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株式会社INDUSTRIAL-X

https://industrial-x.jp/

〒105-0003東京都港区西新橋3丁目25-31愛宕山PREX11F

人材育成の新アプローチ:デジタルバリューチェーンスキル

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INDUSTRIALX 松尾 TOP画像

DX推進でボトルネックになりがちな「人」。企業における人材の育成や採用の課題解決を巡ってヒントになる考え方が「デジタルバリューチェーンスキル」だ。

一体どんな考え方なのか。営業、デザイナー、キャリアコンサルタント等の経験を経て、INDUSTRIAL-Xの事業開発リーダーとして、DX人材育成事業に携わる、松尾麻里子さんに話を伺った。

前回の記事では、定義が曖昧なまま、多くの企業が求める「DX人材」育成・採用の現状と課題を見てきた。今回の記事では、より踏み込んで人材育成やDX組織の形成におけるポイントを紹介していく。

前回の記事はこちらから読むことができます。

1. 人材のスキルアップで企業価値が向上する仕組み「デジタルバリューチェーンスキル」

I-X社は、これまで企業のDX戦略の設計・推進を、伴走型で支援してきた。同社ではDXを単なるIT化、デジタル化ということではなく、事業・ビジネスモデルそのものの変革と捉えている。

「DXは、革新つまりイノベーションとは違い、AとBをぶつければ化学変化である日突然大きな変化が起こる、というものではありません。まずは紙をなくしましょう、タスク管理ツールを導入し、オンラインで業務遂行管理をしましょう、と段階的にフェーズを変えながら進めていくものです」

こういった企業の変革を推進するには、そのフェーズに合わせて千手観音の手のごとく、多様な能力・スキル、ときにはセンスまでもが求められると、松尾さんは考えている。

「システムの要件定義を行うのと新規事業企画では必要なスキルが違うように、今ペーパーレスに取り組んでいる会社が、新規事業の創出をやっているようなDX人材を求めても過剰なスキルになってしまい、十分な人材活用はできないでしょう。今自社がDXのどのフェーズにいるか、または自社のDXロードマップの現在地ではどういったスキルの人材が必要かを一度マッピングし、必要な人材に求めるスキルを見える化をすることで、具体的な育成・採用計画を立て、効果を得ることができるのです。」

このようにDXのロードマップを作った上で人材要件をフェーズごとに考えることで、確実に一歩ずつ変革を重ねながら企業価値を向上させることが可能となる。

また価値が向上していく過程で更に必要となるスキルも変化していくことから、自社のDX実績を作りながら人材のスキルアップも図られていく。

このように、INDUSTRIAL-Xでは、デジタルを活用しながら継続的にビジネスや業務の変革を生み出すために必要なナレッジ体系を「デジタルバリューチェーンスキル」と名付け体系的に定義をした。

「バリューチェーン」という表現は、製造業でいうサプライチェーンの個々のビジネスパーツを連鎖的にとらえて全体最適を図るという考え方を踏襲している。

同時に、「価値」基点でビジネスをつなげ、デジタルを活用することで最適化または、さらに価値向上をさせるという意味を包含している。人材育成は一足飛びにはいかないのが現実だ。

数々のDXプロジェクトに参画してきたINDUSTRIAL-Xだからこそ、この新しいスキル体系の定義が可能となった。

2.デジタルバリューチェーンスキルの特徴

INDUSTRIALX 松尾麻里子さん

DXに必要なスキルと聞いて、どのようなものを想像するだろうか。

ツールの選定や導入のためのITやプロジェクト推進のスキル、セキュリティやデータ分析といった専門分野の知見、または最近であれば生成AIを活用できるプロンプトの知識など、DXを推進するためには様々なスキルが求められる。

ゆえに、全ての知識を持って、企画からツール導入、組織への定着、セキュリティ対策までをひとりでできるスーパーマンを見つけることは難しい。

DX人材の育成・採用は、前述の通り、漠然としているDX人材像の解像度をあげ、自社のDXロードマップを理解した上で足りないピースをどのように埋めていくかを戦略的に考える必要がある。

松尾さんはデジタルバリューチェーンスキルの特徴について以下の説明をする。

「DX人材を育成するという目標を掲げた場合に、OJTをしながらの社内SE養成計画を立てたり、ノーコード、ローコードツール、最近であれば生成AIについてのテーマ別研修を行うというアプローチもありますが、テクニカルな知識だけではDXを進めることは難しいと私たちは考えています。

