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三越伊勢丹がバレンタイン向けに販売した高級チョコレートにカビが発生し、自主回収を開始した。購入者からの指摘で発覚し、フランス製の輸入品が対象となる。高級ブランドの信用に関わる事態だけに、今後の対応が注目される。
カビ発生で自主回収 高級チョコに何が?
三越伊勢丹ホールディングスは2月18日、バレンタインデー向けに販売したチョコレートの一部にカビが発生したとして、自主回収を発表した。問題の商品は、フランスの高級チョコレートブランド「BERNACHON(ベルナシオン)」の「ショコラアソート・キューブ・マヤ」など2商品で、オンラインストアや新潟伊勢丹、名古屋三越栄店で計260個が販売された。
消費者からの指摘を受け、在庫を確認したところ複数の商品でカビが確認されたという。賞味期限は2月21日であり、現在のところ健康被害の報告はないが、同社は念のため購入者に自主回収を呼びかけている。
輸入品の品質管理に課題? 背景にある要因とは
今回のカビ発生は、輸入チョコレートの品質管理が問われる問題でもある。チョコレートは湿度や温度に敏感な食品であり、製造から輸送、保管、販売のいずれの過程でも適切な管理が求められる。特に長距離輸送を伴う輸入品は、温度管理が難しく、品質劣化のリスクが高い。
今回のケースでは、輸送中の環境や保管状況に問題があった可能性が指摘されている。三越伊勢丹側は「原因を調査中」としており、今後の調査結果が注目される。
過去にも発生したチョコレートのカビ問題
過去にも、チョコレート製品にカビが発生し、自主回収が行われた事例がある。2025年1月20日頃には、トミゼンフーヅの「ときめきはんなりショコラ」の一部でカビ発生の恐れがあるとして、自主回収と返金対応が実施された。また、東京都の消費生活総合センターによると、輸入チョコレートにアオカビが生えた事例も報告されている。
特に輸送中の結露が原因で、水分が少ない板チョコでもカビが生えることがあるとされており、輸入チョコレートにおいては温度・湿度管理の重要性が改めて問われている。
信頼回復なるか? 消費者の反応と今後の課題
この問題を受け、SNSでは「高級チョコでこれはショック」「1万円以上のチョコがカビているなんてありえない」といった批判の声が上がる一方、「すぐに自主回収を決めたのは誠実な対応」と評価する声も見られる。また、「輸入品の品質管理を強化しないと、今後も同じことが起こるのでは」「百貨店のブランド力に頼るだけでなく、品質チェックの透明性を高めるべき」といった意見も挙がっている。
高級ブランドのチョコレートは、品質と信頼が最大の価値である。今回の事態を受け、三越伊勢丹は輸入品の管理体制を見直す必要があるだろう。また、消費者側も購入後の保管環境や賞味期限をより意識することが求められる。
今後の対応と消費者が取るべき行動
三越伊勢丹は、すでに購入者への個別連絡や店頭での告知を開始しており、着払いでの返品・返金対応を実施している。購入者は、対象商品を持参のうえ店舗に持ち込むか、問い合わせ窓口に連絡することで対応を受けることができる。
この問題がブランドイメージにどのような影響を与えるのか、今後の三越伊勢丹の対応が注目される。高級チョコレート市場は競争が激しく、一度失った信頼を取り戻すには時間がかかる。企業側には再発防止策の公表や品質管理の強化が求められるだろう。
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