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日本コパック株式会社

https://www.copack.co.jp/

東京都台東区柳橋1-28-1

日本コパック、アパレル向け事業を進化させ「循環型ビジネスモデル」構築へ

サステナブルな取り組み SDGsの取り組み
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創業70年の歴史で培った「変化への対応力」と「顧客との共創力」

日本コパックの経営陣
左から、古川孝一さん、斉藤宗利さん、斉藤崇大さん

商業施設や店舗空間の演出に必要な什器や備品を企画・製造する日本コパック株式会社(東京・台東)。1951年の創業以来、アパレル業界を中心に、時代の変化を捉えた事業展開で成長を続けている。

近年では、創業時から培ってきた「変化への対応力」と「顧客との共創力」を強みに、サステナビリティに配慮した事業を強化。地球環境への貢献と経済合理性を両立させた「循環型ビジネスモデル」を構築し、持続可能な社会の実現に貢献している。

主軸事業「ハンガー事業」におけるサステナビリティへの取り組み

日本コパックのビル外観
日本コパックの本社ビル外観

同社の主軸事業であるハンガー事業は、1990年代から循環型モデルの構築に取り組んできた。1991年には、都内百貨店と協業し、アパレル製品の輸送用ハンガーのリユース事業を開始。この取り組みは、その後のGMS(総合スーパー)における物流改革の波に乗り、大きな変化を迎えることになる。

1990年代後半、GMS各社は物流の効率化を図るため「ハンガー納品」を導入し始めた。同社は、いち早くこの動きを捉え、量販店と連携し、使用済みハンガーの回収・メンテナンス・再納品を行う循環型システムを構築した。

これは、先代社長が東京・夢の島のゴミ処理場を訪れた際、山積みにされた自社のハンガーの廃棄物を見て、「自社の事業を通じて、ものを大切にする社会作りに貢献したい」と強く感じ、構想を練り始めたことがきっかけだった。

日本コパックの斉藤宗利社長

「資源の有効活用と廃棄物削減は、企業の責任として取り組むべき重要なテーマです。同時に、お客様の経済合理性も追求することで、循環型ビジネスモデルは成り立ちます。」と、現社長の斉藤宗利さんは当時を振り返る。

さらに同社は、グローバル展開するアパレル企業との協業も積極的に進めている。

日本コパックの斉藤崇大さん

「日本の大小様々なアパレル企業だけでなく、上海子会社を通じて米国の大手スポーツアパレルとの取り組みも行っています」(取締役の斉藤崇大さん)

同社のハンガー・備品・什器事業は、時代の変化や顧客のニーズを的確に捉え、新たな事業モデルを創出することで成長を続けてきた。創業以来、顧客との共創を通して事業を進化させていくという姿勢は、現在のサステナビリティを重視した事業展開にも色濃く受け継がれていると言えるだろう。

新規事業「KIT」に見る、創業以来のDNAの継承

日本コパックのKITシリーズ
KITのサイドテーブル

長年にわたるハンガー事業や什器製造で培ってきたノウハウを生かし、同社は2021年、新たな挑戦として組立式家具ブランド「KIT」を立ち上げた。アパレル業界向けに培ってきた環境配慮とデザイン性を両立させた商品開発のノウハウを、一般消費者向け家具へと応用したのだ。

「KIT」は、シンプルながらも洗練されたデザインと、工具を使わず簡単に組み立て・分解できる機能性を兼ね備え、これまで以上に幅広い層の顧客から支持を得ている。
 
特に、サイドテーブルは「KIT」の代表的な商品の一つだ。シンプルながらも洗練されたデザインで、業務用としても家庭用としても使用できる耐久性と安定性を備えている。天板と3本の脚は簡単に分解でき、コンパクトに収納することが可能。環境配慮の観点から、木材チップを熱圧成型してできたカラーMDFやヒノキの間伐材を使用している。

「KIT」の開発責任者である古川孝一さん

「KIT」の開発責任者である古川孝一さんは、「シンプルながらも強度と美しさを両立させることに苦労しました。工具を使わず簡単に組み立て・分解できる構造も、試行錯誤の繰り返しでした。お客様に長く愛用いただける家具を目指しました。」と語る。

