廃棄されるはずの装花が“お福分け”に

横浜市は、持続可能な暮らしを目指すプロジェクト「地球1個分で暮らそう STYLE100」の一環として、結婚式で使われた装花をアップサイクルする新たな取り組み「“幸せのお福分け”シェアフラワーSTYLE」を始動した。
このアクションでは、結婚式で使われた花を廃棄せず、市民に“幸せ”とともに再シェアする形でフラワーロスの削減を目指す。第1弾イベントは、5月3日から5日にかけて開催された「横浜フラワー&ガーデンフェスティバル2025」で実施され、2,627名が参加した。
指輪をモチーフにした参加型オブジェで“幸せの循環”を体感
このイベントでは、株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ(T&G)が提供した装花を使用し、「シェアフラワーリング」と題した巨大オブジェの制作が行われた。来場者は、会場に並べられた花の中から好みのものを選び、共同でリング型の構造物に挿していく形で作品を完成させた。完成したオブジェは、祝福の指輪を象徴するデザインとなり、フォトスポットとしても人気を集めた。
また、廃花を活用したボタニカルキャンドルやフラワーコンポストの展示、参加者への“お福分け”ギフトの配布など、花の再利用に触れられる多彩な工夫が施された。会期中にアップサイクルされた花は3,500本以上にのぼり、多くの市民が“幸せの循環”を体感する時間となった。
市民の声が示す「花に込められた記憶」の力
来場者からは、「自分の結婚式の装花をゲストに配った思い出がよみがえった」「家で見たことのない花に驚き、写真を撮った」「花が廃棄されず再び使われるのは素晴らしい」といった声が寄せられ、花に込められた記憶や感情が、他者にも伝播していく様子がうかがえた。

フラワーコーディネーション統括部長の南方浩子氏(T&G)は、「結婚式で役目を終えた花が再び彩り鮮やかに人々を喜ばせている様子を見て、大変喜ばしく思う」と語る。「幸せがまた新たな幸せに繋がるこの取り組みは、私たちの想いを具現化したものであり、今後も広げていきたい」とした。
「STYLE100」とGREEN×EXPO 2027の連動
今回の取り組みは、横浜市がGREEN×EXPO 2027(国際園芸博覧会)に向けて展開する「STYLE100」プロジェクトの一環である。STYLE100では、市民や企業・団体と連携しながら、100のサステナブルなライフスタイル事例を集め発信することを目指しており、今回の「シェアフラワーSTYLE」はその中でも象徴的な試みといえる。
2027年に横浜で開催されるGREEN×EXPOでは、世界各国から園芸や緑の活用、持続可能な暮らしの提案が集まる予定だ。今回のような装花のアップサイクルは、地域に根差した「地球1個分の暮らし方」の先行事例として、今後より多くの注目を集める可能性がある。
横浜市は、今後もこの取り組みを市内各地のイベントや結婚式場と連携しながら展開し、フラワーロスの削減とサステナブルなライフスタイルの実現に貢献していく構えだ。