高知県産の海藻「アオノリ」を使った、一風変わったポップコーンが12月15日から販売開始される。この商品は、地元の小学生が海洋体験学習を通じて開発したもので、環境保全への意識向上と経済活動の両立を目指す、注目すべき取り組みだ。本稿では、子どもたちの学びの軌跡と、アオノリに秘められた可能性について迫る。
海藻が救う地球環境? 子どもたちの海洋体験学習
このポップコーン誕生のきっかけは、2024年夏に開催された海洋体験学習イベント「高知アオノリキッズアドベンチャー」だ。高知県内の小学5・6年生19名が参加し、高知大学海洋生物研究室の協力のもと、アオノリをはじめとする海藻の隠れた可能性を探求した。
地球温暖化の主な原因とされる二酸化炭素。海藻は、光合成によって二酸化炭素を吸収し、成長する。まさに「地球にやさしい海のスーパーマン」だ。しかし、皮肉にも温暖化の影響は高知の海にも及んでおり、海藻の生育環境にも変化が生じている。子どもたちは、大学での研究や生き物観察を通して、この現実を目の当たりにした。
アオノリの魔術師! 最新研究に触れる
イベントでは、高知大学の難波卓司先生が、アオノリをプラスチックや化粧品などに変化させる「アオノリの魔術」を披露。二酸化炭素を資源に変える可能性を示し、子どもたちを驚かせた。さらに、平岡教授は、成長スピードが速い「ミナミアオノリ」に着目し、環境に優しい資源「バイオマス」への変換研究を進めていることを紹介。最先端の研究に触れ、子どもたちは海の環境を守る重要性を改めて実感した。
子どもたちの思いが詰まったポップコーン、いよいよ販売開始
「美しい海を未来へ繋ぐために自分たちにできること」。この思いを形にするため、子どもたちはアオノリを使った商品開発に挑戦。有限会社あぜち食品の協力を得て、高知大学発ベンチャー企業「海の研究舎」で陸上栽培されたスジアオノリを使ったポップコーンが誕生した。パッケージには、子どもたちが描いたイラストがあ彩られ、彼らの熱い思いが込められている。
商品は「高知の海香る アオノリポップコーン」と名付けられ、12月15日から高知海洋高校で開催されるイベント「魚河岸かいよう2024」で販売される。価格は500円(税込)。売り上げの一部はアオノリの研究活動に寄付される予定だ。
環境保全と経済活動の好循環へ
この取り組みは、単なる環境教育にとどまらない。子どもたちの発想と地域企業の連携により、新たな商品が生まれ、地域経済への貢献も期待される。さらに、売り上げの一部が研究活動に還元されることで、更なる研究促進と新たなビジネスチャンス創出の好循環が生まれる可能性を秘めている。
アオノリポップコーンは、環境問題と経済活動を両立させる、持続可能な社会の実現に向けた小さな一歩と言えるだろう。このポップコーンを手に取り、未来の海について考えてみる機会にしてみてはどうだろうか。