この「KIT」の開発は、同社の創業以来のDNAである「顧客との共創」によって生まれたと言える。2018年、同社は本社1階にギャラリースペースを開設。地域住民やクリエイターとの交流を目的としたイベントなどを開催する中で、様々なデザイナーと交流を深めた。その中で生まれた「自分たちが本当に欲しいと思える家具を作りたい」という思いが、「KIT」開発のきっかけとなった。

「KIT」は、そのデザイン性の高さから、2023年度グッドデザイン賞を受賞。外部からの評価も高く、今後のさらなる成長が期待されている。

今後の展望と新たな挑戦

日本コパックは、今後の事業展開においても、サステナビリティを軸とした新たな挑戦を続けていく方針だ。

国内市場の縮小を見据え、海外展開にも積極的に取り組んでいる。2011年には、中国・上海市に総合什器工場を設立。木工、金属、アクリル、物流など、様々な素材に対応できる一貫生産体制を構築し、高品質な製品を競争力のある価格で提供している。

さらに2023年には、環境配慮型の生産体制を強化するため、江蘇省塩城市に最新鋭の設備を導入した第二工場を設立。環境負荷の低減と効率的な生産体制を両立させ、持続可能な事業運営を目指している。

また、新たな市場開拓として、近年注目を集めているムスリム市場への参入も視野に入れている。2023年9月には、ムスリム向けビジネス展示会に初出展し、ハラールに対応した製品やサービスの開発、提供を検討している。

さらに、本社を構える東京都台東区を中心とした地域活性化にも積極的に取り組んでいく方針だ。2019年から毎年開催している地域イベント「東東京市」は、地域住民やクリエイターと連携し、街の活性化に貢献している。

日本コパックの経営陣

「創業以来、時代の変化をチャンスと捉え、顧客との共創を通して事業を進化させてきました。これからも、サステナビリティを軸とした事業展開を通じて、社会に貢献していきます。」(斉藤社長)

日本コパックは、創業70年の歴史の中で培ってきた「変化への対応力」と「顧客との共創力」を武器に、新たな時代における企業のあり方を体現している。

まとめ

日本コパックは、創業以来、アパレル業界の進化とともに歩み、ハンガー事業で培ってきたサステナビリティへの取り組みをベースに、循環型ビジネスモデルを構築してきた。近年では、組立式家具ブランド「KIT」など、新たな事業領域にも果敢に挑戦している。

同社の強みは、時代の変化を捉えた柔軟な発想力と、顧客のニーズに寄り添い、共に課題解決を目指す姿勢にある。地球環境への貢献と経済合理性を両立させた事業活動を通して、持続可能な社会の実現に向けて、さらなる進化を続けていく。

加藤俊

株式会社Sacco 代表取締役。一般社団法人100年経営研究機構参与。一般社団法人SHOEHORN理事。週刊誌・月刊誌のライターを経て2015年Saccoを起業。社会的養護の自立を応援するヒーロー『くつべらマン』の2代目。 連載: 日経MJ『老舗リブランディング』、週刊エコノミスト 『SDGs最前線』、日本経済新聞電子版『長寿企業の研究』

日本コパックは、常に時代の変化を先読みし、顧客との共創を通じて新たな価値を創造してきた。その姿勢は、創業時から脈々と受け継がれるDNAであり、「KIT」の成功はその結晶といえるだろう。環境問題への意識が高まる中、同社の取り組みは、持続可能な社会の実現に向けた、多くの企業にとっての道しるべとなるに違いない。

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ライター:

株式会社Sacco 代表取締役。一般社団法人100年経営研究機構参与。一般社団法人SHOEHORN理事。週刊誌・月刊誌のライターを経て2015年Saccoを起業。社会的養護の自立を応援するヒーロー『くつべらマン』の2代目。 連載: 日経MJ『老舗リブランディング』、週刊エコノミスト 『SDGs最前線』、日本経済新聞電子版『長寿企業の研究』

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