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困っている人を0に。階段昇降機で世界を変える介助サービスとは

サステナブルな取り組み SDGsの取り組み
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サムネイル
ゼンドーアシストマネジメントの石原さん。ZAM-LIFTの管理や点検修理を担う(画像提供:ゼンドーアシストマネジメント)

「“そういうものだから”と今まで、無視されてきた、困っている人たちを0にしていきたいです」
そう語るのは、ゼンドーアシストマネジメントの石原さんだ。

北海道に拠点を置き、創業して30年以上の歴史を持つ警備会社「全道警備センター」から、分社化したゼンドーアシストマネジメントは、創業7年目にして、全国5箇所で拠点を構えるほどの、急速な拡大を見せている。

「介助サービス」と呼ばれる独自のサービス内容と「困っている人を0に」というキャッチフレーズで、唯一無二の存在感を発揮する同社。

介助サービスとはいったい何なのか。そして、これからどんな未来を見据えているのか聞いた。

全国で愛されるエレベーター工事の強い味方

全人口のおよそ3割が60歳以上の高齢者といわれており、高齢化社会を迎えた日本。

しかし、高齢化しているのは人間だけではない。高度経済成長期に乱立した数多くのマンションも、築30年〜40年と高齢化している。

そこで発生する問題が、エレベーターの老朽化である。エレベーターは最低でも10年に1度は点検が必要であり、30年たてば、部品交換を伴う大がかりな修理が必要となる。

その間1カ月ほど運転を停止させるわけだが、その間、住民は階段を使うことを余儀なくされる。

そんな時、階段昇降機を使い、エレベーターが止まっている間の階段移動や、新聞の配達、荷物の運搬、ゴミ捨てといった、エレベーターがないと不便な作業を代行するのがゼンドーアシストマネジメントの介助サービスだ。

話している風景
思いの丈を語る石原さん(画像提供:ゼンドーアシストマネジメント)

「高齢の方や、足が不自由な方が高層階に住んでいた時、エレベーターの存在は、外出の生命線です。だからエレベーター業者は修理をしたくても、長期でエレベーターが止まるのは困るので、住民から強い反対が出てしまい、整備したくでもエレベーターを止められないという深刻な問題があります。そこで、私たちのサービスが入ることで、エレベーターが止まっても変わらない日常を提供しています」

事実、最初は営業の社員一人が所属するだけの小さな部署だったのにもかかわらず、業務内容を聞いた大手エレベーター会社からの依頼が殺到。

都市群や地方を問わず、案件が舞い込み、活動拠点の急速な拡大につながった。

「当時は営業担当者も“こんなに同じ悩みで困っている人がいるのか”と。驚きだったそうです。最初は北海道だけでやっていましたが、エレベーターは全国にありますし、全国で同じ問題が起きていました。だから、それに呼応するように全国へどんどん拠点が増えていきました」

積極的に業務拡大を目指していったという訳ではなく「助けてほしい」という声を聞いていくうちに、自然にここまで大きくなったという感じだと、石原さんは語る。

階段昇降機で「変わらない日常」と「安全で便利なサービス」を提供

そもそも、階段昇降機とはなんなのか。

階段昇降機
往来のイメージの階段昇降機(画像提供:ゼンドーアシストマネジメント)

10年ほど前に流行した階段昇降機のイメージだと、室内で階段の横に椅子とレールが一体となったもので、座るだけで上階へ上ることができる機械というイメージが強いかもしれない。

しかし、ゼンドーアシストマネジメントが使うものは、正式名称を可搬型昇降機と呼び、マンションの階段を上るために利用するものだ。そのため、室内で利用するものとは全くの別物である。

ZAMLIFT 白
ゼンドーアシストマネジメントの可搬型階段昇降機『ZAM-LIFT』(画像提供:ゼンドーアシストマネジメント)
『ZAM-LIFT』が人を移動する様子
ゼンドーアシストマネジメントが利用する『ZAM-LIFT』が人を移動する様子(画像提供:ゼンドーアシストマネジメント)

