「こちらが圧倒されるほどのバイタリティー」。山梨中央銀行の古屋賀章代表取締役専務は、茂呂製作所の茂呂哲也社長の第一印象を、こう振り返ります。
山梨を拠点に、世界有数のグローバル企業から地域の中小製造業まで、多様なモノづくり企業を顧客に事業を展開する茂呂製作所。
今回は「同社の姿はまさしく当行のパーパス(存在意義)『山梨から豊かな未来をきりひらく』を体現するような企業」と高く評価する古屋専務に、「地域密着型金融」を体現する同行と企業の紐帯強化の在り方と今後の展望を伺いました。
「圧倒的なバイタリティー」を持つ企業、「チャレンジする企業を応援」する銀行
茂呂製作所の代表取締役社長茂呂哲也さんからメッセージをいただいています。代読いたしますね。
先代が起業するときから山梨中央銀行様にはお世話になっています。そして現在も相談事は貢川支店様です。その中でも古屋さんには本当にお世話になりました。
古屋さんとお会いさせていただいたのは、貢川支店長就任の御挨拶に来ていただいたのが最初でした。
以降、何度もお話をさせていただくようになりました。当時私はタイに駐在していたのですが、日本に戻るときには必ず訪問してお話させていただきたいという支店長でした。
古屋さんはこちらが正直に話せば、それに応えて腹を割った話をしてくれます。一般的な銀行員という型を超えて話してくれます。
そんなことから年度方針発表会にも来ていただいて、初めて自分たちの会社や社会への想いを聞いてもらった人でもあります。
そして、町工場のためを考えて背中を押してくれた方でもあります。そのおかげで、ならばこちらも勝負しようと勇気を持つことができました。
今もその気持ちを持っていられるのは、本当に古屋さんのおかげです。人のために自分の時間を割ける方ですし、チャレンジする企業を応援したいという志をお持ちの方です。
今後、古屋さんのような方が金融業界に増えれば、日本の金融も経済も大きく変わっていくのではないかと思います。
古屋
持ち上げていただいて(笑)。茂呂製作所さんについては、私が営業企画部門に所属していた当時から、「茂呂製作所さんという元気な企業があり、タイにも進出している」という話を耳にしていました。
茂呂製作所さんのタイ進出の関係でも、当行が若干お手伝いさせていただいていた経緯もありましたので。
茂呂製作所さんは御行内でも注目される存在だったのですね。茂呂社長の、第一印象はいかがでしたか?
古屋
とにかくもう、すごいバイタリティーをお持ちの人でした。自分のビジョンを語る姿とその内容に、こちらが圧倒されるほどでした。想いの強さを言葉の端々に感じて、「この人はすごいな」と思いましたね。
茂呂さんも仰っているように、タイから日本に戻られた際には、「今こんなことを考えている」「こんな人と繋がった」といった近況を、いつも楽しく話してくださいます。
それをこちらも興味深く聞きながら、「この案件はこうすれば新しいビジネスに繋がるのでは?」と提案することもありました。
全社員が集まる経営戦略会議で目にした社員の「ひたむきさ」
法人としての茂呂製作所については、どのようにご覧になられていますか?
古屋
茂呂さんと知り合って間もない頃は、経理、専務といった経営層の方々としかお会いしたことはありませんでした。あるとき、全社員が集まる経営戦略会議に臨席し、会社全体の活力を感じましたね。
幅広い年齢層の方々がおられるのですが、皆さんが同じ方向を見ている。特に若い社員さんたちの想い、ひたむきさが強く伝わってきました。
融資先企業の会議に出席することは、よくあることなのですか?
古屋
社内の会議に銀行が参加することはそれほど多くはないと思います。私にとっては茂呂製作所さんが初めてでした。
なぜ茂呂製作所さんの会議に出たのか、私自身も不思議なくらいで(笑)。「出ていいの!?」と、はじめは躊躇したのですが、茂呂さんが自然に「ちょっと出てくださいよ」とお誘いくださり、自然な流れで同席させていただいたという感じですね。
そこまで踏み込んで本音で話せる関係であるということに驚いています。
古屋
茂呂さんも本当にいろいろなことを包み隠さず話してくれました。私も正直ベースで話をしてきました。
例えば、かつて日本の金融危機が叫ばれた時代、銀行業界の変遷の中で、融資先に厳格な対応をせざるを得ない時期がありました。
その当時の出来事についても茂呂製作所さんは率直にお話してくださり、当時の社長である茂呂さんのお父様からも直接その想いをお聞きしました。
私としてもお父様の想いに寄り添いつつ、当時の銀行の姿勢への反省の念を込めてご要望にお応えさせていただいたこともありました。その時のやりとりを振り返ると、懐かしく思います。
同時に、茂呂製作所さんの会議にまで同席させてもらったことを通して、企業が本当に求めていることは何なのか。銀行として果たせる役割は何なのか。それを再認識する機会にもなりました。
これからの銀行はただお金を貸すだけではダメだ。企業が本当に求めていることに応えていかなければならない。
私を含め皆のそうした想いが、中期経営計画「TRANS³ (トランスキューブ)2025」に結実していった面もあります。
銀行と融資先という間柄を超えた信頼関係を築いてこられたのですね。今後、茂呂製作所さんとの関係性をどのように次代につなげていこうとお考えですか?
古屋
山梨の元気のある企業として、茂呂さんが描いておられるとおりに展開していかれるよう期待しています。茂呂さんが見据えるフィールドは、山梨から日本全国、そして海外まで広がっています。
当行はパーパスに、「山梨から豊かな未来をきりひらく」と掲げていますが、茂呂製作所さんの姿はまさにこれを体現しておられます。
茂呂製作所さんのように山梨を拠点にしながら国内外に進出して良いものを持ち帰ってくれる企業がどんどん増えてくれれば、まさに山梨から未来をきりひらくことができるのです。
これからも、茂呂製作所さんと一緒に地域とともに成長していきたいですね。
株式会社茂呂製作所の記事はこちらからも読むことができます!
◎企業概要
株式会社山梨中央銀行
HP:https://www.yamanashibank.co.jp/
本店所在地:甲府市丸の内一丁目20番8号
拠点数:国内92店舗(本・支店90(うち、インターネット支店1)、出張所2)
◎プロフィール
古屋賀章(ふるや・よしあき)
株式会社山梨中央銀行代表取締役専務、人財・経営管理担当。
1986年同行に入社。東京支店に配属され、国際部でキャリアをスタート。本社営業企画部にて商品開発、マーケティング推進、中期経営計画立案などに携わる。2019年執行役員東京支店長、取締役東京支店長に就任、2020年常務取締役東京支店長に就任し、21年6月より現職。