目的ホールを建設し、その隣には高さ262メートルの超高層ビルが建設される予定だった。超高層ビルには住宅やオフィス、商業施設などが入る計画で、当初の事業費は約1810億円と見積もられていた。

工事費の高騰で見直し案が提示されるも難航

事業が進む中、急激な物価上昇や人件費の高騰が事業計画に大きな影響を与えた。2023年10月の段階で、事業費は当初の見込みの約2倍にあたる3500億円規模に膨らむおそれがあると判明。このため、同年10月に野村不動産は東京都への認可申請を取り下げ、事業の見直しが進められた。

翌2024年1月、野村不動産は採算性を確保するため、当初1棟で計画されていたビルを2棟にし、住宅部分の割合を増やす見直し案を区に提示した。

しかし、中野区議会では「中野のシンボルとしてふさわしい建物になるのか」といった声や、「他の事業者の案に似ており、公平性が保てない」との指摘が相次いだ。これを受け、区は見直し案での計画推進は困難と判断し、現在の枠組みでの再開発を断念する方針を固めた。

事業者選定のやり直しで再開発は振り出しに

 

再開発計画の見直しに伴い、中野区は事業者の選定から再スタートを切ることとなった。これにより再開発スケジュールは大幅に遅延する見通しだ。

区と野村不動産は今後、協定解除に向けた協議に入るとみられており、事業者選定を再度行うことになる。事業者の再公募が行われる場合、計画の大幅な見直しや規模の縮小といった変更も考えられる。

地域住民からの声と今後の展望

中野サンプラザは地元住民にとって「街の顔」であり、再開発計画に対する期待は大きかった。そのため、計画の白紙化を受け、再開発の方向性やスケジュールが不透明になったことに不安の声も上がっている。

一方で、再開発の意義や街の活性化に期待する声も根強く、区には新たな計画において地域の意見を積極的に取り入れ、より良い再開発計画を策定することが求められている。

まとめ

中野区のシンボル「中野サンプラザ」跡地の再開発計画は、工事費の高騰により白紙に戻ることが決まった。計画の見直しや事業者選定のやり直しにより、再開発の遅れは避けられない状況だ。

今後の焦点は、新たな再開発計画がどのように進められるかに移る。中野サンプラザが築いてきた歴史や役割を引き継ぎつつ、地域のニーズに応えられる計画の実現が求められている。

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ライター:

新聞社・雑誌の記者および編集者を経て現在は現在はフリーライターとして、多方面で活動を展開。 新聞社で培った経験をもとに、時事的な記事執筆を得意とし、多様なテーマを深く掘り下げることを得意とする。

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