デジタルバリューチェーンスキルは、弊社が数々のDXプロジェクト支援を通じて実践し、そこから得た知見を体系的に整理したものです。11に分類したスキルの内容はテクニカルな知識に偏ることなく、DXのXつまりトランスフォーメーションの実現に向けて重要なDXビジョンの策定や課題の抽出と優先順位の付け方、プロジェクトマネジメントや導入した仕組みの定着に必要なチェンジマネジメントの考え方といった内容も取り入れています。

さらに、DXにより得られたデータそのものや分析結果を新規ビジネスとして販売するスキルなど、全体的に戦略・業務・ITの知識をバランスよく網羅しています。」

デジタル活用によって何を自社の目標やゴールとするのか、考えて実行に移すためのスキルがしっかり反映されている点が従来のDX人材育成手法とは異なる新しいアプローチであるという。

11のスキル図
11に分類したスキルの図 提供 INDUSTRIAL‐X

3. テクノロジーが身近になってもDXが進まない現状を変えたい

AIやノーコード、ローコードツールの進化により、従来は専門的な技術者が必要だったものが簡易化された。

こういったテクノロジーの民主化とも言える状況下でも、企業はまだその恩恵を十分に受け取っているとは言い難い。

「素晴らしい技術が身近にあったとしても、それをビジネスにどのように実装して価値を創造していくかという視点がなければDXは成功しません。DXの目的は、単に既存業務をデジタル化して手間や工程を省くことだけではありません。デジタルを活用した業務の可視化、それに伴い可能になる分析を通じ、生産性を抜本的に向上させることや、新しいビジネスモデルの構築によって新規事業を創出するといった発想を持って取り組むことが大切です。

ノーコードツールなどにより、専門的な技術スキルがなくても個人や部門の業務効率化を図ることは容易となりましたが、部門横断、全社、業界といった広い視野が欠けていることで全体最適化にまで辿りつかないケースも散見されます。デジタルバリューチェーンスキルは、AI や IoTといった技術トレンドを意識しながらも、企業価値向上につながる変革に向けたDX推進を支援するために生まれました」

11カテゴリに分類したスキル体系のうち、松尾さんが特に注目するのは「チェンジマネジメント」のスキルであるという。

「テクノロジーの導入ハードルは下がりましたが、DXがツール導入で終わってしまい、利活用できていないケースや、そもそも使われなかったという失敗談をよく聞きます。本来の目的を果たすためにも、導入した仕組みの定着化や利活用を促進するスキルは非常に重要です。今後はまだ日本ではあまり浸透していないチェンジマネジメントのスキルを持つ人材の育成支援にも力を入れることで企業のDX推進を支援していきたいと考えています。」

この春、INDUSTRIAL-Xがリリースした、「eラーニングで学ぶ デジタルバリューチェーンスキル講座」という研修コンテンツは、この11のスキル体系を詳細に解説している。

11のスキルを更に6つのセクションで整理し、全体概要の理解と同時に具体的な手法や事例、必要なマインドセットも学ぶことができる。

DXの全体像を把握するという目的の他に、前述にあった自社のDXフェーズに鑑みて、必要なテーマや担当領域に合わせて必要なセクションをピックアップするなど、育成計画に合わせて柔軟に組み合わせることも可能だ。

同社では、企業向けの育成・採用支援サービスや個人向けのリスキリング・転職支援も行なっているが、今後は一過性の支援ではなく、継続的な学びと実践を通じたリスキリング、キャリアアップのためのコミュニティの形成と仕組みの提供も視野に入れている。

このコミュニティをもとにし、DX推進と成功のために必要な要素である「人材育成」に関するナレッジ共有や、キャリアアップのためのネットワーキングの場としてのオープンプラットフォーム構築を目指している。

◎企業概要
・株式会社INDUSTRIAL-X
・HP:https://industrial-x.jp/
・設立年月日:2019年4月15日
・代表取締役CEO:八子 知礼
・所在地:〒105-0003東京都港区西新橋3丁目25-31愛宕山PREX11F

◎プロフィール
松尾麻里子
大手メーカーにて約10年営業・広報として勤務後退社。30歳を機に学びなおしで専門学校に通い、デザインや製図などを学んだ後、デザイナー兼プロマネとして転職、博物館やホテルの内装設計に携わる。その後、キャリアコンサルタントを学び、大手人材会社に勤務。2023年6月より現職。

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ライター:

フリーライター・リーガルライター。静岡県浜松市在住。 立命館大学法学部卒。2008年から2021年まで13年間パラリーガルとして法律事務所に勤務。破産管財から刑事事件まで、各分野の法律事件に主任として携わる。独立後は主に法律メディアでの執筆やインタビュー取材などを中心に活動中。

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