
スナック菓子の値上げが相次ぐ中、カルビーが新たな価格改定を発表した。ポテトチップスは内容量の減少、じゃがりこは価格引き上げが行われる。消費者にとっては実質的な負担増となるが、同時にカルビーの業績は好調を維持している。なぜこのタイミングでの改定なのか、その背景と今後の影響について詳しく見ていく。
ポテトチップス10品が7月から減量へ
カルビーは7月以降、ポテトチップス10品の内容量を一律5グラム減らすと発表した。価格は据え置かれるが、消費者にとっては実質的な値上げとなる。
減量の対象商品とスケジュール
商品名 | 変更前 | 変更後 | 変更日 |
---|---|---|---|
うすしお味 | 60g | 55g | 7月21日 |
コンソメパンチ | 60g | 55g | 7月21日 |
のりしお | 60g | 55g | 7月21日 |
北海道バターしょうゆ味 | 58g | 53g | 9月1日 |
のりしおパンチ | 58g | 53g | 9月1日 |
関西だししょうゆ | 58g | 53g | 9月1日 |
九州しょうゆ | 58g | 53g | 9月1日 |
シークヮーサー味 | 58g | 53g | 9月1日 |
しあわせバタ~ | 60g | 55g | 9月29日 |
フレンチサラダ | 60g | 55g | 9月29日 |
原材料高騰が背景に
カルビーは、今回の減量の理由について「ジャガイモや油脂の価格が上昇しているため」と説明している。近年、世界的な食料品の価格上昇が続いており、日本国内でも加工食品の値上げが相次いでいる。特にポテトチップスの主要原料であるジャガイモは、気候変動や輸送コストの影響で調達コストが上昇している。
じゃがりこなど38品が4月以降値上げへ
値上げの対象商品
4月以降、カルビーの人気商品「じゃがりこ」を含む38品が値上げされる。
商品名 | 変更内容 | 変更日 |
おみやげ 堅あげポテト など24品 | 値上げ率5~19% | 4月1日 |
じゃがりこ サラダ など12品 | 値上げ率4~10% | 6月2日 |
じゃがりこ サラダ bits 大モリ | 103g → 100g | 6月2日 |
値上げの背景と業界動向
カルビーは「原材料のジャガイモや包材の価格が上昇している」とし、コスト上昇分を価格に転嫁せざるを得ない状況を説明している。日本スナック・シリアル食品工業会のデータによると、2023年以降スナック菓子の平均価格は10%以上上昇しており、他のメーカーでも価格改定の動きが広がっている。
カルビーの決算状況は好調
2025年3月期第3四半期決算(4~12月期)の概要
カルビーの最新決算によると、売上高は前年同期比7.2%増の2,437億7,700万円、営業利益は6.5%増の252億4,900万円となった。スナック菓子の販売が堅調であり、シリアル製品も好調だったことが要因とされる。
・国内売上高:1,835億8,200万円(前年同期比6.5%増)
・海外売上高:601億9,400万円(同9.4%増)
・純利益:183億5,200万円(同6.9%増)
値上げ戦略と業績への影響
カルビーは2024年6月に一部商品の価格改定を実施しており、その影響で売上が増加した可能性がある。特に国内市場では「堅あげポテト」や「かっぱえびせん」の販売が好調で、価格改定後も消費者の需要は底堅く推移している。
一方で、営業利益率は10.4%(前年同期比0.1ポイント低下)と、原材料費や物流コストの影響を受けていることが伺える。
消費者・投資家への影響は?
消費者の負担増は避けられない
食品全般の値上げが続く中、スナック菓子も例外ではない。
ポテトチップスの内容量減少は「ステルス値上げ」とも言われ、消費者の実質負担は増している。
日本消費者協会の調査によると、2023年には約8割の家庭が「食品の値上げを実感している」と回答しており、2024年もその傾向は続くと予想される。
投資家はどう見るべきか
カルビーの決算は堅調であり、価格改定の影響で売上が伸びている。しかし、消費者の負担増が続けば、将来的に需要の減退リスクも考えられる。投資家にとっては、今後の価格戦略や原材料調達の状況を注視する必要がある。
まとめ
カルビーは7月からポテトチップスの内容量を減らし、4月以降はじゃがりこの値上げを実施する。これは原材料価格の高騰によるものであり、スナック菓子業界全体で価格改定の動きが続いている。一方で、カルビーの決算は増収増益となり、業績は好調を維持している。消費者にとっては負担が増える一方、投資家にとっては今後の市場動向を見極める必要がある。今後のカルビーの価格戦略がどのように推移するか、引き続き注目していきたい。