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ワシントンで日本時間8日未明、石破茂首相とドナルド・トランプ米大統領による初の首脳会談が行われる。ホワイトハウスでの会談を前に、トランプ氏がどのような要求を突きつけるのかに関心が集まっている。
貿易問題と防衛費増額への圧力
トランプ大統領は、歴代政権同様、日米同盟の重要性を強調するとみられるが、同時に自身の政策課題を前面に押し出す可能性がある。特に貿易赤字の問題は長年の懸念事項であり、日本に対し「アメリカの自動車をもっと購入せよ」との要求を突きつける可能性がある。
米国の昨年の貿易統計によると、日本に対する貿易赤字は685億ドルで、国・地域別で7番目の規模となる。トランプ氏がこれを問題視しないはずはなく、貿易不均衡の是正を求める発言が出ると予想される。また、日本の防衛費増額についても「もっと負担せよ」と迫る可能性が高い。
USスチール買収問題が議題に浮上
さらに、トランプ政権が懸念を示しているのが、日本製鉄によるUSスチールの買収計画だ。トランプ氏は「阻止する」と明言しており、6日にはホワイトハウスでUSスチールのCEOと面会している。これに関し、首脳会談の場で何らかの発言があるかが注目される。
石破首相の戦略と対応
石破首相は、トランプ氏に対し日本の経済的貢献を明確に示す方針だ。日本がアメリカの雇用を支える「最大の投資国」であることを示すグラフや地図を用意し、アジアにおける米軍基地の重要性についても視覚的に説明するという。
また、エネルギー分野では、米国が進める液化天然ガス(LNG)の増産に協力する姿勢を示し、両国の経済関係を強化する「ウィンウィン」の関係構築を目指す考えだ。
日米関係の今後を左右する会談
米政府高官は「日米関係が新たな時代を迎える」との認識を示し、インド太平洋地域における安全保障協力の深化を強調している。自衛隊と米軍の共同訓練の強化、防衛装備品の共同開発、サイバーセキュリティや人工知能(AI)、半導体分野での協力促進が議題となる見込みだ。
トランプ大統領は「日本に対し大きな敬意を持っている」と述べ、石破総理の訪米を歓迎する意向を示している。しかし、トランプ氏が重視する「ディール(取引)」の観点から見れば、日本側の譲歩を求める強硬な姿勢も想定される。
杉山晋輔元駐米大使は「トランプ大統領はすべての交渉を取引と捉えている。石破総理が『両国の利益を満たす新たな同盟』を構築することを訴えるかどうかが、会談成功の鍵を握る」と指摘する。
今回の首脳会談は、今後の日米関係の方向性を左右する重要な機会となる。石破総理の外交手腕が問われる場面となりそうだ。