実際の映像
https://youtu.be/4IPVUsEmft8?si=bOB2jrF4gWEO3IpH

ゼンドーアシストマネジメントの使う階段昇降機は、イスにキャタピラが付き、階段を安全かつ、衝撃を抑えながら昇ることができる機械だ。

1階から2階へ1分程度という速度で昇降し、スタッフが自宅の部屋まで送り届けてくれる。さらに、その時にもっていた荷物や車イスも、介助スタッフが自宅まで運ぶ。

階段だと大変な作業を代行してくれるのが、介助サービスである。

これにより、今までエレベーター工事の際に我慢していた友人との会合、病院への通院を実施できるようになり、今までと変わらない日常を送ることができるのが大きな魅力だ。

さらに、これに加えて階段昇降機の操作には資格制度を設け、介助スタッフには操作の研修と身体介助の心得にまつわる研修を毎年実施。

移乗といった専門的な知識を身に着け、安全と思いやりの心に特化したサービスを提供している。

このユーザーに寄り添うサービス方針から、エレベーター会社のみならず、マンション管理会社、病院、福祉施設からの信頼を獲得。特に福祉施設の介助サービス依頼が大きく増えたという。

「ただ人の移動を担当するという意味では、競合企業はいますが、介助の知識を持つスタッフが人の移動を担当する企業は、日本では他にいないと思いますし、全国対応している企業も他にはないです。まだまだ困っている人はたくさんいるので、これからもどんどんその声に答えていけたらと思います」と石原さんは笑顔で語る。

また、階段昇降機は、BCPグッズや防災グッズとしても注目されていると、石原さんは続ける。

BCPとは事業継続計画性のことで、万が一大きな地震が起きた場合に、会社の事業を継続できるように、どのような手段を取るかを決めておく計画のことだ。

話している風景2
階段昇降機の可能性について語る石原さん(画像提供:ゼンドーアシストマネジメント)

「3.11では非常に大きな被害が出ましたし、最近では、石川県の地震が起きました。防災意識やBCP対策の意識は高まる一方ですし、色々な製品が開発されたと思います。ですが、上に人や物を逃がす製品はほとんどありません。足が不自由な人が津波から逃げる際の手段として、工場のラインを維持するために必要な機材の運搬機材として、必要なものになっていると思います」

人の介助以外にも、物や人の避難のために活用できる。それが階段昇降機の持つ大きな可能性だと感じられる。

「移動弱者の機会差別根絶」これからの社会に求められるもの

話している風景3
身振りを交えて、移動弱者について丁寧な解説をしてくれた(画像提供:ゼンドーアシストマネジメント)

介助サービスを求めている人々は、今まで移動弱者の立場になっても「そういうものだから」の一言で片付けられてきた人々でもある。

今まで問題視されていながらも放置されていた所にメスを切り込むような存在が、介助サービスだ。

障害者差別解消法が2024年4月に改正され、「合意的配慮の提供」が事業者により一層求められる中、ゼンドーアシストマネジメントの介助サービスは、まさに「合意的配慮の提供」そのものだ。

そんな社会的意義を感じさせる介助サービスの展望を最後に伺った。

「この需要は、エレベーターの工事だけではありません。ZAM-LIFTが求められる場所は段差や坂があるところすべてです。つい先日は、個人の方より“古いレストランの段差があって、友人との会合に出れないから”と依頼がありました。他にも例えば、エレベーターのない福祉施設や、雑居ビル。暗くて段差の多い、映画館といったアミューズメント施設。神社や山といった観光地では、行きたくても足が不自由で行くことができないという方はたくさんいます。こういった方々に、我々の階段昇降機は必要だと考えていますし、このサービスを知っていただければと思いますね」

仕事中の風景
(画像提供:ゼンドーアシストマネジメント)

今まで顕在化していなかった全国のユーザーの困っている事に真摯に耳を傾け、口コミだけで短期の事業拡大を実現させてきたゼンドーアシストマネジメント。

インターネットの普及率が90%を超える現代としては珍しく、今まではインターネットでの情報発信をほとんど行ってこなかったことからも、この世界から求められている事業なのかが伺える。

これからの、成長から目が離せない。

◆ゼンドーアシストマネジメント公式HP
https://zendoassist.com/

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ライター:

1993年生まれ。AsunaroWorks代表。インタビューを中心に活動するライター。その他、カメラマンやホームページ制作者などとしてマルチに活動している。

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